今なにしてる         (トミーのリペイント別館)

カメラ修理などについてご紹介します。
富塚孝一
(お問合せ)tomytmzk@titan.ocn.ne.jp
 

しばらくローライ35の巻

2020年12月14日 20時30分00秒 | ブログ

しばらくローライ35系が続きますので重複してもいけませんし自身の検査もあって時間的余裕もありませんのでUPは控え気味にさせて頂きますね。で、年末年始の販売用ローライ35ジャーマニーです。まず作業に掛かる前に外観の欠点や機能不良などをチェックしていきます。この個体の場合、ざっと・低速不調・レンズ後玉カビ痕・背面ネジ欠品・裏蓋開閉レバー作動重い・巻上げ重い・ヘリコイドグリス抜け・フィルムカウンター進まず・シューレール曲がり・トップカバー角打痕・巻き戻しレバースプロケット解除せず・などがありました。定番のファインダー汚れと巻き戻しレバーアテ欠品ががないだけ良い方です。殆どの整備前の個体は同様なコンディションですが、だから程度が悪いかと言うとそうではなくて、良品でも使用されていない時間が長いとこのようになるということです。ですからO/H済みの個体を選ぶことが大切なんですね。まず、気になったのは背面のネジが付いていないこと。ローライ35系を整備していて困るのがこれらの化粧ネジです。左の巻き戻しレバーと一見共通に見えますが、締め込み防止用でネジ部が段付きになっています。

この画像の中で3つの不具合があります。右からシューのレールが内側に曲がっています。カメラが重いため、乱暴にテーブルに置かれると曲がってしまいます。中央の開閉レバーは鉄製のウェーブワッシャーが完全に錆びついています。これは錆落としとグリスアップをします。左のフィルムカウンターは巻上げても進みません。これはカウンターが悪いのではなくて、作動メカの問題です。

トップカバー左手前が打撃を受けていて陥没しています。

 

 

裏から見るとはっきりと分かりますね。

 

 

O/Hで特に板金作業の義務はありませんが、なるべく商品性を上げるために手を入れます。変形は殆ど修正されていますが、まだ0.1mm程度は下がっています。(中央の隙間を見てください)

 

いつものように定番のスローガバナーのメンテナンスやギヤ類の洗浄注油をしておきます。ファインダーはジャーマニーですのでプリズムですから清掃の必要はありません。

 

分解前には気が付かなかったのですが、メーター周辺に振れると針が大きく動揺します。原因を探っていくと・・下段ネジが緩んでいたのでした。緩み止めが塗布されているので騙されました。ここは絞り側からのリンケージで押されているのでネジが緩んだのでしょうね。

 

ストックしてある貴重なネジを追加しておきます。

 

 

シャッターとレンズのメンテナンスをしています。ジャーマニーは後玉のコーティングが劣化している個体が多いように思いますが、まぁ、一番生産が古いわけですから当然でしょうね。ノーメンテナンスの個体はヘリコイドグリスは抜けていますので交換しておきます。

 

一日頑張ってここまでです。最後にピント調整をして距離ダイヤルを取付ければ完成です。

 

 

フィルム装填のテストをしていると巻き戻し軸の動きが鈍く抵抗感を感じましたので分解しました。軸受け部分に赤錆が発生していて、それが抵抗となっているようです。錆を落として薄くグリスを引いて組み立てます。

 

ピント調整をしてピントリングを取り付けます。最初からm表示側になっていましたのでヨーロッパ圏からの仕入れと思います。この距離リングの材質は溶剤に非常に弱くシンナーなどを付けると簡単に溶けますので拭き上げなどでは注意が必要です。アルコールは大丈夫です。

 

外観の清掃をして無事完成しました。MADE IN GERMANY入りのレンズキャップは本体とセットのオリジナルなのでしょう。価値がありそうです。長期保管の細かなダメージもある個体でしたが、基本的に非常に良い個体と思いました。見かけたらよろしくお願い致します。

 

