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人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

日本モーツアルト協会第557回演奏会でピアノ三重奏曲を聴く

2014年03月06日 07時00分33秒 | 日記

6日(木)。昨夕、東京文化会館小ホールで日本モーツアルト協会の第557回演奏会を聴きました プログラムはモーツアルトの①ディヴェルティメント・変ロ長調K.254 ②ピアノ三重奏曲ト長調K.496、③三声部のフーガ・ト長調K.443 ④ピアノ三重奏曲ハ長調K.548の4曲 演奏は、フォルテピアノ:平井千絵、ヴァイオリン:佐藤俊介、チェロ:エマニュエル・ジラールの3人です

一般的なコンサートは開場:午後6時半、開演:午後7時というケースが多いのですが、なぜかこの日本モーツアルト協会”例会”は、開場:6時15分、開演:6時45分と細かく刻んでいます 何故なのか・・・・会場に入って辺りを見渡してみて理由が判明しました。来場者はほとんどがモーツアルト協会の会員と思われますが、平均年齢が非常に高いのです ということは、現役を引退して時間が有り余るほどの人がほとんどなので、出来るだけ早く始まり、出来るだけ早く終わり、出来るだけ早く帰れるのが一番なのです おれはいいんだよ、おれは(こういう場合は、絶対に俺は良くないケースが多い)。全自由席なので急いで会場に駈け付けましたが、6時過ぎにはすでに小ホールに至る坂に長蛇の列ができていました それでもK列28番、右ブロック左通路側席が押さえられました。会場は7~8割程度埋まっている感じです

 

 

          

 

ステージ中央では木目調のフォルテピアノが聴衆の注目を集めています 3人の演奏者が登場し、1曲目のディヴェルティメント変ロ長調K.254の演奏に入ります。この曲は1776年8月、モーツアルトが20歳の時に故郷ザルツブルクで作曲されました。ヴァイオリンもチェロも”古楽器”(モーツアルトの時代の楽器を復元したもの)を使用しているので、くすんだような軟らかい音が会場を満たします

演奏が終わると、調律師が出てきて、いきなりフォルテピアノの調律が始まりました 平井がマイクを持ってあいさつをします

「モーツアルト協会の会員の皆さん、こんばんは(私は会員ではありませんが、こんばんは!)、今日は雨の中、会場にお出でいただきありがとうございます。異常事態発生で、いま調律してもらっています(えっ、どこがおかしいの?)。今日演奏する曲はファオルテピアノとヴァイオリンとチェロによる三重奏曲ですが、3人の親密度がだんだん分かってくる曲です 呼吸が合えばどんどんお互いが好きになり、反対に呼吸が悪いとどんどんお互いが嫌いになっていきます。この演奏会が終わった時にお互いが好きになっているように頑張りたいと思います

2曲目のピアノ三重奏曲ト長調K.496は、前作の10年後の1786年7月8日にウィーンで完成されました。同じ時期にピアノ協奏曲第23番、第24番、歌劇「フィガロの結婚」などの傑作が作曲された充実期の作品です 3人はそれぞれが”我こそは・・・”という強引な主張はありません。むしろ控えめで、お互いに調和を目指して丁寧に音楽を作っていきます。それは「古楽器は大きな音が出せない」という事実に裏付けられています

15分の休憩後、3人が再登場し、佐藤から順番にマイクを持って楽器について解説をします。3人の解説をまとめると

「今日使用しているヴァイオリンとチェロはモーツアルトが生きていた時代のコピー楽器で、ガット弦(羊の腸で出来ている)を使用している ヴァイオリンには顎あてはない。顎あてを発明したのは作曲家のシュポアで1830年頃だった。チェロはエンドピンがない。フォルテピアノは61鍵を持つ。ベートーヴェンのピアノ作品は半分が61鍵の楽器で演奏されていた。その意味では61鍵はそれなりに完成されていた これは驚くべきことだ。ちなみに現代のピアノは88鍵である。鍵盤は現在のピアノは深さ10ミリありタッチが重いのに対し、フォルテピアノは5ミリ程度と浅くタッチが軽い。それが弾き方に影響を及ぼし、聴く聴衆の耳にも影響を及ぼす。大きな音が出ないので、極めてインティメートな雰囲気の中で演奏されるデリケートな楽器である

そして、モーツアルトが37小節まで作曲し残り95小節を弟子が補筆した「三声部のフーガ」と、1788年7月14日に完成した「ピアノ三重奏曲ハ長調K.548」とを続けて演奏しました 先のK.496の三重奏曲と比べると3つの楽器の扱いが平等に近くなっており、一層充実していることが分かります 第2楽章が終わったところで拍手が起こりました おいおい、まだ終わってねーぞ モーツアルト大好き人間が集まったモーツアルト協会のコンサートでも、ピアノ三重奏曲はあまりポピュラーではないのでしょうか? あるいは私のように、会員でもないのに、のこのこと出かけてきたモーツアルティアンが少なくなかったのでしょうか

3人はアンコールに、モーツアルトの「ピアノ三重奏曲K.502」の第2楽章をしみじみと演奏しました 久しぶりにモーツアルトの世界に浸ることが出来て幸せでした

チラシの束に平井千絵さんのリサイタルのお知らせが入っていました。4月13日(日)午後2時から東京文化会館小ホールで開かれるとのことです。モーツアルト中心のプログラムです。私は残念ながら「東京・春・音楽祭」のガラ・コンサートを、隣の大ホールで聴くので行けません。どなたか興味のある方、いかがでしょうか。全席指定5,000円です。お薦めします

 

          

 

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