昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

[ライフ!] ボク、みつけたよ!  (五)もう少し前段

2024-10-03 08:00:49 | 物語り

 もう少し前段のようなものを聞いてください。
 小学生のおりには、作文でよくほめられました。
昔むかしに「計画学習」という教材誌がありました。
団塊の世代の方ならば、ひょっとして覚えてらっしゃるかもしれませんね。
それに投稿した詩やら作文で賞をいただいたことがあります。

だれもがわたし本人の体験談だと思いました。
小学生なのですから、それが当然のことでしょう。
しかしそれが事実として書いたように見せかけて、じつは作り話なのです。
じっさいには体験をしていない事象を、さも事実であったかのごとくに書いたのです。

こう書けばきっと先生は喜んでくれる、大人は感心してくれる、そんな思いで書いていたのです。
そんたくということばは、現在においてほぼ毎日のように新聞やらテレビのニュース番組でとびかうことばですが、あのおりのわたしにピッタリです。

 たとえば小学三年か四年生のときに、いったん離れた伊万里市に戻りました。
銭湯からの帰り道にお寺の境内を横切ったという記憶があります。
――お寺の塀を左手に見て、石畳の道を兄とふたりで歩いた。
空には月が浮かんでいて、どこからか犬の遠吠えが聞こえてきた――。
そんな光景が浮かびます。

どうしてここまで詳しく覚えているかといいますと、このときの情景を詩として書き上げたのです。
「風呂の帰り道」というタイトルで、さきほどの「計画学習」という教材誌におうぼして、佳作だったかをいただきました。シャープペンシルが副賞でとどいたおぼえがあります。
 なので、はっきりと情景が浮かぶのです。
ですが、お寺の名前は覚えていませんし、その一角だけの記憶なのです。



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