人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

パリ国立高等音楽院出身者「ラ・フォル・ジュルネ音楽祭」を席巻!~第1日公演報告

2012年05月04日 07時25分45秒 | 日記

4日(金)。3日から「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン”熱狂の日音楽祭2012”」が始まりました 5日まで東京国際フォーラムとよみうりホールを中心に開催されます。今回の音楽祭のテーマは「サクル・リュス」(ロシアの祭典)です.3日間で有料公演だけでも150あります.私はこのうち16公演聴きますが,初日の3日は6公演聴きました

 

          

 

昨日は,まず,午前10時半からよみうりホールで開催された公演ナンバー181のコンサートを聴きました.会場はかなり空席が目立ちます 自席は1階k列11番で,センター寄りの通路側です.舞台上の後方には端から端まで高さ3メートル位の白い音響版が立てられています.

プログラムは①ボロディン「ノットルノ」(弦楽四重奏曲第2番ニ長調より緩徐楽章),②ショスタコーヴィチ「ピアノ五重奏曲ト短調」の2曲.演奏はパリ国立高等音楽院で結成されたモディリアー二弦楽四重奏団,ピアノは2009年クララ・ハスキル国際ピアノコンクールで優勝のアダム・ラルームです.彼もパリ国立高等音楽院出身です

黒の衣裳で統一したモディリアー二SQの面々の登場です.全員イケメン軍団で,最初のボロディン「ノットルノ」を静かに奏でます.全員良いのですが,特に一番背の高いヴィオラ奏者(ローラン・マルフェング)の音が良いと思いました

続いてショスタコーヴィチの「ピアノ五重奏曲」の演奏のため,ピアノのアダム・ラルームとともにSQメンバーが登場します.ラルームもイケメンです この曲は初めて聴く曲ですが,演奏を聴く限り,第1楽章「プレリュード」と第2楽章「フーガ」は続いているようです.また,第3楽章「スケルツォ」を鋏んで,第4楽章「インテルメッツォ」と第5楽章「フィナーレ」が続いているようです.彼らの演奏はアンサンブルが美しく,躍動感溢れる若々しい演奏です

演奏中に,左サイドのバルコニー席を堂々と移動する親子がいました 係りのボランティアは注意しようともしません.彼らは何のために居るのでしょうか? それより問題はその親子です.子供が大きくなってコンサートに行くようになったとき,演奏中でも歩き回って構わないのだと思われたら大問題です.オトーサン,子供に悪い見本を見せるのは止めましょう

次は国際フォーラムAホールに移動して,12時15分からの読売交響楽団のコンサート(公演ナンバー112)を聴きました.プログラムは①モソロフ「交響的エピソード”鉄工場”」,②ストラヴィンスキー「春の祭典」の2曲.指揮は下野竜也,コンサートマスターはデイビット・ノーランです

5000人入るAホールはほぼ満席に近い状況です.自席は1階22列21番で,センターやや左サイドの通路側です.舞台の両サイドの壁には巨大スクリーンが配置され,指揮者や演奏者を映し出します

最初のモソロフ「交響的エピソード「鉄工場」はほんの5分程度の曲ですが,時にムソルグスキーのような,ストラヴィンスキーのような感じの曲でした.ホルン8人が立ち上がって演奏したり,トタンをバチで叩いたり,下町の「てっこうば」ではなくロシアの工業を牽引する「製鉄工場」というのが相応しい力強い曲でした 下野クンもドハデな曲をよく見つけてきましたねぇ

2曲目のストラヴィンスキー「春の祭典」はファゴットのソロで始まりますが,絶妙な演奏でした 指揮者の下野は背が低く小太りで”ズングリムックリ”という感じですが(下野さんゴメンナサイ!),指揮は切れ味鋭く筋肉質な音づくりをします.それと,読響はやっぱり優れたオーケストラだと再認識しました

次の公演まで時間があるのでAホールの道路を隔てた反対側のビル地下の「大戸屋」で昼食を取り,展示ホールに行ってみました.ホールに入ると3つの大きな生け花が目に入りました.ストラヴィンスキーの3大バレエに因んだ生け花です 下の写真は「春の祭典」です.

 

          

 

引き続きAホールで2時半からジャン・ジャック・カントロフ指揮シンフォニア・ヴァルソヴィアによるコンサート(公演ナンバー113)を聴きました.プログラムは①チャイコフスキー「くるみ割り人形」から序曲,花のワルツ,②ラフマニノフ「ピアノ協奏曲第4番ト短調」(ピアノ=アレクセイ・ヴォロディン)です

自席は1階22列15番で,やや左サイド通路側.会場はほぼ満席です.プログラムに「くるみ割り人形」があるせいか子供連れが目立ちます

「くるみ割り人形」はいつ聴いても楽しいです.チャイコフスキーはメロディー・メーカーですね

2曲目のラフマニノフ「ピアノ協奏曲第4番」は,清水和音によるラフマニノフのピアノ協奏曲全曲演奏会で聴いて以来,2回目です.ソリストのヴォロディンは1977年サンクトペテルブルク生まれの体格のいいピアニストです.超絶技巧の曲を苦も無く演奏します

第1楽章「アレグロ」の途中,2階席で急に子供の泣き声が聞こえました.ピアノのあまりの迫力に驚いたのでしょうか.親御さんが外に連れ出したようです.せっかくお金を払って聴きにきたのに第1楽章途中で退席とは,お気の毒なことです ただ,この音楽祭には臨時の託児施設もあるのですから,子供は預けてゆったりと聴いた方が良いと思います.ご本人が聴けないのなら元も子もありませんから.決して子供のせいにしてはいけません 託児所代を含めたチケットを買ったのだと割り切った方が良いと思います

