26日(月).今日はイタリア・オペラ界を代表する作曲家ベッリーニが30歳の時に作曲したオペラ「ノルマ」初演の日です 1831年12月26日,今から丁度180年前のことでした.ベッリーニには「清教徒」や「夢遊病の娘」といった素晴らしいオペラがいくつもありますが,私はこの「ノルマ」が一番好きです ソプラノで歌われるアリア「清らかな女神よ」をマリア・カラスのCDで聴いた時から,このオペラの虜になってしまいました.このオペラは美しいアリアの宝庫です
初演は当時最高のキャストで上演されたようですが,主役のジュディッタ・パスタから「清らかな女神よ」に何度もクレームを付けられ,ベッリーニは9回も書き直したというエピソードが残っています
このオペラはベッリーニの中では上演される機会が少ないのですが,生で観たことが3回あります.何年か前にテオドシュウがタイトル・ロールを歌った公演が一番印象に残っています.プラハ国立歌劇場の来日公演だったと思います
お薦めCDはもちろんマリア・カラスがタイトル・ロールを歌った1960年録音の演奏です.キャストはノルマ=マリア・カラス,ポリオーネ=フランコ・コレルリ,アダルジーザ=クリスタ・ルートヴィヒほかで,トリオ・セラフィン指揮ミラノ・スカラ座管弦楽団・合唱団による演奏です
閑話休題
樋口有介著「ピース」(中公文庫)を読み終わりました 著者は1950年群馬県前橋市生まれで,88年に「ぼくと,ぼくらの夏」で第6回サントリーミステリー大賞読者賞を受賞したとのことです
舞台は埼玉県秩父の田舎町で,スナック「ラザロ」の周辺でひと月に2度もバラバラ事件が発生します 被害者は歯科医と女性ピアニストだと判明しますが,犯行の動機について共通点がまったくつかめず捜査は難航します.そして,3人目の被害者が出ます.県警のベテラン刑事が推理を重ねていきます.さて,真犯人はだれか
この人の作品は初めて読みましたが,非常に文章がうまいという印象を受けました.小説ですから何人かの登場人物が出てきますが,一人一人の性格描写が優れていて,事件そのものの行方が気になる一方で,この人たちこれからどういう人生を送ることになるんだろう,と考えてしまうような魅力的な書き方なのです
この小説の表題「ピース」の意味は,写真を撮るときなどにVサインをする時の「ピース」であり,なぜ,その「ピース」が事件のキーワードになるのかが後半になってやっと分かりますが,もう一つ,物語の”断片”を意味する「ピース」であることも分かってきます 最近読んだ中では大いに楽しめた小説です.さっそく,次の本「楽園」を買い求め,読み始めました