シチズンらしい奇抜なデザインのスクエア・カスタム27石ですけどね。元々、水気の浸入があったユニットで、姿勢差などで許容範囲を超える状況となりましたので、ユニットの交換をすることにしました。搭載されているユニットはcal.5203 で、石数にバリエーションがありますが、27石です。そこで、同じユニットを搭載しているクリスタル・セブン27石から調達しました。右かオリジナル。左は調達したユニットで、たぶん一度も分解されていません。それが良いのかは別にして・・基本的に同一ですが、カレンダーの日車、曜車が文字盤の表示位置の関係で異なりますので移植する必要があります。
まずは分解して行きますよ。セイコーとは違った設計思想のユニットで、設計者の拘りを感じるような構造です。
日の裏側。日車の数字の角度が異なりますね。送り機構も非常に複雑で、小さなバネも多用してあります。すべて分解して行きます。
すべて超音波洗浄をしてから、では、二番車から組立てて行きます。ケースはワンピースケースのため、リューズの巻真は途中でジョイントをする構造です。
流石、クリスタルセブンは防水性能が売りなので、機械は全く腐食がありません。1枚ものの受けもきれいですね。精度もピタッと収まります。
ゼンマイは殆ど巻いていない状態でもテンプは動き出しました。フリクションは極めて少ない。
回転錘も傷、腐食は皆無です。ベアリングの数はセイコーよりはるかに多いですね。取り付け方式も高級なタイプ。
裏蓋の無い最中ケースのため、搭載前の歩度調整を念入りに行っていたところで、3.11の発生時刻となり、東北に向かって黙祷をしました。あれからもう三年です。角型ケースの場合は、どうしても防水性能に難があるため、ユニットの状態が悪いことが多いようです。現状は尚、防水性能は落ちていますので、非防水として扱うことが必要です。右は交換されたオリジナルユニット。