終演は3時12分頃です.すぐにCホールに駈け付けて3時半からの「ヌーヴェル・バーク」コンサート(公演ナンバー144)を聴きました プログラムは①フェインベルク「ピアノ・ソナタ第5番」,②プロコフィエフ「4つの練習曲」(以上ピアノ=ユーリ・ファヴォリン),③ラフマニノフ「チェロ・ソナタ ト短調より第3,第4楽章」(チェロ=エドガー・モロー,ピアノ=ピエール=イヴ・オディク),④ストラヴィンスキー「4手のための3つのやさしい小品」,⑤同「ペトルーシュカより第1場・謝肉祭の市場」(ピアノ=ピジャーク姉妹)です

自席は1階15列16番で,ほぼセンターの通路側です.ピアニストのファヴォリンはモスクワ出身の25歳.フェインベルクのピアノ・ソナタ第5番は,いったいどこで曲が終わるのか誰も知らないので,拍手がありません 全体的には星が煌めくような美しい曲でした.彼は利発にもプロコフィエフの4つの練習曲を続けて演奏しました.ダイナミックに演奏し盛んな拍手を受けていました

続いてチェロのエドガー・モローとピアノのピエール=イヴ・オディクの登場です.二人ともパリ国立高等音楽院の出身者です.ラフマニノフの「チェロ・ソナタ ト短調」の第3楽章では詩情豊かに音楽を奏で,第4楽章では若さ漲る溌剌とした音楽を聴かせてくれました

次に登場したのはピジャーク姉妹です.たいてい背の低いのが姉で,背が高いのが妹というのが通り相場なので,そのように決めつけて書くことにします 2人ともパリ国立高等音楽院出身者で,姉は黒髪で肩までのショートヘア,やや東洋的な顔立ち,ワインレッドのドレスに包まれて登場し,メロディー・パートを務めます.妹は金髪で背中まで届くロングヘア,ロシア的な顔立ち,グリーンのドレスで登場し,セカンド・パートを務めます.顔はあまり似ていないという印象です

ストラヴィンスキーの「3つのやさしい小品」と「ペトルーシュカ」から第1場”謝肉祭の市場”を演奏しましたが,呼吸がぴったりで,色彩感豊かにペトルーシュカの物語を奏でました この人たちのCDがあちこちのコーナーで売られていましたが,相当売れたのではないかな

次は,またよみうりホールに戻って5時15分からエル=バシャのピアノ・コンサート(公演ナンバー184)を聴きました.プログラムは①ラフマニノフ「前奏曲嬰ハ短調」,②同「10の前奏曲作品23」(24の前奏曲の第1部)です.彼はラ・フォル・ジュルネの常連アーティストです

自席は1階L列11番で,ほぼセンター通路側です.バシャは前奏曲嬰ハ短調と10の前奏曲を続けて演奏しました.曲によって趣が変わるところを見事に弾き分けていました

次の公演まで時間があるので,夕食を取ることにしました.長崎ちゃんぽんの店に入ってちゃんぽんと餃子を食べました

この日最後はCホールに移って7時半から公演ナンバー146のコンサートを聴きました.プログラムは①プロコフィエフ「交響曲第1番ニ長調」,②同「ヴァイオリン協奏曲第2番ト短調」で,チェリストでもあるアレクサンドル・ルーディン指揮ムジカ・ヴィーヴァによる演奏,ヴァイオリンは竹澤恭子です

自席は2階10列32番で,2階席の一番前の席の通路側です.ムジカ・ヴィーヴァはモスクワの室内オーケストラで総勢42~3名,コンマスは女性です.指揮者ルーディンはタクトを持たずに登場,プロコフィエフの「古典」交響曲を軽快にさばいていきます

コンマスが別の女性に代わり,竹澤恭子がシルバーのドレスで登場します プロコフィエフ「ヴァイオリン協奏曲第2番」はヴァイオリンのソロで開始されますが,ほんの数小節で竹澤は聴衆の心をつかみました.ある意味,凄味のある演奏です 彼女は2つの財団からストラディバリウスを貸与されているとのことです.こんなアーティストは珍しいのではないでしょうか.さて,この日弾いた楽器は「ヴィ二アフスキー」か?それとも「ヴィオッティ」か? いずれにしても,美しい音で,素晴らしい演奏でした

この日,6つのコンサートを聴いて,あらためて思ったのは,出演者にパリ国立高等音楽院出身者が多いということです この音楽祭の主宰者ルネ・マルタンがフランス人であることから,そうなるのだろうと想像はつきますが,「パリ国立高等音楽院出身者,ラ・フォル・ジュルネを席巻」という見出しが思わず脳裏に浮かびます そういえば2010年ジュネーヴ国際ピアノコンクール優勝者・萩原麻未も同音楽院を首席で卒業していますね

帰りがけに「ラ・フォル・ジュルネ2012」公認CDを買ってきました.公認CDは毎年買っています 

1日に6公演のハシゴはさすがに疲れました.今日は5公演を聴きます

 

          

 

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2 コメント

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先進国ってすごいですね。 (禿)
2012-05-04 07:23:37
日本はほんとに豊かになったのですねぇ。
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日本は音楽市場 (tora)
2012-05-04 07:33:48
禿さん,日本は音楽市場ですね.デフレ,円高なんのそのの勢いです.わざわざ海外に出かけなくても世界中のアーティストが来日して公演をしますから,ありがたいと言えばありがたいです
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