昭和の恋物語り

小説をメインに、時折よもやま話と旅行報告をしていきます。

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (六十八) 帰ろうかな…

2013-10-19 12:28:18 | 時事問題
小夜子の知る武蔵は、他人より少し目端の利くだけの男だ。 しかしこうして引きも切らずに訪れる村人たちを見るにつけて、武蔵の持つ金の魔力とその威力を改めて確認した。 宴から三日も経つと、さすがに小夜子を訪ねてくる者も居なくなった。 小夜子にしても、田舎での退屈な日にそろそろ耐えられなくなってきた。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (六十七) もういい! 

2013-10-17 18:24:47 | 小説
そんな武蔵に、思いもかけぬ小夜子の言葉。 不意を突かれた思いの武蔵に、容赦ない小夜子の一撃が飛んだ。 「もういい! あたし、英会話やめる。 どうせあたしの英語なんて、誰も聞いてくれないんだから。 何を言ってるのか、さっぱり分からないもん。 おじさんの方が、よっぽど上手じゃない。 あたしなんか、要らないわよ!」 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (六十七) 不安の高まり

2013-10-15 19:53:20 | 小説
不安の高まりから、武蔵の腕をぐっと握った小夜子だった。 強張った表情を見せながら車に乗り込んだ小夜子だった。 「なんだ、なんだ。 敵討ちに行くんじゃないぞ、おいしいものを食べに行くんだから。 肩から力を抜いて、大きく息を吸い込んでゆっくり吐け。 そうそう、肩を上下させて。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (六十七)

2013-10-13 13:37:02 | 小説
「小夜子は特別だ。 小夜子は、お姫さまだからな。 会社の連中、皆が口を揃えて言ってるぞ。 『お姫さまは、お元気ですか?』とか、 『またお出でくださるよう、お願いしてくださいよ』なんて。 毎日だ、いい加減、耳にタコができてしまった。 ほら、ほら、どうだ。耳の穴を覗いてみてくれ。 できてるだろ? 大きいのが。見えないか、見えないか?」と、耳を突き出す。 . . . 本文を読む

長編恋愛小説 ~水たまりの中の青空・第二部~ (六十七) 一

2013-10-06 12:31:19 | 小説
「でもね。あたくしだって、のほほんとくらしていた訳じゃないのよ。 お昼はイングリッシュスクールに通って、すべてイングリッシュでの会話なの。 日本語なんて、誰も使わないの。 グッドモーニングに始まって、グッドバイで終わるの。 ううん、スチューデントは全員日本人なのよ。 ティーチャーはアメリカ人ですけどね。 . . . 本文を読む

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