今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

オークションものPEN-FT

2012年06月13日 20時41分39秒 | インポート

Img_213351 女性オーナーさんの、このPEN-FT #3435XXは、落札前からご相談をうけていた個体。「2出品のどちらにしようか」とのことで、アドバイスをしたのですが、パッと見て、こちらもちょっと怪しい個体ですよ。トップカバーは34万代ですが、本体やファインダーのTTL表示の劣化具合は、もう少し前の個体と思いました。また、付属のレンズですが、ピントリングにガタがあります。これはイモネジが全て緩んでいました。そこで、締め込んでみるとピントリングが回りません。これは、ピントリングが真円ではなく、歪んでいるためです。イモネジは緩んだのではなくて「緩めた」のですね。

Img_213464 本体は、各部の特徴から25万台付近の個体でしょう。セルフタイマーユニットは初期型が付いています。しかし、後期のユニットとは留めビスの間隔は異なるのです。

Img_213578 セルフタイマーユニットを分離してみると・・・やっぱりね。矢印のように、新たにビス孔を開けています。ビスも規格外だし・・

Img_213699 前板を分離してみると・・新たに孔を開けたために、真鍮材の切粉が沢山入ったままです。

Img_213725 落胆していても始まりませんので、ダイカスト本体を洗浄して組み立てて行きます。巻上げレバーユニットでピンセットの先にある黄ばんだ樹脂リングは、巻上げレバーのストッパーですが、殆どの個体はへこんで変形しています。変形が激しい個体は、レバーがトップカバーに接触しています。裏蓋を下にして置かないでと言っている理由です。

Dscf000197古いファインピックスに戻ります。この個体も前板を交換されている可能性があって、トップカバーの34万代とすれば矛盾がありません。たぶん、ニコイチで仕上げられた個体なのでしょう。それ以外は、ここまで組立に特には問題ないと思います。接眼プリズム抑えは真鍮製ですね。

Dscf000346 しかし、露出メーターは変ですね。右上のビスがナベになっていますね。ここは、左下の皿がオリジナルです。で、シャッターダイヤルの動きに固着して同調しません。

Dscf000522 コイルのリターンスプリングが脱落しています。そもそも、TTLナンバーのプレート(情報窓)の赤色が退色しているのが気になります。25万台としても、ここまで退色しているものは少ないのです。まぁ、何かの目的で分解されたことは確かです。

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メカ部分はほぼ完成です。右のセルフタイマーユニットは初期のものを改造して取り付けてありました。スプリングも1本紛失したのか自作が使われています。また、シャッターダイヤルも、他の個体からの移植の可能性があります。

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トップカバーを取り付けました。セルフボタンはめっきの剥離が激しいので、当方のオリジナルボタンに交換しておきます。

Dscf000888巻上げも軽くスムーズで、シャッターも快調です。38mmレンズのピントリングは、調整でスムーズにしてあります。最近は、このような個体が増えているのでしょうかね。個体数維持のために、止む終えない場合もあると思いますが、基本部分は尊重する考え方が必要と思います。女性ペンファンが、購入を決断して、念願のFTを手に入れたのですから、安心して使ってもらえるようにして差し上げたいのです。

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