人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

中山七里著「夜がどれほど暗くても」を読む ~ 息子がストーカー殺人を犯して自殺したという疑いを掛けられる「週刊春潮」副編集長の苦悩を描いた作品

2020年10月22日 07時20分19秒 | 日記

22日(木)。パソコンのセキュリティソフトの有効期限が切れたままになっており、このままだと新型コロナ以外のウイルス感染が怖いので、更新することにしました 購入したのはSOURCENEXTの「ZEROスーパーセキュリティ」という 契約更新料なし 1年間有効 1台4,290円 という商品です   40分ほどでインストゥールが完了しました。動作が軽くなりました

ということで、わが家に来てから今日で2212日目を迎え、昨年7月の参院選をめぐり、公職選挙法違反(加重買収など)の罪に問われた元法相で衆院議員の河井克行被告が20日、計5人の弁護人(うち4人は前に解任した弁護人)を選任したことがわかった  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     自民党から渡った1億5千万円の残りがあるから 弁護費用には困らないはずだよね

 

         

 

昨日は「鮭のバター焼き」「生野菜サラダ」「ジャガイモと玉ねぎとナスの味噌汁」を作り、買ってきた「真鯛の刺身」といっしょに食べました 和食はいいですね

 

     

 

         

 

中山七里著「夜がどれほど暗くても」(ハルキ文庫)を読み終わりました toraブログの読者の方にはお馴染みの中山七里ですが、念のため簡単に経歴をご紹介します 中山氏は1961年岐阜県出身。会社員生活の傍ら、2009年に「さよならドビュッシー」で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し、翌年デビュー その後の活躍は「中山七里は七人いる」と言われるほど数多くの作品を間断なく発表しています

 

     

 

志賀倫成は大手出版社の雑誌「週刊春潮」の副編集長を務めている スキャンダル記事に関しては誰にも負けない自負を持ち、毎日充実した編集者生活を送っていた しかし、大学生の息子・健輔にストーカー事件を犯して自殺したという嫌疑がかかる 加害者の家族として周囲から誹謗中傷を受け、会社では「春潮48」編集部に転属させられる 副編集長からヒラの記者に降格され、上司や取材対象から罵倒される毎日に精神をすり減らしていく さらに、妻・鞠子は神経が参っている時に ちょっとした口喧嘩で実家に帰ってしまう そんな中、被害者遺族で唯一生き残った娘の奈々美と出会い、彼女が学校でイジメに遭っていることを知り、彼女に接近し守ろうとする 最初は拒否反応を示していた奈々美だったが、志賀が身体を張って自分を守ってくれたことで次第に心を開いていく 一方、警察は健輔のストーカー事件について不審な点があるとして捜査を継続していた    殺人現場で何が起こっていたのか? そして健輔の嫌疑は晴れるのか

 

     

 

「週刊春潮」といえば誰もが「週刊文春」か「週刊新潮」を思い浮かべます    しかし「春潮48」といえば「新潮45」しか思い浮かべません    ということは、中山氏がモデルにしている出版社は「新潮社」であることが想像できます 解説を西原理恵子さんがコミックで描いていますが、冒頭のコマで「この人はよっぽど新潮社が嫌いなんだなあ」と言わせています 無理もありません。中山氏は「週刊春潮」も「新潮48」もボロクソに書いているからです コマの欄外を見ると、蟻のような小さな字で「編注:中山七里先生は、新潮社からも本を出版しており、関係は良好です」という、角川春樹事務所は天下の新潮社を相手に喧嘩を売るつもりはございません的な言い訳が書かれています

この小説の冒頭、主人公の「週刊春潮」副編集長・志賀の檄が飛びます

「取材対象の一人や二人、死のうが潰れようが関係あるか! それより雑誌が売れるかどうかだろ!」

ここに中山氏が週刊誌をどうとらえているかが表れています そして、「春潮48」については、編集長の楢崎に次のように編集方針を語らせています

「創刊からはや10年。かつての固定読者も今や60に手が届こうとしている 彼らのほとんどはバブルを謳歌した世代で、日本経済は世界を席巻し続けていると信じ、自分は大国を動かしているとびきり優秀な民族だと思い込んでいた者たちだ そしてバブル崩壊した日本がその後の20年を失っても、まだ昔の甘い夢を忘れられずにいる 旧弊な価値観、古き佳き日本を賛美し、性的マイノリティや外国人の不作法 至らなさに物申す。それだけで更に多くの読者を獲得できるはずだ。競合他誌だって、そうして命脈を保っている

つまり、これからも右寄りの編集方針で行こうと言っているのです この小説の主人公・志賀が「春潮48」に転属されられたのは、同誌が ある女性国会議員のLGBTへの差別的な文章を寄せたことがきっかけになり、同誌や春潮社に批判が集中して、編集部員がやる気を無くしている時期という設定になっています 「春潮48」を大混乱に陥れたのは、「新潮45」の次のような事件をモデルにしています

「『新潮45』の2018年8月号で杉田水脈議員が『LGBT支援の度が過ぎる』を寄稿した 文中で杉田はLGBTはそれほど差別されていないのではないか、『LGBTのカップルのために税金を使うことに賛同が得られるものでしょうか。彼ら彼女らは子供を作らない、つまり”生産性”がないのです』と書き、LGBTの権利を拡張する動きに疑問を投げかけた この杉田の寄稿文は、与野党の政治家やLGBTの当事者・識者など様々な立場から批判を受けた 『新潮45』はこの批判を受けて2018年10月号に『そんなにおかしいか”杉田水脈”論文』と題する特別企画を掲載した。この企画には小川榮太郎や松浦大悟ら7人が杉田の主張を擁護する文章を寄稿した この特別企画に関して、作家の平野啓一郎が『どうしてあんな低劣な差別に加担するのか』と新潮社を非難するなど、再び批判の声が上がった。また、新潮社文芸部が使用するTwitterの公式アカウントが、新潮社を批判する作家らのツイートをリツイートしたことから、新潮社内部からも本誌を非難する動きがあると報道された 2018年9月21日、新潮社は反論記事を掲載した10月号について『あまりに常識を逸脱した偏見と認識不足に満ちた表現が見受けられた』と、内容に問題があったことを認める佐藤隆信社長の談話を発表した その後、9月25日に『部数低迷に直面し、試行錯誤の課程において編集上の無理が生じた』として休刊を発表した」(以上Wikipediaより)

杉田水脈(すぎた みお)議員はその後も、伊藤詩織さん事件においてもセカンドレイプ発言をしたり、つい最近も国会の部会で「女はいくらでもウソをつく」と発言して物議を醸したりして、まったく反省の様子が見えません    困った議員です。こういう人をいつまでも国民の税金で雇っていて良いのでしょうか

話がそれましたが、中山七里という作家は、こうした最近の世の中の動きを巧みに小説に取り込みながら、ミステリーを組み立てていきます 読者としては、小説の背景になっている事件などを知った上で作品を読むと、より深い読み方ができると思います

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