昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

[舟のない港] (五十七) 

2016-06-11 11:44:24 | 小説
男は、消えてしまいたかった。よりによって、今夜会うとは。 「どうなさったの? お疲れのようね。 ごめんなさいね、父がご迷惑をかけたみたいで。 会社をお辞めになったと聞いて、心配してましたのよ」 あの高慢な麗子の言葉ではなかった。 心底に心配しての言葉として男の胸に入り込んだ。 「わたし、あの後に父の勧めるままに、あの方の後妻に入りましたの。 貴方とのことも、快く『若さというものは、羨ましいもの . . . 本文を読む

NTTコム リサーチ

NTTコム リサーチモニターに登録!