人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

道尾秀介著「満月の泥枕」を読む ~ 発見された頭蓋骨は誰のものか? 宗教団体や暴力団も登場して奪い合いが始まる

2020年10月16日 07時17分30秒 | 日記

16日(金)。アマオケ・新交響楽団から10月18日(日)午後2時から東京芸術劇場コンサートホールで開かれる「第251回演奏会」の座席指定券が送付されてきました 今回はコロナ禍の影響で、主催者側が座席を指定しています。「1階M列〇〇番」という座席番号を見て既視感を覚えました それはそうです。前日(14日)の「芸劇ブランチコンサート」の座席番号とまったく同じだったからです 長い間人生をやっていると、時にこういう予想外のことが起こります

一方、東京都交響楽団から「11月演奏会のお知らせ」が届きました 11月15日(日)、同23日(月・祝)、同28日(土)のいずれも14時開演ですが、すでに15日は「東京交響楽団」、23日は「新国立オペラ」、28日は「バッハ・コレギウム・ジャパン」の各コンサートの予定が同じ時間帯に入っています なぜ「狙い撃ち」のように同じ日時に設定されるのか  と思うほど最悪の日程です    長い間コンサートを聴いていると、こういうとはしょっちゅう起こります

ということで、わが家に来てから今日で2206日目を迎え、米国の名門オーケストラ、ニューヨーク・フィルハーモニックは13日、2021年6月までの今シーズンの公演を全て中止すると発表したが、これは新型コロナウイルスの感染を防ぐためで、全公演の中止は178年の歴史で初めてのことである  というニュースを見て感想を述べるモコタロです

 

     

     コロナ死亡者21万人の米国の中で ニューヨークは特に厳しいから やむを得ないか

 

         

 

昨日、夕食に「豚肉と野菜のみそ炒め」と「生野菜とアボカドのサラダ」を作りました 「豚肉~」は初挑戦ですが、美味しく出来ました

 

     

 

         

 

道尾秀介著「満月の泥枕」(光文社文庫)を読み終わりました 道尾秀介は1975年、東京都出身。2004年に「背の眼」でホラーサスペンス大賞特別賞を受賞しデビュー 2011年に「月と蟹」で直木賞を受賞したほか、数々の文学賞を受賞しています 当ブログでは作品が文庫化されるたびにご紹介してきました

自分の不注意で一人娘を失い、妻とも別れ、酒浸りになった凸貝二美男は姪の小学4年生・汐子と下町の安アパートで暮らしている ある日、凸貝が公園で酔い潰れていると、誰かが池に突き落とされた音を聞く 凸貝は朧げな記憶を頼りに、人が殺されて池に放り込まれるのを目撃したと交番に届け出る しかし、旧知の警官・剛ノ宮は酔って公園で寝ていた凸貝の話を信用しない 後日、凸貝を訪ねてきた汐子の同級生・嶺岡猛流(たける)は、「凸貝が見たのは自分の伯父・嶺岡将玄が祖父・嶺岡道陣を殺した現場だ。公園の池に沈んでいるはずの死体を探し出して欲しい」と依頼する 凸貝は貧乏アパートの仲間たちと捜索に乗り出す。彼らは夏祭りの行事に乗じて池に潜り込み、頭蓋骨を引き上げる。これは道陣の頭蓋骨なのか?  身体はどこにあるのか?  さらに、この頭蓋骨を狙っている者たちがいた 彼らは何者で何が目的で狙っているのか? 事態はとんでもない方向に向かっていく

 

     

 

この小説は、登場人物の何人かが嘘をついています 「こういうことがありました」と書いていながら、後で「実は嘘でした。本当はこういうことでした」という具合です それによって読者は惑わされるわけですが、小説の手法の一つであることは否定できません

ところで、この小説では第2章の会話の中でベートーヴェンの「第九」が年末に演奏されることについて触れています アパートに住人・香苗さんが「第九」について語ります

「昔、オーケストラの演奏者たちが貧乏だったせいなんですって。収入がなくて、年を越せるかどうか危ない感じだったときに・・・第九って、絶対にお客さんが入る演目だったのよ。だから収入が見込めたの。それで年末にやるようになって、いつのまにか恒例になったんですって

ちなみに香苗さんの夫・老原氏は若いころ交響楽団でヴァイオリンを弾いていたという経歴をもっています この老原氏は、おならと声をはもらせるという特技の持ち主で、香苗さんはそのハモリを聴いて「おならが少し高かったわ」と鋭い指摘をするという特技の持ち主です

「第九」の話に戻ると、 香苗さんの言う通り、日本で年末に「第九」が演奏されてきたのは、オーケストラの楽団員の「年越し資金の確保」の側面が強かったようです 作品の魅力に加えて、全国各地で開かれる「第九」公演の多くは、音楽大学の学生による合唱団が入り、合唱団員の家族・友人・知人などが客として見込めるため、チケットが多くさばけるという事情もあるようです 今年はコロナ禍の影響で、例年より「第九」公演の回数が圧倒的に少なく、感染症拡大防止の観点から合唱団の人数も制限しなければならないため、盛り上がりに欠ける年末になりそうです それだけに過渡期の「第九」になるので、貴重な機会となります 私は12月20日の新日本フィルの「第九」を聴きに行きます

本筋に戻ります この小説は 貧乏アパートの住人たちが魅力的に書かれているし、最後には宗教団体や暴力団が絡んでくる予測不能のストーリー展開は、さすがは道尾秀介だと思います さらに、凸貝と警官・剛ノ宮の過去に悲しい共通点があったというストーリーも魅力的な展開です しかし、「満月の泥枕」というタイトルの意味が不明だし、これだけのことを書くのに500ページも必要だったのか、と言えば疑問符が付きます 次作に期待したいと思います

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