PEN-FT(B) #2747XXですが、「ファインダーが暗い、露出計精度、ファインダー像の歪」とのお訴えです。
露出計ユニットを留めているネジが緩められていて3本のうち1本が欠落しています。
製造の後期では、ハーフミラーは金の色調を強くしていきます。劣化に対する対策のための変更でしょう。この個体のミラーは金色が他の個体に比べて強く、これがファインダーが暗く感じる要因のようです。
ユニットを留めるネジが緩められているのが分かりますね。ハーフミラーの取付位置が正確でないとファインダー像が倒れて見えることがありますが・・
接眼プリズム押えのネジも緩められていますね。ネジ頭の当たる位置が微妙にずれています。プリズムの取付位置によってもファインダー像が正しく正立しないことがあります。
問題はまだあります。セルフユニットを留めるネジが欠落していますが・・
セルフユニットのネジ穴と微妙にずれていてネジを留めることが出来ずに省略してあるのです。なぜ穴位置が合わないのか? 後期型は、このネジの穴位置がマウントより離れるように変更されました。そう考えると前板が変更前のものと組み合わされた?とも思えますが、シボ革は剥離された形跡がありませんでしたので、穴位置が変更になる過渡期に変更前後の在庫部品を組み合わせるため、正規ではない仕様で組まれたものかも知れません。
⇧のネジは前期型で前後の位置調整のために使われていたネジで、この個体のような後期型では無くなっていはずです。それが復活している理由は、正規の穴位置にネジが取り付かないため、このネジで固定を確保したものではないのか? まぁ、本当のところは当時の担当者にお聞きする以外にはありませんが、多くの個体を見て、仕様の変遷を熟知している者にしか分からない疑問ではあると思います。
すみません、UPが遅れました。定期健診で新宿まで出掛けたり、車を変えるので必要書類を集めたりで時間を取られました。しかし、こんな時期に新宿には行きたくはありませんでしたが、電車内では意外にもマスクを着用している方は3割ぐらいでしたね。マスクも入手が困難ですしね。困難なものは他にもありまして、私の仕事ではエタノールは必需品なのですが、薬局には品切れですね。幸い調達したばかりでしたので、しばらくは大丈夫ですけど、この騒動はいつまで続くのでしょうね。なるべく軽微で収束してくれることを祈るばかりです。で、作業ですが、チャージギヤ軸に軽症の摩耗がありますね。まぁ、2回巻き上げにはならない程度ですので再使用としますが・・
で、すでにシャッターユニットが完成して搭載しました。特に問題のない信頼性の高いユニットです。
前板関係のミラーユニットも安定しています。さて、これから問題の光学系になります。
結局、垂直の柱が倒れて見える現象は組み方による修正は出来ず、ビューファインダーを交換しました。PEN-Fでは像が倒れる場合、全反射ミラーとの接地面に細くカットした厚紙を貼ることで修正をしていましたが、FTの場合はCdsなどがあるためそのような修正はされていません。
セルフユニットは本来①と②でネジ留めされますが、②の穴位置が合わず③で本体に固定してありましたが・・
どうも最初の仮説は間違っているようです。上が付いていたユニットですが、下のユニットと比較して←のネジ穴位置が2時方向に寄っています。こちらが設計変更後のユニットです。と言うことは本体は設計変更前の個体に変更後のユニットを工場が取り付けたのか? ちょっと考えられません。また③に留まっていたネジは、紛失されていた露出計ユニットを留めるネジでした。と言うことは工場ではなく、それ以後に組まれた個体ということになりますね。良く分かりません?
①と③の距離も微妙に(0.2mmほど)ズレていてネジ留めが困難な状況でしたので、私の判断で本体に合致する方のセルフユニットを組み込みました。その他、ハーフミラーを交換して組立完了。
この個体は平成16年に修理を受けた書き込みがありました。当初は工場での作業を疑いましたが、途中でセルフユニットを交換され、その部品がたまたま適合しない設計変更後のものだったのでしょう。そんなに苦労するより不調のユニットを直した方が楽だと思うのですけどね。しかし、ビューファインダーは加工精度に問題があったようです。同じ時期の製造で同じ金型番号のものを選んで取り付けてあります。オーナー様は私のところからも近い府中市にお住まいでした。1969年4月製。
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