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ライカ・フード歪修正の巻

2020年12月13日 18時25分00秒 | ブログ

体調はあまり良くないので軽作業をします。ライカのフード12585って何用なのかな? 笠の部分を当ててペコペコに歪んでいます。これを修正せよとのご指示です。材質はアルミですが、削り出しの加工品なのでしょうか硬いアルミで修正をしようとするとクラックが入る危険がありますね。

 

何か所もへこんでいます。修正の場合はマウント部は、ねじ込み式でフード部分と分離出来ますが、力を掛けるとマウントネジ部が変形してネジが入らなくなる危険があるのでこのまま修正を試みます。直るかどうかはやってみないと・・

 

こちらから見るとかなりの変形です。局部的に叩くと割れますね。

 

 

こちらは長穴の端から鋭角的に曲がっているので厄介です。

 

 

で、格闘3時間。こんな感じですかね。

 

 

背面から見るとこんな感じ。あまり目立たないと思います。このような作業は採算的には見合わないですが、まぁ、これで購入してくださる方がいらっしゃればフードも生きるので良しとします。

 

で、終了と思ったのですが、フード内周の防眩塗装のの部分が塗装劣化していましたので修正塗装をしておきました。これで本当におしまい。

 

 

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こまごま修理の巻

2020年12月11日 21時45分00秒 | ブログ

12月はバタバタと過ぎていきますが、今月は健康診断の追加検査や定期通院が重なって作業が進みません。今日は1つの検査をして来ましたがセーフでした。ホッ。このPENは販売後にシャッターが不調となったようです。出がけ前にシャッターを組み直しておきました。レンズの清掃とヘリコイドグリスを交換します。

このレンズは不思議な異物が入ってますね。

 

 

う~ん、何の毛でしょうね。猫ちゃんの毛? それとも清掃のハケの毛? ちょっと考えられませんね。清掃をしておきます。

 

その他、PEN用40mmは絞りが作動しませんでした。しかし、ズイコーレンズは緩み止めの接着が強く、どう頑張っても緩まないレンズが多くあります。安易に溶剤を浸透させると内部で曇りを発生させたりしますので危険です。ズイコーレンズは長野の辰野工場で生産されたのでしょうかね? 私は良く知りませんが、私も長野の伊那地方でカメラを生産していたので長野県人の真面目さは良く知っていますが、それが裏目に出たのかなぁとか勝手に思ったりしています。 

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距離レバーが・・PEN-Dの巻

2020年12月07日 20時30分00秒 | ブログ

さすがに中古カメラ店様の仕入れですので程度は良いPEN-D #1910XXです。しかし、展示中に距離レバーがグラグラになったのことです。あぁ、ヘリコイドとの取付けネジが緩んで1本が脱落しています。シャッターは正常に作動していますが、ここまで分解をしましたのでO/Hをします。

 

ヘリコイドグリスが流化して本体に流れだしています。

 

 

ダイカスト本体を洗浄しました。

 

 

「ニイタカヤマノボレ一二〇八」12月8日は毎年書いている開戦記念日がまた来ました。一年経つのは早いですね。新高山は台湾の最高峰です。その台湾が危ない。当時は大日本帝国が米英蘭に宣戦布告をして開戦しましたが、現在は某国から見えない超限戦という宣戦布告を受けています。ここで敗けたら世界が終る。トラ・トラ・トラさん頑張れ。と言うことで作業を続けます。ヘリコイドグリスが流化してベトベトです。すべて洗浄をしてグリスを入れ替えます。

分解歴はある個体ですが、不思議にシャッターは未分解でした。では何したの? 問題は無いと思ったシャッターユニットでしたが、絞り羽根が固着していて途中までしか動きません。分解して良かった・・

 

この個体の頃はシャッター羽根は5枚が多いです。D3などになると6枚入っている個体が増えます。

 

 

順調に組み立てていますが、当初バネはこの位置に掛かっていました。この位置がらテンションが掛かるというのに、すでにパンパンに張っています。折れて交換が必要なバネではないのにどうしたのでしょう?

