今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

初代キヤノネットのニコイチの巻

2015年07月12日 15時52分49秒 | ブログ

長雨が続いていた関東地方も、やっと日差しが出たと思ったら、いきなり気温が上がって体がついて行きませんね。まだエアコンは入れません。で、PEN-FTにお供で付いてきた初代のキヤノネット2台ですが、FTの方が特に問題は無く解決しましたので、1台仕上げてとのご希望ですが、ニコイチは2台のカメラを分解するので意外に工数が掛かって、キヤノネットでは工賃もきびしいなぁ・・

初代のキヤノネットは1960年ぐらいの発売だったかな? 両方ともASA400まで使える後期型のようです。どちらもシャッターと露出計も不動。セレンは片方が過去の分解でパターン部から断線していましたが、起電力はあるようです。では、露出メーターのどちらかが生きていれば治せるか・・点検の結果、1個はコイルの断線でしたが、もう1個が生きていました。では何とか仕上げることが出来そうです。

どちらもシャッターは不動なので、どちらをベースにするかですが、やはり生産が後の個体の方が程度が良いので、そちらをベースに仕上げることにします。セレンやレンズを分解して行きます。

 

シャッター羽根の固着もありますが、流石にこの時代のスローガバナーは動きませんね。すべて超音波洗浄をします。

 

セルフタイマーも動きませんので洗浄しますが、ベースのシャッターのタイマーをセットするレバーが無い??? 良く見るとレバー部が折れています。これは、MX接点切り替えがMの状態でセットをしようとしたのでしょう。Xでないとレバーはロックされて動かないのです。では、ユニットを画像のものに交換します。

シャッターを前板ごと外したところ。サイズ的に余裕を持ってがっちりと作られています。

 

露出メーターも移植しますが、上の画像のように、セレンからの配線はクランプされていて引っ張れないので、露出計の接点部で交換します。

 

発売当時の安値問題があったからと言って、特に手抜きのような部分はありませんね。非常に真面目に作られています。ハーフミラーが健在なのは時間の経過からすごいです。

 

内面反射を考慮した遮光カバーも手が込んでいますね。古いモルトの清掃貼り替えをします。

 

 

当時流行ったトリガー巻上げ。意外に速く巻き上げることが出来ますね。

 

カメラブームの頃には見切りのワゴンに大量に入っていたカメラですが、現存はどのくらいでしょうね。大口径レンズ付のボディーは非常に重いですが、当時はそれもステータスだったのでしょうね。

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SEM二眼レフ+Zuiko25mmのメンテナンスの巻

2015年07月09日 14時00分02秒 | ブログ

大阪にはご常連さんは多いのですが、この方は住吉区のベテランさんで、いつも、食玩のヒコーキを同梱してくださいます。今回は・・「あ~、これ欲しがったんだぁ」九九双軽とドイツ空軍のホルニッセ。先日、近くのイオンのお菓子売り場で(回りは子供ばっか)このシリーズを見つけて買おうと思ったら中身がイギリス空軍のボーファイターだったので買わなかったのです。しかも、ニューギニアの75戦隊仕様ですね。

日本の双発戦闘機や爆撃機は欧州、とくにドイツの成功を範としている発想が多いのですが、有名な一式陸攻や九六陸攻(中攻)の陰に隠れて活躍したのが九九式双発爆撃機なんですね。設計は飛燕で有名な川崎の土井技師を中心としたチームで、アスペクト比の長い翼が飛燕に似ていますね。特に飛燕と同じ南方迷彩ですから。南方では飛燕は苦戦を強いられますが、九九双軽は索敵、爆撃、物資投下など八面六臂の活躍で、前線では信頼された機体です。通常、爆撃機は敵戦闘機の反撃をかわすため爆撃終了後、直ちに反転帰路に着きますが、緩降下爆撃の可能な本機は撃ち漏らした残敵を銃撃殲滅することが可能でした。最後は特攻機としても出撃しました。出目金のような膨れたお腹が特徴の機体。ヤフオクで買わなくて良かった。ありがとうございました。左の九六陸攻は日華事変の重慶渡洋爆撃に活躍。25年前に作ったプラモ。あちらの方も当ブログをご覧頂いているのでこれ以上は書きません。https://www.youtube.com/watch?v=TrBMFdDKxJA

でお仕事。セムフレックスというフランスの二眼レフですね。ローライフレックスのような高級な作りではありませんが、おフランスの洒落たセンスは伝わって来ます。セムフレックスにも種類があるようですが、この機種はシャッターは単速で絞りは雨、曇、晴の表示に合わせるタイプです。ファインダーの清掃をしたいのですが、フードの取付けネジがフード枠に干渉して外すことが出来ません。後ろ側のフードを止めるシャフトの圧入を抜くと、前側はネジ穴が解放タイプで取り去ることが出来ます。

基本的にシャッターは単速だし、光学系のメンテナンスしかないわけです。特殊な組み立て方法からピントグラスは一度も分解清掃をされていない状態でしたので、結構汚れていました。この場合は、レンズクリーナーより中性洗剤のお風呂の方が良いです。

