人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

中山七里著「ハーメルンの誘拐魔 刑事犬養隼人」を読む~子宮頸がんワクチンを巡る少女誘拐事件の裏にあるものは?

2018年01月03日 08時19分27秒 | 日記

3日(水)。昨日、埼玉県S市の実家に年始参りに行ってきました 猫のミラ(7Kgのミラクル・デブ)が 飼い主に押さえられながら 出迎えてくれました

 

     

      ミラクルデブで悪かったな 同情するならエサをくれ それじゃ また太るか?!

 

ということで、わが家に来てから今日で1190日目を迎え、再び登場した謎の物体に警戒しながら話しかけるモコタロです

 

    

     キミ  去年の暮れに登場したよね 持っているのが貝殻なら キミはラッコかな?

 

          

 

中山七里著「ハーメルンの誘拐魔 刑事犬養隼人」(角川文庫)を読み終わりました  中山七里の作品は当ブログで数多くご紹介してきましたが、念のため簡単な略歴をご紹介します 中山七里は1961年岐阜県生まれ。「さよならドビュッシー」で第8回「このミステリーがすごい!」大賞を受賞し2010年にデビューしました その後「おやすみラフマニノフ」「どこかでベートーヴェン」など音楽路線を書き続ける一方、「連続殺人鬼カエル男」「贖罪の奏鳴曲」「テミスの剣」など深刻路線も発表し続けています この「ハーメルンの誘拐魔」は、「切り裂きジャックの告白」「七色の毒」に続く「刑事犬養隼人」シリーズ第3弾です

 

     

 

記憶障害を患っている15歳の少女、月島香苗が神楽坂付近の街中で忽然と姿を消した 現場には「ハーメルンの笛吹き男」の絵葉書が残されていた。その後、少女を狙った誘拐事件が連続して発生するが、被害者は子宮頸がんワクチンの副反応による障害を負った少女たちと、ワクチン推進派の医師の娘・槇野亜美だった。刑事・犬養隼人は捜査一課の紅一点・高千穂明日香とともに捜査に乗り出す ワクチン反対派の犯行なら解るが なぜ推進派の医師の娘が誘拐されなければならないのか?と疑問を抱いている中、「笛吹き男」から70億円の身代金の要求が警察に届く 予想に反して身代金の受け渡し場所は彼らの土地勘のない大阪を指定される。犬養らは警察の威信をかけて、用意された70億円の現金を持って犯人の現行犯逮捕を目指して大阪に向かうが、「笛吹き男」からはメールで指定場所が次々と変更され完全に振り回される 70億円は「笛吹き男」の手に渡るのか? 誘拐された少女たちは無事に救出されるのか? いったい「笛吹き男」とは誰なのか? 首謀者が犯行を告白して一件落着かと思いきや、どんでん返しがあり、それで終わりかと思っていると まさかのどんでん返しがあり ホンモノの「笛吹き男」の正体が明かされる

この作品を読んで真っ先に思うのは、中山七里氏は子宮頸がんワクチン接種に否定的な立場で書いており、製薬会社と厚生労働省と医師のトライアングルの癒着によって子宮頸がんワクチン接種が進められていると告発している、ということです 作品の中で婦人科医に次のように言わせています

「子宮頸がんを撲滅できるという観点ではワクチンを否定するものではありません。これは婦人科の医師なら例外はないと思います。ただし、そのワクチンに明らかな副反応が見られるというのであれば、少なくとも定期接種という半ば義務化するような制度は慎んだ方が賢明かとは思います 予防接種法で原則無料というのは魅力的でしょうけど、厚労省が積極的に勧奨するには問題があります。実際、厚労省も接種勧奨は中止しています」

「製薬会社と厚労省と医師は利益共同体みたいなところがあります ワクチン接種を義務化してしまえば、たとえ出生率が横ばいになっても製薬会社は食いっぱぐれることはありません。そして検討部会に参加している委員の大半は製薬会社から何らかの利益供与を受けていると聞きます。つい最近も、ワクチンを勧奨する専門家団体へ製薬会社から多額の寄付金があったことが問題になりました。業界ではルール違反とされているのですよ。それにもう一つ、既にアメリカではワクチン接種を停止しています。そのだぶついたワクチンを捌くために日本で消化させ、しかも政府が助成金で旗を振っている

上記以外にも何カ所か同様の主張が別の人の発言として書かれていることから、中山氏は相当の意思を持って書いていると思われます これについて、三省堂書店の新井見枝香さんは巻末の「解説」に次のように書いています

「現実社会とリンクしてしまう取り扱い厳重注意のテーマで、見事などんでん返しミステリを成功させてきたのは、作者のフラットな視点があったからだ。・・・しかし、本作は、いささか偏りがあると感じた。実際、私は身近な人をガンで失くしている。せめてそれがワクチンで避けられるガンだったら、とやり切れない思いだった。忘れてはいけない。子宮頸がんワクチンは、多くの人を救ってきたのだ

これも一理あると思います

ところで、この本を読んでいる最中の昨年12月27日付日経夕刊に「ワクチン安全性  最新情報を公開 子宮頸がんで厚労省」という見出しの小さな記事が載りました

「厚生労働省の専門部会は27日までに、子宮頸がんワクチン接種の安全性や有効性について、最新の情報を年明けからウェブサイトで提供することを決めた がん予防効果が期待できるが、副作用を訴える人も一定数出ているとの内容。同省は国民に現状の理解を促した上で、勧奨再会の是非を判断したい考え。ウェブサイトではワクチン接種によって、10万人当たり595~859人が子宮頸がんにならずにすみ、同144~209人が子宮頸がんによる死亡を妨げるとの試算を紹介。全身の痛みやしびれなど副作用が疑われる訴えは8月末までに3130人(10万人当たり92人)からあり、9月末までに因果関係が否定できないとして295人(同8.68人)が救済対象になったことも報告する」(以上、原文のまま)

中山七里著「ハーメルンの誘拐魔」は2016年1月にKADOKAWAから単行本として刊行され、17年11月に「ハーメルンの誘拐魔 刑事犬養隼人」と改題のうえ文庫化されました タイミングから考えれば、今回の厚労省の情報公開は、中山氏の作品が何らかの影響を与えたのかも知れないし、まったく無関係なのかも知れません ただ 一つ確かに言えることは 中山氏の作品はミステリーの「どんでん返し」の魅力にとどまらず、時代を象徴する問題事象を掬い上げ、鋭く切り込んだ作品であると言えると思います

 

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2 コメント

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Unknown (ままはは)
2018-01-03 08:54:09
遅くなりましたが明けましておめでとうございます。

音楽に映画、読書、そして回数に入れてませんが料理についてよくもまあ、こんなにたくさんこなしていらっしゃるなぁと、また1年感心いたしました。

私は157回コンサートに行きましたが、5割ぐらいはアマチュアです。演奏レベルはプロには劣りますが音楽に対するひた向きさが好きなんです。
(先日の都民交響楽団もタンホイザーの4人のトロンボーンには感激しました。)

大好きな演奏家(追っかけしたいレベル)はミカラ・ペトリ、キングズ・シンガーズですが、おかげさまで萩原麻未さんが加わりました。

今年もブログを楽しみにしています。。

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今年もよろしくお願いします (tora)
2018-01-03 21:41:34
ままははさん、明けましておめでとうございます!
今年もコメントお待ちしておりますので、よろしくお願いいたします
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