5日(月)。昨日の朝日朝刊「新型コロナ」のページに「うがいの予防効果 はっきりせず ~ 厚労省『科学的根拠ない』」という見出しの記事が載っていました 超訳すると、
「新型コロナウイルス対策で、世界保健機構(WHO)や厚生労働省などが手洗いやマスク着用を勧めているが、うがいの効果については、はっきりしていない 新型コロナに効果はあるのか? 厚労省の担当者に取材すると、新型コロナに対するうがいの効果について、『科学的に確立されたエビデンス(根拠)はない。とくに推奨はしていないが、否定するものではない』と説明する
感染症の予防効果に関しては、京都大学の研究チームが2005年に国際医学誌に発表した論文が、うがいが風邪予防に効く可能性を示した
風邪の流行する冬季に18~65歳の387人に協力してもらい、①水でうがいをする②うがい薬でうがいをする③積極的にうがいをせずそれまで通りの習慣を続ける、の3グループに分けて、2か月にわたって風邪をひくかどうかをみた。うがいは1日3回してもらった
すると、水でうがいをするグループがもっとも風邪を引きにくく、積極的にうがいをしないグループに比べて風邪をひいた人の割合が36%少なかった
一方で、うがい薬でうがいをしたグループは1割ほど少なかった
なぜ水うがいをしたグループが、風邪をひきにくいのかについて、詳しい理由はわかっていない
ただ、実験をした京都大学の川村名誉教授は、うがいはウイルスが持つ、増殖に欠かせない酵素『プロテアーゼ』を取り除く可能性もあると考えている
川村氏は『うがいは手間もコストもかからず、薬やワクチンのように副作用もない。やって損になることはないのではないか』と話す
」
これからの季節は、新型コロナとインフルエンザの両方を意識して感染予防をしなければなりません その意味では、「手洗い・マスク着用」に加えて「水うがい」を習慣とするのが、何もしないよりはベターだと思います
私は、外出先から家に帰った時には 必ず水うがいをして薬用ハンドソープで手指の消毒をしています
ということで、わが家に来てから今日で2195日目を迎え、菅義偉首相は3日午前7時半ごろから東京・原宿のパンケーキが有名な店で、内閣記者会の所属各社の首相番記者と懇談を行ったが、朝日、東京、京都各紙は欠席し、ともに日本学術会議問題などを会見などで説明すべきだとの考えを伝えた というニュースを見て感想を述べるモコタロです
パンケーキにつられて深い記事が書けたら世話がない 会食より会見を求めるべし
昨日、初台の新国立劇場「オペラパレス」で、2020/2021シーズン開幕公演、ブリテンのオペラ「夏の夜の夢」を観ました このオペラはベンジャミン・ブリテン(1913-1976)がシェイクスピアの原作に基づき1960年に作曲した作品です
本公演は当初、デイヴィッド・マクヴィカーの演出により上演する予定でしたが、新型コロナウイルス感染拡大を受け、オリジナル演出の舞台装置・衣装を使用し、同感染症の拡大予防対策を講じた「ニューノーマル時代の新演出版」によって上演されました また、海外在住の招聘歌手陣はコロナ禍に伴う出入国制限措置により来日できなくなり、当初から出演予定の藤木大地をはじめオール日本人歌手の出演となりました
また、指揮者もマーティン・ブラビンスから飯森範親に代わりました
キャストは次の通りです
オーベロン=藤木大地、タイターニア=平井香織、パック=河野鉄平、シージアス=大塚博章、ヒポリタ=小林由佳、ランサンダー=村上公太、ディミートリアス=近藤圭、ハーミア=但馬由香、ヘレナ=大隅智佳子、ポトム=高橋正尚、クインス=妻屋秀和、フルート=岸波愛学、スナッグ=志村文彦、スナウト=青地英幸、スターヴリング=吉川健一。児童合唱=TOKYO FM少年合唱団、管弦楽=東京フィル、指揮=飯守範親、演出・ムーヴメント=レア・ハウスマンです
【物語】貴族の娘ハーミアは許婚ディミートリアスとの結婚を拒絶し、相愛のライサンダーとともにアテネ近郊の森に駆け落ちする ハーミアを追いかけるディミートリアスと、彼に片思いするヘレナも二人の後を追いかけて森の中へ。そこでは妖精の王オーベロンと妃タイターニアがインドから来た小姓を取り合って夫婦喧嘩の真っ最中だった
王の命令で惚れ薬を手に入れた妖精パックは、ディミートリアスと誤ってライサンダーの瞼に薬を塗る。一方、妃はパックの悪戯によりロバ頭になった職人ポトムに夢中になる
こうして妖精パックの勘違いや悪戯が二組のカップルを混乱に貶めていくが、最後にオーベロンが魔法を解かせ、アテネ大公シーシアスの結婚式に合わせて彼ら二組も結婚式を挙げる
