「黙れ、黙れ、黙れ! 調べはついているんだ。
お前の仕業だということは、お天道様がお見通しだ!
ここは、すでに包囲していーる!
貴様は、逃げらーれなーい!」
「あらぁ、なんてこったい。
どうしてそんなに おおごえでどなるんだよ。
けっ! まるであんたのうしろにいるにんげんどもを、みせびらかしているみたいなもんだぜ。
おれはえらいんだ、つよいんだ! って、
しきりにしょうめいしようと やっきになってるみたいだぜ」
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(一)
その日はいつになくすがすがしい目覚めで、
部屋中に漂うコーヒーに意識が誘われてのこともあり、心はいつになく穏やかだった。
が、重い瞼を、開いては閉じ閉じては開き、そして閉じる…。
際限のないこの営みに、再び睡魔に襲われようとしたとき、
カーテンの隙間から時折射るように射し込む朝の太陽の光が、
その閉ざされた目を鋭くえぐった。
熱いコーヒーからは白い湯気が立っている。
テーブル上の冷たい銀のフレームのサングラスに目をやり、
思わずため息ともつかぬ吐息を漏らしている。
風は時折、快い風を呼ぶ。
しかしカーテンの揺れる度の太陽の光に、思わず背を向けてしまう。
「すまないが、カーテンを閉めてくれ!」
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