「そんなに上手く、行くものなんですか?」
「だから必死よ、みんな。自分をアピールすることに関しては、凄まじいものがあるわ。もう、見ていて恥ずかしくなるぐらい媚を売ってるんだから。今の娘は、それぞれ自分のチャームポイントを良く知ってるからねえ」 . . . 本文を読む
蛍子に連れられたのは、本通りを一本入った路地裏にある小ぢんまりとした小料理屋だった。
暖簾をくぐると、「いらっしゃい、おけいちゃん。あらあら、今夜はハンサムな青年ね」と、女将らしい女性から声が掛かった。 . . . 本文を読む
指差す先を見ると、数人のグループが一人の女性を介抱していた。
飲みすぎたらしい女性が、苦しそうにうずくまっている。
「どうするよ」
「どうするったって、弱ったなあ」
「チーフ、からまれてたもんなあ。課長、酒癖悪いもんなあ」
「何時だ、今?」
「えぇっと、一時ちょい前だな」
小声で話しているのだが、良く聞こえる。
「ねえ、ねえ、どうするぅ? 」
「帰ろうかあ、チーフがこんなだし」
二人の女性が、 . . . 本文を読む
「きっかけは、不純なものでした。
夜の女を口説き落とせるか? という、賭け事でした。
いえ、訂正します。そんなカッコイイものじゃない。
クラスメートに脅されたんです。
一生女と縁のない生活を送ることになるぞ、と。
彼らにとっては、面白半分のゲーム感覚だったと思います。 . . . 本文を読む
きっぱりと告げる青年に対し、マスターは慌てた。
付き合いをやめるよう迫ったつもりが、本気だと告げられて困惑した。
「ねえ。結婚を、そんなに簡単に決めていいの?
親御さん、反対なんでしょ? 当たり前だよ、そりゃ。
ねっ? お客さんもそう思うでしょ?」
「え、ええ。でもぼくはまだ学生の身ですし、そんな、結婚なんて考えられませんし」
はっきりとした意思を持つ青年に戸惑う彼だった。
牧子に対する思い . . . 本文を読む