26日(月)。わが家に来てから今日で2216日目を迎え、ワシントン・ポスト紙の集計によると、トランプ大統領は就任以来2万回以上の「虚偽や誤解を招く発言・発信」をしたが、ニューヨーク市立大学のエリック・オルターマン教授は、「過去の大統領のウソには理由があった。しかし、トランプ氏の場合は理由が不明なものが多い。真実とウソの境界が認識されていないかもしれない」と語った という記事を見て感想を述べるモコタロです
トランプの場合は嘘でない発言を数えた方が早い 俺は嘘つき と言えば皆が信じる
昨日、文京シビックホールで「オーケストラ・アンサンブル金沢」のコンサートを聴きました プログラムは①ヴィヴァルディ「四季」より「春」「冬」、②メンデルスゾーン「交響曲 第4番 イ長調 作品90 ”イタリア”」、③同:劇付随音楽「夏の夜の夢」より「スケルツォ」、④ショパン「ピアノ協奏曲第2番ヘ短調」です 演奏は①のヴァイオリン独奏=大谷康子、④のピアノ独奏=横山幸雄、管弦楽=オーケストラ・アンサンブル金沢、指揮=原田慶太楼です
「オーケストラ・アンサンブル金沢(OEK)」は1988年、岩城宏之が創設音楽監督を務め、多くの外国人を含む40名からなる日本初のプロの室内オーケストラとして石川県と金沢市によって設立されました
原田慶太楼は1885年 東京生まれの35歳。2020年シーズンからアメリカ・ジョージア州サヴァンナ・フィルの音楽・芸術監督に就任、2021年4月から東京交響楽団正指揮者に就任することが決まっている俊英です
1曲目はヴィヴァルディ「四季」より「春」「冬」です この曲はアントニオ・ヴィヴァルディ(1678-1741)が1725年に出版した「ヴァイオリン協奏曲集『和声と創意の試み』」全12曲の中の第1集の第1番「春」と第4番「冬」に当たります
オケはヴィヴァルディということで4型の小規模編成で、左から第1ヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、第2ヴァイオリンという対向配置をとり、中央奥にはチェンバロが控えます。対向配置の場合、ヴィオラとチェロの位置が逆になるケースが多いですが、原田氏のこだわりがあるのでしょう コンミスは京都市交響楽団の特別客員コンマスを務める会田莉凡が客演します ヴィオラ首席の位置には新日本フィル首席の篠崎友美がスタンバイします
原田氏と共に今年デビュー45周年を迎える大谷康子がブルーと白を基調とするエレガントな衣装で登場、さっそく演奏に入ります とにかくヴァイオリンの音色が美しい 彼女はストラディヴァリウスとグァルネリの両方を所有しているとのことですが、この日はどちらで弾いたのだろうか? この曲では特に「春」における大谷康子と会田莉凡の掛け合いが素晴らしく、春の浮き浮きする気分を醸し出していました 「冬」の「ラルゴ」では大谷の演歌的なこぶし回しが聴けました
2曲目はメンデルスゾーン「交響曲 第4番 イ長調 作品90 ”イタリア”」です この曲はフェリックス・メンデルスゾーン(1809-1847)が1830年にイタリアを訪問したときの印象をもとに、1831年から33年にかけて作曲、1833年にロンドンで初演されました その後改訂を加えたため出版されたのが没後の1851年となったことから、第2番「賛歌」、第3番「スコットランド」よりも前の作品ながら第4番となりました 第1楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ~ピゥ・アニマート」、第2楽章「アンダンテ・コン・モート」、第3楽章「コン・モート・モデラート」、第4楽章「サルタレッロ:プレスト」の4楽章から成ります
弦は6型に拡大し、管・打楽器が加わります 原田の指揮で第1楽章に入りますが、終始 快速テンポで進みます クラリネット、フルート、オーボエ、ファゴットといった木管楽器群の演奏が素晴らしく、それに弦楽器がからんで、イタリアの底抜けに明るい空を思い浮かべるような爽やかな気分になります 第2楽章でも管楽器のアンサンブルが素晴らしい 第3楽章では弦楽器のアンサンブルが美しく響きます 第4楽章に入ると、再び快速テンポで進み、オケの面々は原田の躍動感あふれる指揮に呼応するように渾身の演奏を展開します まさにメンデルスゾーンが現代に息づいていると感じました 少数精鋭のプロ集団による文句なしの素晴らしい演奏でした
プログラム後半の1曲目はメンデルスゾーン:劇付随音楽「夏の夜の夢」より「スケルツォ」です この曲はメンデルスゾーンが1842年に作曲したシェイクスピアの劇のための作品の第2曲(前奏曲の次)に当たります 木管楽器を中心にメンデルスゾーン特有の、妖精が飛び回るような音楽が展開します ここではフルートが大活躍しました
ピアノがセンターに移動し、最後の曲 ショパン「ピアノ協奏曲第2番ヘ短調」の演奏に備えます この曲はフレデリック・ショパン(1810-1849)が1829年から翌30年にかけて作曲、1830年にワルシャワで初演されました 第1番ホ短調の協奏曲より先に作曲されましたが、遅れて出版されたため第2番と呼ばれています 第1楽章「マエストーソ」、第2楽章「ラルゲット」、第3楽章「アレグロ・ヴィヴァーチェ」の3楽章から成ります
かなり大柄の横山幸雄氏がピアノに向かい、原田の指揮で第1楽章に入ります 横山のピアノは鮮やかと言うしか言いようがありません 実に軽々と美しいメロディーを紡いでいきます 原田が快速テンポでサポートします ソリストの良さが一番発揮されていたのは第2楽章「ラルゲット」でした 研ぎ澄まされた煌めく高音が美しい それを弦楽器群がそっと寄り添い支えます リリシズムの極致を行く演奏でした 間断なく入った第3楽章ではマズルカ風の音楽がテンポよく奏でられました
満場の拍手に、横山はショパンの「ノクターン 第2番 変ホ長調 作品9-2」をロマンティシズムたっぷりに演奏、再び喝采を浴びました
原田が「もう1曲」と煽ると、横山は再びピアノに向かい ゆったりしたメロディーを弾き始めました どこかで聴いたことがあるような・・・と思っていると、舞台の下手から大谷康子がヴァイオリンを弾きながら登場しました アンコール曲としてお馴染みのモンティ「チャルダーシュ」です 大谷は横山のピアノと原田指揮OEKの演奏をバックに、ヴァイオリンを弾きながらピアノの周りを一周し 大団円を迎えました 「新型コロナウイルス感染症予防のため 大きな声での声援はお控えください」の事前アナウンスがなければ、ブラボーが飛び交っていたのは間違いないでしょう これを聴きながら、「大谷康子も 横山幸雄も 原田慶太楼も 演歌テナー、もとい、エンターテナーだな」と思いました
こんなに素晴らしいコンサートを市松模様で聴くなんてもったいないと思います