もう少し前段のようなものを聞いてください。
小学生のおりには、作文でよくほめられました。
昔むかしに「計画学習」という教材誌がありました。
団塊の世代の方ならば、ひょっとして覚えてらっしゃるかもしれませんね。
それに投稿した詩やら作文で賞をいただいたことがあります。
だれもがわたし本人の体験談だと思いました。
小学生なのですから、それが当然のことでしょう。
しかしそれが事実として書いたように見せかけて、じつは作り話なのです。
じっさいには体験をしていない事象を、さも事実であったかのごとくに書いたのです。
こう書けばきっと先生は喜んでくれる、大人は感心してくれる、そんな思いで書いていたのです。
そんたくということばは、現在においてほぼ毎日のように新聞やらテレビのニュース番組でとびかうことばですが、あのおりのわたしにピッタリです。
たとえば小学三年か四年生のときに、いったん離れた伊万里市に戻りました。
銭湯からの帰り道にお寺の境内を横切ったという記憶があります。
――お寺の塀を左手に見て、石畳の道を兄とふたりで歩いた。
空には月が浮かんでいて、どこからか犬の遠吠えが聞こえてきた――。
そんな光景が浮かびます。
どうしてここまで詳しく覚えているかといいますと、このときの情景を詩として書き上げたのです。
「風呂の帰り道」というタイトルで、さきほどの「計画学習」という教材誌におうぼして、佳作だったかをいただきました。シャープペンシルが副賞でとどいたおぼえがあります。
なので、はっきりと情景が浮かぶのです。
ですが、お寺の名前は覚えていませんし、その一角だけの記憶なのです。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます