5日(水)。昨日の朝日朝刊の中面の見開きページを見てビックリした人も多かったのではないでしょうかそこには、ペプシ・コ―ラがコカ・コーラ対し自社製品の優位性を主張した「比較広告」を展開しています
上段に大きく「勝ったのは、ペプシNEX ZERO。」と表示、その下に「Q:おいしいコーラはどっち?」として、左ページにペプシNEX ZEROの写真と61%を、右ページにコカ・コーラ ゼロの写真と39%を配置し、「おいしさで、ペプシNEX ZEROが勝利しました。」とうたっています さらに、「500名を対象に、コカ・コーラ ゼロとの飲み比べを実施。その結果、61%の人が新しいペプシNEX ZEROの方がおいしいと答えました」として、その根拠を説明しています。そして一番下に「Forever Challenge」の文字が浮かびます
比較広告というのは、自社や競合する他社の商品と比較して優位性をアピールする広告の手法で、価格や性能などの数値を引き合いに出して商品をアピールするものです 実はアメリカで、1980年代にペプシ・コーラは全国各地でブラインド・テストによる公開試飲調査を行い、コカ・コ―ラよりも美味しいと回答した人が半数を超えたことを宣伝し、大きな反響を呼び、シェアを拡大することに成功したと言われています
今回の見開き全ページ比較広告は、過去の実績を踏まえて、あえて再びチャレンジしたものです。さて、この挑戦に対してコカ・コーラはどう出るでしょうか?負けずに独自の試飲調査をして、自社に有利な数値が出たら比較広告を出すというストーリーが考えられますが、新聞社の思うつぼですね
閑話休題
昨日の朝日朝刊・文化欄に「それでもSFは作品賞逃す~アカデミー賞 実話ベースを好む傾向」という記事が載りました。超訳すると
「第86回アカデミー賞の受賞式は2日に開かれたが、過酷な奴隷制度を描いた「それでも夜は明ける」が作品賞など3部門で受賞した 対抗馬とされた3DのSF「ゼロ・グラヴィティ」は監督賞など7部門受賞と、数の上では他作品を圧倒した しかし、今年もまた、SF映画が作品賞という頂点に立つことはなかった」
「それでも夜は明ける」を監督したのはスティーブ・マックイーンとあったので、一瞬あの「拳銃無宿」、「大脱走」、「ブリット」でお馴染みのカッコいいマックイーンかと思ったのですが、授賞式での監督の写真を見ると、似ても似つかない顔だったので「それもそうだよな」と納得した次第。黒人監督による初受賞とのことです。個人的には「ゼロ・グラヴィティ」が良いと思ったのですが・・・・・・何しろ、ノミネート作品の中で唯一観た映画ですから
も一度、閑話休題
昨夕、サントリーホールで毎日希望奨学金チャリティコンサート「がんばろう!日本 スーパーオーケストラ」のコンサートを聴きました オケのメンバーはN響、東響、都響、新日フィル、東京シティフィル、東フィル、日フィル、関西フィル、仙台フィル、山形響、札響、群響など全国各地のオケから結集した混合オケです。指揮をとるのは高関健
プログラムはチャイコフスキーの①弦楽セレナーデ・ハ長調~第1楽章、②ヴァイオリン協奏曲ニ長調(ヴァイオリン独奏=渡辺玲子)、③交響曲第4番ヘ短調です
サントリーホールで何回コンサートを聴いたか数えきれませんが、この日初めてP席で聴きました P席というのはステージの後ろ側の2階席です。指揮台(ポディウム)が見える位置にある席ということでP席と呼ばれているそうです。指揮者を正面から見ることが出来る反面、オケのメンバーの背中しか見えないという「ワインヤード(葡萄棚)方式」コンサートホール独特の座席です 席はP3列14番、前から3列目のやや左サイドの席です。会場は8割方埋まっている感じです
