秋山和慶 ✕ 神尾真由子 ✕ 読売日響でプロコフィエフ「ヴァイオリン協奏曲第1番」、レーガー「モーツアルトの主題による変奏曲とフーガ」、レスピーギ:組曲「鳥」を聴く ~ 読売日響 第602回定期演奏会
18日(日)。昨日の日経朝刊別刷り特集「NIKKEIプラス1」のコラム「マナーのツボ」が「マスク越しの会話」について取り上げていました 超訳すると、
「マスクに慣れてきたが、声が小さくて相手の言っていることが聞き取れず『えっ』と聞き返すことが続いた お店などビニールシートが間を遮っている場所では、さらに伝わりづらい
『声は2割大きく、滑舌しっかりと』がきちんと伝えるためのポイントとなる
そのための発声練習「口の体操・アエイオウ」を覚えておくと便利だ
これは日本語の母音を口の開け方順に並べたものだ
『ア』はあくびのように大きく、『エ』は横にひいて指1本入るぐらい、『イ』は口角をあげて二コちゃんマーク、『オ』は唇をつぼめ、『ウ』はさらに力を入れて前に突き出す。コツは意識して『アエイオウ』と口を動かすこと
」
この記事を読んで、先日池袋の某喫茶店で経験したことを思い出しました 当然、店側も私もマスクをしていました。私が「ホットコーヒーのMをお願いします」と注文すると、なんとアイスコーヒーのSサイズが出てきました。間近、もとい、マジか
と思いましたが、料金は同じだったので「まあいいや
」と思ってそのままアイスコーヒーを飲みました。それにしてもホットとアイスを取り違えるだけならまだしも、サイズまで取り違えられたのは生まれて初めての経験でした
これを機に、できるだけ大きな声で注文するようになりましたが、「口の体操・アエイオウ」は役に立ちそうです。さっそく実行しようと思います
ということで、わが家に来てから今日で2208日目を迎え、米国の新型コロナウイルス感染者が16日、累計で800万人を超え、冬本番を控え感染の「第3波」に警戒が強まっている というニュースを見て感想を述べるモコタロです
自身がコロナに罹る危機管理能力ゼロのトランプが大統領の国だから 無理もないな
16日(金)19時からサントリーホールで読売日響 第602回定期演奏会を聴きました プログラムは①レスピーギ:組曲「鳥」、②プロコフィエフ「ヴァイオリン協奏曲 第1番 ニ長調 作品19」、③レーガー「モーツアルトの主題による変奏曲とフーガ」です
演奏は②のヴァイオリン独奏=神尾真由子、指揮=秋山和慶です
読売日響だからなのか、サントリーホールだからなのか分かりませんが、座席配置は市松模様ではなく通常の配置をとります 先日の東響のときも同じだったのでサントリーホールの方針なのでしょうか
しかし、市松模様配置にしても満席にはならないほどの寂しい客入りです
まだコロナ禍に不安を感じてコンサートに来られない聴衆がかなりの割合でいるような気がします
そんな中、オケのメンバーが登場する直前に最前列ど真ん中の席に向かうサスペンダーじいさんを発見しました 8か月ぶりぐらいです。いつものように大きな荷物を背負っているので超目立っています
コンサートの再開はじいさんとの再会を意味していました。思わず ため息がでました
多くの会員のため息が聞こえてきそうな気がしました
さて、オケの配置は左から第1ヴァイオリン、第2ヴァイオリン、チェロ、ヴィオラ、その後ろにコントラバスといういつもの読響の並び。コンマスは長原幸太です 1941年生まれ、東京交響楽団の音楽監督・常任指揮者を40年間務め、読響とは9年ぶりの共演となる秋山和慶氏が登場し指揮台に上がります
1曲目はレスピーギ:組曲「鳥」です この曲はオットリーノ・レスピーギ(1879-1936)が1927年に作曲、同年サン・パウロ市立劇場で初演されました
第1曲「前奏曲」、第2曲「鳩」、第3曲「雌鶏」、第4曲「ナイチンゲール」、第5曲「かっこう」の5曲から成ります