 

種明かしはバネの取付位置が違っているのでした。

 

 

問題の距離レバーは位置調整をしてきつく締め込んであります。

 

 

この個体の特徴はレンズの状態がすばらしいこと。普通は後玉の曇りや前玉のコーティング劣化があるんですけどね。

 

多分、前回分解された時に駒数軸の調整ワッシャーを抜かれていて、それによって駒数針と駒数ガラスが接触して回ったために駒数ガラスが円周状に削られていました。それをコンパウンドで磨いて修正をしていると・・あれ、露出メーターの透明窓が付いていませんよ。あ~、流しで洗浄した時に取れちゃったんだ。探してこ・・・

ありました。流さなく良かったです。まぁ、部品のストックはありますけどね。目が見えていない証拠なので今日はここまでにします。

 

露出メーター窓は接着しました。トップカバーの内側にはモルトによる腐食があります。接眼部のモルトも含めて取り除いて新しいモルトを貼っておきます。

 

何も考えずに組むと右側の駒数針のように、駒数ガラスと接触をして回転することになってメッキが剥離してしまいます。特にご希望はありませんでしたので良品には交換せず再使用します。あっそうだ。三光PENのように真鍮地を研磨してゴールド針にしよう。

 

限定修理でも可能でしたが、今回は完全なO/Hとしました。その他、彫刻文字の色入れの補修などをして完成です。1964年2月製造。

 

 

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これはねぇ。PEN-Wの巻

2020年12月05日 21時15分00秒 | ブログ

ご常連さんがきれいなPEN-Wを入手されたとのことで、絞りリングがクルクル回ってしまうとのことでO/Hに来ていますが、PEN-S,W系は構造的に絞りリングには回り止めのキーがありませんので、フードやフィルターを強く締め込んだりすると締め込みが緩んで回ってしまうのです。これは設計の欠点です。フードはケラレるとのことで、(あ~そうかもね)取り外して欲しいとのことです。やっぱりフードを作らないとダメかなぁ??

で、この個体を見た時に「あらっ?] と思いましたよ。一見きれいですがこの個体はリペイントされています。過去にもこの塗装肌を見たことがあります。手慣れてはいますが工数を節約しています。

 

裏蓋のリベットを見ます。私の場合はリベットを分離して底蓋と別々に塗装をしてから新しいリベットで組み立てますが、この個体はマスキング?で塗られています。

 

フードはガラスを分離せずにマスキングで塗装されています。まぁ、これでも良いですけど、私が塗らないとダメかなぁ・・さて、どうするかオーナーさんにお伺いをしてから。

 

購入時、「リペイント機かも?」はご承知とのことで特に問題はないとのことですので普通にO/Hをして行きます。まず、レンズからフードを取り外して清掃します。

 

ファインダーが透明テープで留められていて、対物レンズの接着もあまりきれいではないようです。

 

 

シャッターを分解して超音波洗浄のうえ組み立てていきます。特に問題のないシャッターです。

 

 

ストロボ接点の半田は剥がれやすいです。再半田付けをしてシャッター完成。調子は良好です。

 

 

本体も洗浄の上組み立てていきます。

 

 

完成したシャッターユニットを本体に組み込みます。

 

 

前面ガラスを分離せずにマスキングで塗装した印。対物レンズ共、接着部分のガラスが欠けています。ガラスは傷つけないように慎重に剥離をしなければいけません。欠けた部分からクラックが入る危険性があるからです。

 

駒数窓横の-ネジがオリジナルではないなぁと思いましたら、ファインダー内の黒ネジでした。横のネジは巻き戻し側に使われていて、結局、巻き戻し側のネジ2本のうち1本を紛失したためにファインダーの留めネジを抜いたようです。オリジナルに戻しておきます。

 

ファインダーの清掃と接着を終えました。ガラスはクリアーです。

 

 

問題のリングナットが緩んだレンズを位置合わせ後、ネジロック塗布にて組み立てました。PEN-Wのクリック機構は画像のように板バネ式です。この方式は接触面の摩耗が進むとクリック感が乏しくなって、ふにゃふにゃ感触になり易いです。

 

調子は非常に良好に個体です。実用であればこれで問題ありません。

 

 

これはうちのフードではなくて純正です。カメラブームの頃は中古屋さんを回れば手に入りましたけど、現在は中々見つからないようですね。

 

 

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