昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

今、この時の愛 (白い闇の七)

2011-01-09 15:00:16 | 小説
彼女の手が、
ぼくの頬に触れる。
たっぷりの泡のあとを、
優しく暖かく
羽毛の柔らかさで
触れてくれる。

ぼくの全神経が、
そこに集まる。
ぼくの吐く息と、
彼女のそれが
交じり合う。

空気を媒体とする接吻の、
何と甘美なことか。
あぁ、
これを歓喜と言わずして
なにを言う。

絶世の美女クレオパトラと
唇を重ね合わせたアントニオですら、
この悦びは知らない。


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