昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (六十)の十一

2013-05-08 17:24:31 | 時事問題

十一)

「ターちゃん。叱ったあとの、これがだろ?」

少し酔いの回ったらしい山田が、杉田の頭を撫でる仕草をした。
にやけ切った杉田の顔が、また笑いを誘った。

「秀子さ~ん、ぼくにもしてよ~!」

「光子ちゃ~ん。僕は、接吻して欲しいよぉ!」

「だったら俺は、このスカートに潜り込みた~い!」

あれほどに怒り狂っていた面々が、各々に着いた女給相手にふざけ合っている。
しかし、ひとり正三だけは入り込めずにいた。

“こんな場所に、小夜子さんは居たのか…。
どんなに心細かったことだろうか。

誰かを頼ったとしても、誰がそれを責められようか。
あぁ、ぼくは何てことをしてしまったのか。”


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