昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

「祭りの夜(改)」 (五)

2013-06-16 19:19:27 | 時事問題

(五)

一人取り残された私は、人ごみをかき分けてまで追いかける気にならずに、傍らの玉垣に腰をかけた。

「あぁ、悪いんだ。罰が当たるよ!」

りんご飴を、さも愛おしそうに舐めながら、彼女が戻ってきた。

「ねえ。あっちにね、お化け屋敷があるの。
入ってみない?」

「あぁ? お化け屋敷って、またか? 
この間入ったばかりじゃないか。

それでもってぼくにしがみついて、一歩も動けなかったろうが。
それなのに、またか?」

「意地悪! でもまた、入りたいんだもん。
この間のは、西洋のお化けだったでしょ? 

ここのは、日本のお化けみたいなの。
日本のお化けは知ってるからさ、そんなに怖くないんじゃない? 

ねえ、行こうよ。

あ、そうそう。さっき新一が言ってた呼び声って、お化け屋敷じゃなかったの? 
頭の少し禿げ上がったおじさんが、一生懸命大きな声を張り上げてたわよ。」


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