ビューレンズを分解清掃しますが、すべて分解をした時の画像が壊れて表示できません。デジカメの嫌いなところ。

 

撮影レンズはセムベルチオ F4.5 で、中玉がかなり湿気乾燥で汚れていますね。

 

前玉の周辺にガラスの劣化があります。

 

 

次はズイコー25mm F2.8 ときれいな個体ですね。レンズ自体の曇りも無いようです。しかし、ズイコーレンズに多い前面プレートの接着強い。で、分解が困難でした。症状は、絞りの復帰が緩慢な状態。すべて洗浄をして行きます。

ちゃっちゃと終わらせます。素性の良い個体は作業も早いんです。まったくきれいな純正のフィルターも貴重です。

 

ということで作業は終了。もう一つのヒコーキはメッサーシュミットMe410Aとのことで良く知りませんが、ドイツは盛んに双発戦闘機を欲しがっていたようです。イギリス本土まで余裕で爆撃機を援護して行ける戦闘機が無かったからね。エンジンはDB603Aで何と1.750馬力? すげ~。DB601の発展型のようですが、DB601のライセンスを陸海軍で別々に契約して(あほです)結局国産化でモノに出来なかった我が国の工業力とは、やはりレベルが違いすぎです。液冷エンジンですから、翼端からの飛び出しが、空冷エンジンの日本機を見慣れている目には異様に感じます。今度、ドイツ空軍仕様でリペイントしてみようかな・・

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今度はオリジナルのPEN-FT(B)+40mmの巻

2015年07月05日 20時14分55秒 | ブログ

どうも。今日は法事で出掛けておりまして、午後に戻りました。カメラ作業の前に、ヤマハ・FS1の復活を検討していました。ヤマハから前後のスポークセットが入りました。1969年製のバイクの部品が入るのは助かりますね。で、どうせでしたらアルミリムで組みたいと考えましたが、現在流通している1.20と1.40-17のリムはタイ国製で、かの地では#9か#10の太いスポークを使うのが普通のようで、ニップル穴径は約6.5mmと大きい模様。純正を計測すると#11番で、ちょっとニップル穴が大きいようです。さてどうするか?? ヨーロッパからシリンダーも入手しないと・・

では、PEN-FT(B) #3386XXと40mmです。どちらも状態は悪くはありませんね。巻き上げが少しゴリツキ気味とファインダーの曇りです。

 

過去に修理を受けてはいますね。

 

 

ファインダーの清掃をされたのかな? 33万台のハーフミラーですから、見にくい腐食は無いのですが、メッキがかなり薄くなっているのがお判りでしょうか? 裏側のスリットがはっきり見えています。再使用が出来ないこともありませんが、かなり暗いでしょうね。さて、どうしますかね?

 ハーフミラーは交換することになりました。特に問題の無い個体ですので、淡々と作業を進めていましたが・・・

 

この個体は過去にプロによって修理をされていることを頭に入れてくださいね。シャッターユニットのテンションハンマーがグラグラと偏心をして回転しているのです。これは変ですねぇ。と分解をしてみましたら・・アウターに嵌って回転する部分が異常な摩耗をしています。よくよく観察してみると、摩耗ではなく、ヤスリで削られているようです。

 

ここまでマクロ撮影をするとピンボケです。しかし、回転による摩耗では無いことが分かりますね。私のこの機械に対する認識不足なのか、意味が分からないのですね。これではハンマーの回転がぶれて、結果的にシャッタースピードの制御に悪影響があります。う~ん、解らない。他人様の考えることは解りません。

シャッタースプリングの条数が増えた後期型でも、なお最終に近づくと画像のチャージギヤは、それまでのカシメから真鍮ナットによる組立式となります。しかし、この個体はそのナットを緩めた形跡があって、すでに緩んでいる状態です。それによってグラグラと偏心して回転していたわけです。このナットは一度分解すると緩み易くなるので分解は厳禁です。ナットのスリ割もすでに壊されていて、さても余計なことを・・

チャージ系を分解して洗浄をしたところ。

 

 

チャージギヤを組み立ててあります。テンションシャフトは使用による摩耗は線状痕となり、この個体の様にはなりません。下が良品ですが、今回はオーナーさんのご判断でオリジナルを再使用として組立をします。少し余計な時間が掛かりましたので、以後のUPは省略します。

組立は完成。ハーフミラーは交換しています。

 

 

FT本体の状態も良いのですが、付属の40mmも素晴らしいと思います。セット販売をされたものでしょうか。38mmや40mmはレンズのカビでコーティングを痛めているものが多数ですが、この個体はきれいです。過去にカビの発生が無かったのでしょう。ただし、ヘリコイドグリスは流化を始めており、絞り羽根に付着しています。すべて清掃をして組み立てます。

#3386XXは1970年1月の製造ですが、多少の下手を打ったところはありましたが、基本的には新品の塗膜状態を維持した貴重な個体だと思います。大切に使用して頂くようにお願いをしたいところです。レンズにはフィルターを装着してくださいね。

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