第1曲「前奏曲」はバロック風の音楽が奏でられ、後に出てくる雌鶏やかっこうの鳴き声も聴こえてきます 第2曲「鳩」は意外にも我々が知っている忙しない動きの鳩ではなく、オーボエの哀愁に満ちた音楽で表されます
平和の象徴として描いているのだろうか
蠣崎耕三のオーボエが素晴らしい
第3曲「雌鶏」はコケコッコーではなくコッ、コッ、コッと鳴き続けます
第4曲「ナイチンゲール」はフリスト・ドブリノヴのフルートが静かに美しく鳴きます
最後の「かっこう」ではフルートを中心に「かっこう」のさえずりを表します
それにしても、レスピーギという作曲家は、「ローマの松」「ローマの噴水」「ローマの祭」のローマ三部作にしても、この「鳥」にしても、描写的な音楽を好んで作曲していたんだなあ、と思いました
2曲目はプロコフィエフ「ヴァイオリン協奏曲 第1番 ニ長調 作品19」です この曲はセルゲイ・プロコフィエフ(1891-1953)が1916年から翌17年にかけて作曲、1923年10月にパリで初演されました
第1楽章「アンダンティーノ」、第2楽章「スケルツォ:ヴィヴァーチッシモ」、第3楽章「モデラート ~ アレグロ・モデラート」の3楽章から成ります
ソリストの神尾真由子が白と黒を基調とする、パリコレから抜け出してきたようなエレガントな衣装で登場、秋山氏の指揮で演奏に入ります 神尾の演奏は作曲者の指示の通り「夢見るような」ソフトで幻想的な雰囲気に満ちたものでした
第2楽章は一転、プロコフィエフと言うよりもショスタコーヴィチを彷彿とさせる躍動感に満ちた音楽が展開します
第3楽章は強弱により明暗を示した演奏が見事です
秋山 ✕ 読響はピタリとつけてソリストを盛り立てました
プログラム後半はレーガー「モーツアルトの主題による変奏曲とフーガ」です この曲はマックス・レーガー(1873-1916)が1914年に作曲、翌1915年1月に初演されました
主題はモーツアルト「ピアノ・ソナタ第11番K.331 ”トルコ行進曲付き”」の第1楽章です
この曲は「テーマ(主題)」と「8つの変奏曲」と「フーガ」から成ります
オーボエ、ファゴット、クラリネットといった木管楽器によってお馴染みの「テーマ」が奏でられて曲が開始されます 次いで8つの変奏曲が展開しますが、曲想としてはブラームスを思わせる響きが印象的です
ドイツの作曲家レーガーは同じドイツ出身のバッハ、ベートーヴェン、ブラームスという3大Bを熱烈に賛美していたそうですが、作品にもその影響が端的に表れています
最後のフーガは長大で、第1ヴァイオリンの奏でるテーマに第2ヴァイオリンが加わり、さらにヴィオラとチェロが加わり、最後にコントラバスが参集して厚みを増していき、さらに管楽器が加わって壮大なフーガを構成していきます
聴きごたえのある演奏でした
演奏が終わると客がぞろぞろと客席を離れて帰途に着きます 事前のアナウンスで「感染予防のため時差退出をお願いしたい。アナウンスがあるまで着席していてほしい」と告知されていましたが、どうやらお構いなしの様子です
東響定期公演の時は協力する人が多かったと思います
読響会員は終電時刻が早い人が多いのでしょうか
もちろん私はアナウンスに従いました
帰りがけにロビーの一角で配布していた定期会員継続特典CDを頂いてきました 私は定期演奏会と読響アンサンブルの会員なので引換券が2枚あるので2種類のCDをゲットしました
1枚は常任指揮者セバスティアン・ヴァィグレの指揮によるベートーヴェン「交響曲第3番変ホ長調”英雄”」です
もう1枚はヴァィグレの指揮によるワーグナー「ニュルンベルクのマイスタージンガー」第1幕への前奏曲、モーツアルト:歌劇「魔笛」序曲、鈴木優人の指揮によるラモー:歌劇「優雅なインドの国々」組曲、山田和樹の指揮による伊福部昭「SF交響ファンタジー第1番」のカップリングCDです
2枚とも さらっと聴いてみましたが、伊福部昭のゴジラのテーマを中心とする「SF交響ファンタジー第1番」がとても面白かったです