昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空~(十五)貴子の顔が一瞬翳った

2015-07-27 09:01:45 | 小説
相変わらず、一人で話し続ける貴子だった。 彼に口を挟ませる余裕を与えない貴子が、眩しく見える彼だった。 ブラウスの上にカーディガンを羽織っただけの貴子は、少し震え気味だった。 「寒いんじゃない? 貸すよ、これ」 ファスナーを下ろしかけた彼に、 「良いわよ。相変わらず、優しいのね。ここ、ここに入りましょ」 と、彼の腕を引っ張るようにして、喫茶店に入った。 「こんにちわ!」 「おお、貴子ちゃん。い . . . 本文を読む

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