私がオペラを観るのは、2月6日の新国立オペラ「セヴィリアの理髪師」以来なので、実に8か月ぶりです 私にとっては待望の開幕公演です
会場は1階1列目と2列目がコロナ感染拡大予防のため空席になっていますが、それ以外の席は結構埋まっています
私だけでなく多くの聴衆にとって待望のオペラ公演だったのでしょう
会員先行発売では座席を指定できない仕組みになっていました 主催者側が指定した座席は2階3列15番、センターブロック左通路側です。かなり優遇してくれたと思います
オーケストラ・ピットの中にスタンバイするのは東京フィルの35人の奏者です。2月の「セヴィリア~」の時は東京交響楽団でしたが総勢49人でした 曲目にもよるのでしょうが、ピットの中は3密空間なので、ソーシャルディスタンスを図るため人数を制限したと思われます
指揮者・飯森範親が指揮台に上がり第1幕に入ります 生まれて初めて聴く曲、しかも”現代曲”なので緊張します
第1幕はブリテン独特の音楽の流れに慣れるのに時間がかかりました
ただ、事前にプログラム冊子を買って「あらすじ」から「作品解説」や「専門家の寄稿」まで読んで オペラの全体像が頭に入っていたので、予習なしとはだいぶ違うと思います
歌手陣では、オーベロンを歌ったカウンターテナーの藤木大地が期待通りの透明感のある美しい歌唱を披露し聴衆を魅了しました
タイターニアを歌った平井香織は国立音大大学院修了の二期会会員ですが、良く通るソプラノでした
パックを歌った河野鉄平は身体能力が抜群で、舞台狭しと走り回り、声に力がありました
今回女性陣で一番印象に残ったのはヘレナを歌ったソプラノの大隅智佳子です 東京藝大大学院修了の二期会会員ですが、高音に伸びがあり、存在感が抜群でした
ハーミアを歌った但馬由香は武蔵野音大大学院修了の藤原歌劇団員ですが、説得力のあるソプラノでした
男性陣ではランサンダーを歌った村上公太が印象に残りました 東京音大卒、新国立オペラ研修所第6期修了のテノールですが、力強い歌唱で会場を圧倒しました
ディミートリアスを歌った近藤圭は国立音大大学院首席修了、新国立オペラ第9期修了のバリトンですが、魅力のある声質で演技力もありました
児童合唱のTOKYO FM少年合唱団の皆さんは、透明感のある歌声を披露し、大健闘でした
飯森範親指揮東京フィルは、歌手に寄り添いながら、夢の中の世界のような浮遊感に満ちた音楽を奏で、聴衆を魅了しました
演出では、それぞれのカップルが密に接近するのを避けるシーンが各所で見られ、これがコロナ禍における「ニューノーマル」演出なのだろうな、と思いました
ただ1つだけ演出で気になる点がありました 第3幕で職人たちが集まってアテネ大公シーシアスの結婚式で余興劇「ピラマスとシスビー」を演じるシーンがあります
余興劇の内容は、「ピラマスとシスビーは石垣の穴を通じて愛を囁き合う
ライオンに襲われたシスビーは命からがら逃げるが、彼女が残した血染めのマントを見て、ピラマスは彼女が死んだものと思い、命を絶つ
ピラマスが死んでいるのを見てシスビーも後を追う
全員でベルガマスクを踊って劇は終わる」というものです
シスビーが死んだあと、職人が「このあと、エピローグにしましょうか? それともベルガマスクにしましょうか?」と尋ねると、結婚して大公婦人となったヒポリタが「ベルガマスクにして。でも短い方がいいわね」と答えます
この余興劇は、そういう種類の”早く終わった方がいいような”退屈な芝居という位置づけにあります
この劇をポトム、クインス、フルート、スナッグ、スナウト、スターヴリングたちが演じるのですが、観ていると、どうも もどかしいのです ”早く終わった方がいいような退屈な芝居”なので、歌手たちはいかにも学芸会的に演じているのですが、観ている側は 間延びして笑うに笑えない状況に陥ってしまいます
この部分は演出上、他にやりようがないのかな、と思ってしまいます
これが純粋な「演劇」であれば、いかようにも やりようがあるのでしょうが、オペラとなると難しいのかも知れません
しかし、よく考えてみると、退屈な芝居を退屈に感じるように演じているわけだから、演出家の意図の通りに演じられていることになります
われわれは、まんまと演出家の術中に嵌ったのかもしれません
以上の通り、オール日本人歌手によるオペラ公演としては大成功だったと思いますが、カーテンコールで 歌手たちが手をつなげず 隣人との間合いを図っているのを見て、これがコロナ禍におけるカーテンコールの「ニューノーマル」なんだろうな、と思いました
8か月ぶりのオペラ鑑賞でしたが、やっぱり総合芸術のオペラはいいな、とあらためて思った公演でした