3日(水)。昨夕、X部長から「30分だけ」と誘われて、K君と3人で地下のRで飲みました 生ビールとともに仕上げ蕎麦を注文して腹ごしらえしました。私が銀座ヤマハホールでのコンサートを控えているのでギリギリ45分飲んで解散しました。ビールと日本酒を飲んだのでやっぱり頭がぼやっとしています
ということで、徒歩で銀座に向かいました 銀座ヤマハ・ビルに入ると丸いウチワを配っていました。「100円」の丸い箇所を取り除き指を入れて使用するものです。何かトラブルがあった時に役立ちそうです。「ウチワもめを丸く収める」と言いますね ウチワを配るとはヤマハもセンスがいいですね
ということで、ヤマハホールで「漆原朝子と弦楽器の仲間たち」と題するコンサートを聴きました 出演はヴァイオリニストの漆原朝子のほかに、川田知子、伊藤亮太郎、会田莉凡(以上ヴァイオリン)、鈴木康浩、安藤裕子(以上ヴィオラ)、山本裕康、横坂源(以上チェロ)という面々です このうち会田莉凡(りぼん)は昨年12月5日に音楽大学フェスティバルの一環として演奏された桐朋学園大学オケのコンマスを務め、ブラームスの第4交響曲を見事にまとめ上げた人です その時の彼女への評価は翌日のブログにも書きましたが、”いつかは世に出る逸材”だと思っていました また、ヴィオラの鈴木康浩は読売日響の首席ヴィオラを務めながら、あちこちの室内楽に名を連ねている人です
プログラムは①モーツアルト作曲/レンツェフスキ編曲「3つのヴァイオリンのためのアダージョ、メヌエットとロンド」、②チャイコフスキー「弦楽六重奏曲”フィレンツェの思い出”」、③メンデルスゾーン「弦楽六重奏曲変ホ長調」です
自席は1階E列6番、前から5列目のセンターブロックの左通路側です 会場は9割方埋まっている感じです。ヤマハホールに来ていつも思うのは、7階にホワイエとトイレがあるのに、客席は8階まで螺旋階段を上って行かなければならないことです。すごく疲れます 一つのフロアが狭いのでこういう仕組みになっているのですが、何とかならないものでしょうか
1曲目のモーツアルト「3つのヴァイオリンのためのアダージョ、メヌエットとロンド」は、作曲者がウィーン時代の1783年に書いたとされる「3本のバセットホルンのためのディヴェルティメント」をドイツの作曲家グスタフ・レンツェフスキがヴァイオリン用に編曲したものです
左から伊藤亮太郎、漆原朝子、川田知子の順に並び、演奏が始まります。伊藤のリードにより心地よいヴァイオリンの音色が会場に響き渡ります ヴァイオリン3本だけでも豊かな音楽が表現できるものだと感心します
2曲目のチェイコフスキー「弦楽六重奏曲”フィレンツェの思い出”」は、彼がフィレンツェに魅せられて生涯に7回も訪れた最後の滞在の時に作曲したものです この曲では川田知子がファーストを務め、右に漆原、チェロの山本、横坂、ヴィオラの安藤、鈴木という順に並びます
第1楽章はいきなりメインディッシュが出されるように音のマスが押し寄せてきます 抒情的な第2楽章「アダージョ」、そして第3楽章「アレグレット・モデラート」を経て、第4楽章の舞曲のようなテーマが速度を増して演奏されフィナーレを閉じます まるで、次に演奏するメンデルスゾーンの弦楽八重奏曲を先取りするかのような推進力に満ちた音楽です ぐんぐん引っ張る川田のリードが光っていました
休憩後のメンデルスゾーン「弦楽八重奏曲変ホ長調」は、このジャンルの最高峰の作品ですが、彼がこの作品を作曲したのは、何と16歳の時だったといいます その7年後に改訂が加えられたとはいえ、すでに個性を持った完成された作品になっています モーツアルトに次ぐ天才と言われたのも頷けます
ここでいよいよヴァイオリンの会田莉凡の登場です。この曲ではファーストを漆原が務め、右に伊藤、川田、会田、チェロの山本、横坂、ヴィオラの安藤、鈴木という態勢を採ります
第1楽章「アレグロ・モデラート~」の推進力の素晴らしさをどう表現すれば良いのか、言葉が出てきません 音楽が脇目も振らず前へ前へと進みます そして第3楽章スケルツォの妖精が飛び回るような激しい動きの音楽 そして第4楽章プレストの止めようのない疾走感 これは誰がリードするといった演奏ではなく、8人それぞれが丁々発止の演奏を展開します ヴィオラの鈴木は、いつ見ても”音楽を演奏することが楽しくて仕方がない”という表情で、生き生きと演奏します 身近で観た会田莉凡は逞しく、時にファーストを、時にヴィオラを見ながらペースを保って演奏していました
という訳で、この日の演奏はメンデルスゾーンの「弦楽八重奏曲」に尽きます アンコールにその第3楽章「スケルツォ」をもう一度演奏、拍手喝さいを受けました