人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

METライブビューイングでドヴォルザーク「ルサルカ」を観る~ルネ・フレミングあってのオペラ

2014年03月03日 07時00分23秒 | 日記

3日(月)。昨日、新宿ピカデリーでMETライブビューイング、ドヴォルザークのオペラ「ルサルカ」を観ました。これは今年2月8日に米メトロポリタン歌劇場で上演されたオペラのライブ録画映像です キャストはルサルカにルネ・フレミング(ソプラノ)、王子にピョートル・べチャワ(テノール)、イェジババにドローラ・ザジック(メゾソプラノ)、水の精ヴォドニクにジョン・レリエ(バスバリトン)、外国の王女にエミリー・マギー(ソプラノ)ほかです。指揮はヤニック・ネゼ=セガン、演出はオット―・シェンクです 「ルサルカ」はドヴォルザークによって1900年に完成され、1901年3月31日にプラハ国民劇場で初演されました

 

          

 

物語は・・・・・妖精ルサルカは水浴びに来る王子に恋をしてしまう しかし、水の精なので人間には気づかれない。魔法使いイェジババに人間の姿に変えてもらうが、口がきけなくなってしまう ルサルカと王子は結ばれるが、王子は口がきけない彼女に飽き、城の祝宴に来た外国の王女に心を奪われる。王子に絶望したルサルカは水の精に苦しみを訴えるが、怒った水の精はルサルカを水中に連れ去る イェジババから「元に戻りたいなら、裏切った男の血が要る」と、短剣を持たされるが、王子を愛するルサルカはそれを捨てる。ルサルカの悲しい運命を伝え聞いた王子が湖に来て、ルサルカに許しを乞うが、愛の口づけは死を意味すると知る それでも王子はルサルカに口づけを求め、二人は抱擁し口づけをする。王子は安らかに息を引き取り、ルサルカは湖の底に去っていく

幕間のインタビューでスーザン・グラハムが、ルネ・フレミングに「あなたが25年前にMETのオーディションで歌ったのが、たしかルサルカの『月に寄せる歌』でしたね。当時はそれほどポピュラーな歌ではなかったと思いますが・・・・」と質問すると、「確かに、あまり歌われるアリアではなかったです。とても好きな歌です」と答えていました。彼女のMETデビューは1991年、「フィガロの結婚」の伯爵夫人役でした。今回のMETの「ルサルカ」はルネ・フレミングあってこその公演です 高音から低音まで実に美しい伸びやかな声で歌い演じます そのフレミングがインタビューで次のように語っています

「実は、このオペラで一番難しいのは、声が出せないルサルカが登場する第2幕です。アリアも歌わず、セリフもないルサルカをどのように演ずるかが一番難しいのです

フレミングの優れているところは、歌を歌わせれば天下一品であることはもちろんですが、歌わない時の演技がごく自然なところです 歌も演技も文字通りMETの”トップ”と言っても差し支えないでしょう

一方、イェジババ(意地悪ババアの略ではありません)を歌ったドローラ・ザジックはインタビューで「あなたが25年前(1988年)にMETデビューを飾った時に歌ったのは『イル・トロヴァトーレ』の『アズチェーナ』でしたね。今でもMETで同役を歌っていますが、当時と今とで歌い方や役作りに変化はありますか?」と訊かれ、「現在の方が、より役柄を掘り下げて歌うことでが出来ていると思います」と答えていました。私がザジックの実力を知ったのはライブビューイング2010-11シーズンのヴェルディ「イル・トロヴァトーレ」でアズチェーナを歌った時です アズチェーナにしてもイェジババにしても、みすぼらしい恰好をして歌う役ばかりなのが気の毒に思いますが、歌はしっかりしたドラマティック・メゾソプラノです。この人、凄いです

王子役のベチャワはポーランド出身でMETの常連です とにかくレパートリーが広く、何を歌ってもそつがない歌いぶりです。水の精ヴォニクは深みのあるバスバリトンです。また外国の王女を演じたエミリー・マギーはニューヨーク生まれで、MET初登場の実力派です

オペラはドヴォルザークらしい旋律に溢れています。とくにダンスのシーンで流れる音楽はドヴォルザークの真骨頂といったところです 時々ワーグナーやヴェルディのような感じを受ける音楽も見え隠れしますが、基本はドヴォルザークの歌謡性に満ちています

オットー・シェンクの演出は神秘的な湖など、非常に美しい舞台づくりになっています インタビューでフレミングが「舞台が美しい 水の精が木の上に登って歌うというのは別として・・・・」と言って笑わせていましたが、そういう不自然さを抜きにして本当に美しい舞台です

「ルサルカ」の上映時間は休憩2回・インタビューを含めて3時間40分。全編チェコ語で歌われます。東京では、新宿ピカデリー他で3月7日(金)まで上映されます。入場料は3,500円です。お薦めします

 

          

 

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