12月1日(木).早いもので今日から12月です.昨夕,すみだトリフォニーホール(小)で新日本フィル室内楽シリーズ第3回目を聴いてきました.小ホールの入り口近くにクリスマスツリーが飾られていました
プログラムは①ドヴォルザーク「ピアノ五重奏曲」,②ブラームス「弦楽六重奏曲第1番」の2曲です.演奏はドヴォルザークが、吉村知子(第1vn)、山本のりこ(第2vn)、木村恵子(ヴィオラ)、矢野晶子(チェロ)、兼重稔宏(ピアノ)で、ブラームスが、田村安紗美(第1vn)、稲垣桃子(第2vn)、野村圭子(第1ヴィオラ)、間瀬容子(第2ヴィオラ)、多田麗王(第1チェロ)、森澤泰(第2チェロ)というメンバーです。
1曲目のドヴォルザークの「ピアノ五重奏曲」はピアノの伴奏でチェロが穏やかなメロディーを奏でます そしてヴァイオリン,ヴィオラが加わってドヴォルザークらしい音楽が展開します.ちょっと気になったのは第1楽章終盤にヴァイオリンセクションの音がキンキン響いてきたことです 小ホールなので演奏者と聴衆が近いということもあるのでしょう.しかし,それならそれで,大ホールとは違った弾き方があるはずで,力まかせに弾くのではなく,8分目位の力の入れ具合で弾けば丁度いいのではないかと思うのですが,素人考えでしょうか
第2楽章のアンダンテは情感に満ちた,いかにもドヴォルザークらしいメロディーが続き心安らぎます 第4楽章になって,やっとアンサンブルが整ってきて,フィナーレは気持ちよく終わることができました
2曲目のブラームスの「弦楽六重奏曲第1番」は,作曲者27歳の時の作品です.私はブラームスの音楽は好きな方で,交響曲は4つとも大好きですが,室内楽ではこの曲が「ピアノ三重奏曲第1番」とともに大好きです.両曲とも第1楽章冒頭部分がブラームスらしい渋い味があって素晴らしいメロディーなのです
新日本フィルの6人のアンサンブルは,第1ヴァイオリンの田村安紗美のリードで演奏を進めますが,こちらの方が安定しています チェロはメロディーを奏でるときはいいのですが,第1楽章前半のピッチカートはもう少し音楽的に表現できたら良かったと思いました
第2楽章のアンダンテはこの曲の”聴かせどころ”です.高音部も低音部も各セクションが情感を込めて切々と演奏します この曲を作曲した頃のブラームスは,婚約が破談になってかなり落ち込んでいたとも言われているので,そうした”気分”もこの曲に反映しているのかも知れません.
第3楽章,第4楽章と順調に演奏が進みフィナーレを迎えます.聴き終えて思ったのは「ああ,やっぱりブラームスはいいなあ」ということでした.11月最後の一日,大好きな音楽をしみじみ聴くことができて幸せでした
〔写真左はプログラム表紙.右は中面で,左の写真はシューマン夫妻,右はクララと遺児たち〕
閑話休題
クレイグ・マクドナルドの「パンチョ・ビリャの罠」(集英社文庫)を読み終わりました 著者はアメリカのジャーナリストで小説家です.史実に基づいた小説で,中年小説家へクターが,メキシコの英雄パンチョ・ビリャの首を,秘密結社やFBIや悪党グループの追跡をかわしながら正当な持ち主に届けるまでの物語です これまで読んだ中では,同じジャーナリスト出身のハイヤセンに近い,すっとぼけた味のある痛快クライム小説です