人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

大野和士+新日本フィルでブルックナー「交響曲第7番ホ長調」を聴く

2013年07月07日 07時52分43秒 | 日記

7日(日)。昨日は暑かったですね。まるで灼熱の真夏のようでした そんな中、すみだトリフォニーホールに新日本フィルの第511回定期演奏会を聴きに出かけました プログラムは①シャリーノ「夜の肖像」、②ツィンマーマン「ユビュ王の晩餐のための音楽」、③ブルックナー「交響曲第7番ホ長調」、指揮は大野和士です

 

          

 

自席に着くと、いつもは隣の席に夫婦連れが座っているのに若い女性の2人連れが座っていました。多分、急に来られなくなって娘さんとその友達に代わりに聴くようにとチケットを渡したのでしょう

1曲目の「夜の肖像」の作曲者シャリーノは1947年シチリア生まれ。今でも活躍中とのことです 指揮者・大野の解説によるとこの曲は「夜の秘密の世界を描いた作品で、ブルックナーの静謐な内的な世界との共通性がある」という曲です 無音から弱音までのわずかな音で空気を震わせて音楽を紡いでいくものです。10分ほどの短い曲ですが、聴く側は相当の緊張を強いられます

この曲が終了すると、コントラバス4本を除くすべての弦楽器が退席し、オケの中央に椅子だけが並ぶ異様な光景が現出します 管楽器を中央にして、左サイドに打楽器、ギター、ピアノ等が、右サイドにコントラバスが配置され、パイプオルガンがセンター上方でスタンバイし、指揮者を待ちます

大野が再度登場し、2曲目のツィンマーマン「ユビュ王の晩餐のための音楽」が始まります ツィンマーマンは「前衛から無調、さらに12音技法からセリエリスムへ向かうのが『正しい』とするシュトックハウゼンの主張に反感を抱き、それまでのバッハ、ベートーヴェン、ワーグナー、シュトラウスなどの音楽を引用して膨大なコラージュ音楽として「ユビュ王の晩餐のための音楽」を作曲したのでした

曲のフィナーレでは、現代音楽の巨匠シュトックハウゼンの音楽を引用しながら、それを嘲るようにベルリオーズの「幻想交響曲」の”断頭台への行進”やワーグナーの「ワルキューレの騎行」がかぶさって音楽が進行します 憎き、音楽の敵シュトックハウゼンを断頭台に縛りつけようという音楽です。私など、親近感を感じますね これは新日本フィルの菅・打楽器の実力発揮の場面でした 

シャリーノにしても、ツィンマーマンにしても、ヨーロッパを活動拠点にして活躍する大野和士らしい選曲でした

休憩後に自席に戻ると、隣の2人連れの席は空席のままでした。前半で訳のわからない曲を聴いたので嫌気がさしたのか、後半のブルックナーの大曲に恐れをなしたのか、申し合わせてお帰りになったようです いずれにしても女性にとって、ブルックナーは苦手のようです 普通のコンサートで行列が出来るのは女子トイレですが、プログラムがブルックナーの時は男子トイレに長蛇の列が出来ます。どうしてブルックナーは女性に敬遠されるのでしょうね

ところで、ブルックナー「交響曲第7番ホ長調」は1881年秋に着手されましたが、第2楽章「アダージョ」を作曲中に、尊敬するワーグナーの訃報に接します そして、アダージョに「巨匠のための心からの葬送音楽」として追悼のコーダを書き加えています

大野の指揮で第1楽章が、ブルックナー特有のヴァイオリンのトレモロにのって明るい主題で開始されます この部分を聴くと、カラヤンがベルリン・フィルと来日した時にNHKテレビが放映した演奏シーンを思い出します 当時はモノクロでしたが、カラヤンが目を瞑って悠然とブルックナーの第7番の第1楽章を指揮する姿が頼もしく見えました。その頃、私もうぶでした

大野は悠然とした音楽運びでスケールの大きな演奏を展開します 弦楽器はコンマスのチェ・ムンスのもと、全力でブルックナーの大曲に対峙します。チェはいつも通り、椅子を高めに調整し、背中が見えるように身振りを大きくして演奏します フォルテの局面ではヴァイオリンを高く掲げて身体を後ろに反り返らせて楽員を引っ張ります

ブルックナーの大きな魅力の一つは「スケルツォ」でしょう。とくにこの第7番の交響曲の第3楽章は颯爽としていて大好きな音楽です

演奏後、会場のあちこちからブラボーがかかり、会場割れんばかりの拍手 が大野と新日本フィルのメンバーに注がれます。大野は楽器セクションごとに立たせて拍手を求めますが、楽員からも大野に対し大きな賞賛の拍手が送られます 大野と新日本フィルは結構、相性がいいと思いました

 

          

 

コメント (2)
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