1曲目がチャイコフスキーの「弦楽セレナード」のため、弦楽奏者だけが登場します。コンマスは読響コンマスの小森谷巧、その隣は元大阪フィル首席コンマスの長原幸太、小森谷の後ろは東京シティフィル客員コンマスの松野弘明がスタンバイします。コントラバスにはN響首席の吉田秀が控えています
高関健がタクトを持たずに登場、演奏に入ります。チャイコフスキー自身が述べているように「感情に満ちた作品」です 冒頭の序奏を聴いただけで曲の魅力に引き込まれます。自席から、ノースリーブのドレスで演奏する女性チェロ奏者がよく見えますが、ヴィヴラートをかけるたびに白い腕の筋肉が震える様子がよく見えます 「楽器の演奏って、結局運動なんだよな」と思った瞬間でした
管楽奏者が加わって、2曲目の「ヴァイオリン協奏曲」に備えます。進行役のアナウンサー小森谷徹(コンマスと関係あるのかな?)が出てきて、この公演の趣旨を説明します
「このコンサートは東日本大震災で保護者を亡くした遺児を応援する”毎日希望奨学金”のためのチャリティコンサートです。読売日響のコンマス・小森谷さんが、毎日新聞のコンサートのためにボランティアの仲間を集めて演奏します 凄いですよね。だって読売が毎日に乗り込むんですから(会場)。この演奏会のために全国から78人の演奏者がボランティアで集まってくれました()。この日、演奏すべきコンサートを降りて、この公演に駈け付けてくれた演奏者の方もいらっしゃいます」(会場から”オーッ!” )
アナウンサーらしく、というか、とにかく早口で聞き取りにくいことこの上ないのです。いつも思うのはコンサート会場で話をする場合、特にマイクを使って話す場合は、出来る限りゆっくりと話してほしいということです。話すプロだったら、コンサート会場の音響特性くらいは分かっているはずです
さて、ソリストの渡辺玲子が深紅のバラ色のドレスで登場します どうも高いハイヒールを履いているようで歩きにくそうです。高関のタクトで第1楽章が始まり、渡辺のヴァイオリンが入ってきます。一旦演奏に入ると、不安定なハイヒールを履いているとは思えない集中力で、高度な技巧を要するパッセージも難なく弾きこなしていきます 第1楽章が終わった時点で会場のそこかしこで拍手が起こりました これは、明らかに初めてこの曲を聴いた人のフライングですが、感動のあまり拍手をしてしまったと良い方向で解釈しておくことにします
第2楽章の抒情的な旋律を経て、畳み掛けるような第3楽章に入ります。P席で聴いていても渡辺のヴァイオリンは鋭く、そして美しく迫ってきます P席・・・迫力あって、いいかも いやあ、凄い演奏でした。彼女の演奏は何度か聴いたことがありますが、今回のは最高でした
休憩後は交響曲第4番です。さらに管楽器が増員されフル・オーケストラで演奏します 第1楽章冒頭のファンファーレは、チャイコフスキーが「交響曲全体の萌芽、中心的な楽想で、幸福を妨げる運命を表す」と語っているように、劇的な曲想です 第2楽章は冒頭のオーボエ・ソロが哀しげです。第3楽章は弦楽器のピチカートが小気味が良くウキウキします そして第4楽章フィナーレでは”運命”が爆発します P席という演奏者に間近な位置で聴くと、いっそう迫力が感じられます。演奏者の背中を見て聴く方が、前面から見て聴くよりも、演奏者の懸命さが直接伝わってくるような感じがします P席は、予想以上に音響は良く、通常の前方左右の席よりずっと良いと思います なぜかと考えるに、音は上に昇るからだと思います。P席は2階にあるので、1階前方左右の席より音が届きやすいのではないかと思います そして、指揮者に相対しているので演奏する側に自分がいるという意識になります
アンコールにチャイコフスキーの「弦楽セレナーデ」の第2楽章を軽やかに演奏しました そして、最後に会場の聴衆を巻き込んで「ふるさと」を合唱してコンサートを締めくくりました。また来年も聴きに行きます