5日(金)。昨夕、日経ホールで第414回「日経ミューズサロン~アンサンブル・ウィーン」公演を聴きました アンサンブル・ウィーンはウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のメンバーを中心に1988年に結成された四重奏団です
ただし、他の四重奏団と違うのはチェロの代わりにコントラバスが入っているとろです
現在のメンバーは、第1ヴァイオリン=アルべナ・ダナイロ―ヴァ(ブルガリア出身。2011年からウィーン・フィル初のコンサートミストレス)、第2ヴァイオリン=ライムント・リシ―(ウィーン・フィル第2ヴァイオリン主席)、ヴィオラ=ミヒャエル・シュトラッサー(ウィーン・フィル、ヴィオラ奏者)、コントラバス=ヨーゼフ・二―ダ―ハンマー(元ミュンヘン・フィル ソロ奏者)というメンバーです
自席は1階F列8番、左ブロックの右通路側です。会場は8割方埋まっている感じです プログラムは前半がモーツアルトのオペラから序曲やアリア、後半はスメタナのオペラから1曲、シュトラウス親子のウィンナ・ワルツです
会場の照明が落ちて、4人の登場です 第1ヴィオリンのダナイローヴァは上下黒のパンツスーツ、男性陣は全員が蝶ネクタイ着用ですが、その色でアクセントを付けています。第2ヴァイオリンのリッシ―は赤、ヴィオラのシュトラッサ―は緑、コントラバスの二―ダーハンマーは青です
このうちリッシ―とシュトラッサ―は毎年1月1日のウィーン・フィル・ニューイヤーコンサートの中継で必ずテレビに映るお馴染みの人です
コントラバスのみ立って演奏し、他の3人は椅子に座って演奏しますが、3人とも椅子の高さをかなり高い位置に調節しています
前半1曲目はモーツアルトのオペラ「フィガロの結婚」序曲です。第1ヴァイオリンのダナイローヴァを中心に軽快な音楽が進みます 次いで、①フィガロとスザンナの「もし奥様が夜中にお呼びのときは」、②フィガロの「伯爵様が踊りをなさりたければ」、③フィガロの「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」、④ケルビーノの「恋とはどんなものかしら」、⑤フィナーレが演奏されました
聴いているとオペラの風景が思い浮かびます。中でも「もう飛ぶまいぞ、この蝶々」は技巧的な第1ヴァイオリンの奏でるメロディーが印象的です
次にオペラ「ドン・ジョバンニ」から①村人たちの合唱「たわむれるのが好きなあなた(恋する娘さん)」、②レポレッロの「奥様これが恋のカタログです」、③ドン・ジョバン二の「手をとりあって」、④ドン・ジョバンニの「酒がまわっているうちに、踊りの準備だ」が続けて演奏されました。この中では特にレポレッロの「カタログの歌」が軽快なテンポで思わず口ずさんでしまいました
次いでオペラ「魔笛」から①タミーノの「助けてくれ、助けてくれ」、②パパゲーノの「私は鳥刺し」、③合唱「何という鈴の音」、④モノスタトスの「恋すりゃだれでもうれしいよ」、⑤パミーナの「愛の喜びは露と消え」、⑥パパゲーノの「娘か女か」が演奏されました。中でも「鳥刺しの歌」はダナイローヴァの装飾的な演奏が光りました
休憩時間には、いつものように、この公演のスポンサーであるファンケルがHTCコラーゲンというドリンクを無料で提供していたので、有り難くいただきました ウィーン・フィルのトップメンバーの演奏が聴けて、ドリンクも無料で飲めて入場料3,500円は超お得です
日経ミューズサロンは時に今回のような大ヒットを飛ばすことがあります
後半の最初はスメタナの歌劇「売られた花嫁」から”道化師の踊り”です。超高速演奏で突っ走ります次にヨゼフ・シュトラウスの「小さな風車」(フランス風ポルカ)がゆったりしたテンポで奏でられます。爽やかな良い曲です
次いで同じ作曲家のポルカ「ルトルフスハイムの人々」が軽快に演奏されます 途中で4人が一斉に足を鳴らすところがあり、ビックリしました。これも彼らのサービス精神溢れる演出です
次にヨハン・シュトラウスⅡ世のワルツ「南国のバラ」が優雅にそして情緒たっぷりに奏でられます 次いでヨハン・シュトラウスⅠ世の「アリス・ポルカ」が優雅に演奏されました
そして高速の演奏でⅡ世の「トリッチ・トラッチ・ポルカ」が、その名の通り”おしゃべり”のように饒舌に演奏されました
最後はⅡ世の喜歌劇「こうもり」の序曲がウィーン情緒豊かに演奏されました
それにしても十年位(?)前までウィーン・フィルは女性演奏者を採用していませんでしたし、ウィーンの音楽大学を出ていない人を採用することはありませんでした それが、この日に演奏したアルべナ・ダナイローヴァはブルガリア出身の女性のコンサートマスターです
相当優秀だったのでしょう。それは彼女の演奏を聴いていれば分かります。まさにウィーン・フィルの音を受け継いでいると思います
彼女はウィーン・フィルの演奏史を塗り替えたパイオニアと言ってもいいでしょう
全曲を終わり、4人は何度も舞台に呼び戻され、主催者側から一人一人に花束が渡されました。こういう心配りは良いと思います コントラバスの二―ダーハンマーが拙い日本語で「つぎの曲は、ちがって、タンゴです。エンディク・フランチー二の”やってきた女”です
」と言い、アンコールの演奏に移りました。ウィーン・フィルのメンバーによるタンゴは初めて聴きましたが、良いものですね
鳴り止まない拍手に、彼は「つぎは、ウィーンにかえりましょうか。ヨハン・シュトラウス1世の”ジプシー・ギャロップ”です」と言って2曲目の演奏に入りました。軽快な音楽です
それでも鳴り止まない拍手に「まだ1枚あります」と言って楽譜を持ち上げ、会場一杯の拍手 を受けました。「速い曲で、ファール・バッハの”逃げるが勝ち”です
」「これで本当に終わりです
」と続けて笑いを取っていました。まさにタイトル通り「逃げるが勝ち」といった高速テンポの曲で走り抜けました
久々に理屈抜きで楽しめたコンサートでした