(五)
やたらと語尾を甘ったるく伸ばす様は、聞かされている身としては辛いものがある。
「わたしとしては、ありきたりの美人には飽きたんだ。
良く言うだろ?『美人は三日で飽きて、不美人は三日で慣れる』って。
更には、『醜女の深情け』ともね。」
しっかりと薫の肩を抱き寄せて、真底の思いを語ったかの如くに、満足げな表情を見せる。
「安らげるんだよ、薫の傍だとね。」
“こんな痩せぎすのおばさんの、どこが良いんだよ。”
そんな思いを抱いていた面々だが、杉田の言葉に妙に納得させられている。
“確かに、美人相手だと気を使うかもな。”
“鼻っ柱の強い女が多いからな。”
“プライドの高い女は、確かに、ある意味疲れはする。”
“すぐに指名が入って、じっとしていない。けしからん!”
“キョロキョロして、落ち着きがない。”
と思いはするが、それでも、
“グラマーな美人がいい。”が、本音ではあった。
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