10日(水)。昨夕、東京文化会館小ホールでクァルテット・エクセルシオの第25回東京定期演奏会を聴きました プログラムは①モーツアルト「弦楽四重奏曲第12番変ロ長調K.172」、②ベートーヴェン「弦楽四重奏曲第7番ヘ長調”ラズモフスキー第1番”」、③ブラームス「弦楽四重奏曲第1番ハ短調」の3曲です
クァルテット・エクセルシオは年間83公演をこなす常設の弦楽四重奏団で、来年結成20周年を迎えます。第1ヴァイオリン=西野ゆか、第2ヴァイオリン=山田百子、ヴィオラ=吉田有紀子、チェロ=大友肇という顔ぶれです
座席は全自由席のため少し早めに会場に行って並びました。幸い、G列27番、センターブロック右通路側席が確保できました 荷物を置いてホワイエでコーヒーを飲んでいると、「トラさん、こんにちわ
」と声を掛けられました。ヴァイオリン・ケースを携えてニコニコして立っていたのは新日本フィル第2ヴァイオリン奏者で同フィル室内楽シリーズのプレトークでお馴染みの篠原英和さんでした
先日のプレトークでクァルテット・エクセルシオを大きく評価されていたので、お見えになるかもしれないとは思っていましたが、本当にその場でお会いするとは思いませんでした
篠原さんは座席の確保のためすぐに会場に入られたので挨拶だけで終わりました
会場は小ホールにしてはかなりの人数が入っています
照明が落ちて4人の登場です。左からイエローのドレスの西野ゆか、ブルーのドレスの吉田有紀子、ホワイト・シャツの大友肇、淡いグリーンのドレスの山田百子という配置を採ります
1曲目のモーツアルト「弦楽四重奏曲第12番変ロ長調K.172」は、ほとんどディヴェルティメント(喜遊曲)と言っても良いほど、明るく軽快な曲です。第1ヴァイオリンの西野ゆかを中心にソフトなアンサンブルを奏でます
2曲目のベートーヴェン「弦楽四重奏曲第7番ヘ長調”ラズモフスキー第1番”」は、駐ウィーン・ロシア大使ラズモフスキー伯爵のために、1806年から翌年にかけて書いた3曲の弦楽四重奏曲の最初の曲です。冒頭、チェロが英雄風の堂々たるテーマを奏でますが、大友の演奏は軽快です それにのってヴァイオリンが、ヴィオラが続きます。時に吉田有紀子のヴィオラの演奏が光ります
3人の女性が自由に演奏し、それを大友がしっかり支えているという印象を受けます
休憩時間にホワイエでチラシの束と格闘していると、「何か良いのがありましたか?」と声を掛けられました 東京シティフィルの元事務局長Yさんでした。前回この小ホールでお会いしたのは、たしか古典四重奏団のシューベルトの演奏会だったと思います
しばし立ち話をして別れましたが、一つのコンサートで2人の知人に声を掛けられたのはコンサート歴40年にして初めてです
この日はそういう日だったのでしょう
ところでプログラムといっしょに配られたチラシの中に「エク通信」というA版のお知らせが混じっていました エクセルシオのメンバーからの挨拶のほか、西野ゆかさんが吉田有紀子さんのエピソードを面白おかしく書いています
また、大友さんが大学時代に3人の女子学生(当時は山田さんはいなかった)からカルテットを組まないかと誘われた時のエピソードを披瀝しています
言いにくいところは××にして隠しているので読む側は想像するしかないのですが、相当面白そうな3人なのですね、これが
休憩後のブラームス「弦楽四重奏曲第1番ハ短調」は1873年に発表した3曲の弦楽四重奏曲の最初の曲ですが、第1番は1850年代初期に着手され、本腰を入れたのは1865年ごろと言われています。完成が1873年なので、結局20数年もかけて完成した労作だったのです
この曲でも4人はお互いの音を聴きあいながら、重厚な”ブラームスの音”で見事なアンサンブルを奏でていました