さよなら、さよなら
ただ見つめあうだけで 貴方のこころはわかるの
なにも言ってほしくない
さよなら、そのことばだけでいいの
貴方のひと言に
きっとあたしは泣いてしまう
みんな 儚い慕情として
あたしの胸の奥ふかくに しずめておきたいの
=背景と解説=
見栄です、男の見栄です。
自分を守るために、女子――あえて女子と呼びます――の立場から言わせているのでよ。
ちょっとたとえは悪いですが、エレベーターの中で……やめましょう、たとえが悪すぎます。
忘れて下さい。それにしても、こんなに自分が弱くて卑怯だったとは思いもよりませんでした。
出るものなんですね、本性というか魂幹(言葉がありませんね、造語です)というものが。
いくつの時だったかな、この辺りは。
高校を卒業しているはずですから、20歳あたりですかね。
定時制高校の四年生コースに通っていましたから、卒業の年に二十歳になったはずなんですよね。
そうです、社会に放り出されたんですよ。
10代後半は、社会人とはいえ、まだ学生の身分がありましたからね。
多少は甘く見てもらえるところがありますが、卒業してしまえばもう完全な社会人ですからね。
大人として、独り立ちを要求されましたから。
当時は、昭和40年代といのは、結構ハードでしたよ。
パワハラなんて当たり前ですし、殆どの企業・商店がブラックそのものでしたからね。
でもね、人間味がありました。家族だったんですね、あの折は。
遅くなった折には、夕食が用意してありましたし、朝も食べさせてもらえたりしたものですよ。
厳しい分、暖かくもありました。
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