人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

ブラボー!クヴィエチェンの「ドン・ジョバンニ」~新国立オペラ

2012年04月20日 06時44分14秒 | 日記

20日(金)。昨夕、初台の新国立劇場でモーツアルトの歌劇「ドン・ジョバンニ」を観ました キャストは、ドンジョバンニ=マリウシュ・クヴィエチェン、騎士長=妻屋秀和、レポレッロ=平野和、ドンナ・アンナ=アガ・ミコライ、ドン・オッタ―ヴィオ=ダニール・シュトーダ、ドンナ・エルヴィーラ=二コル・キャベル、マゼット=久保和範、ツェルリーナ=九嶋香奈枝ほか。演奏はエンリコ・マッツォ―ラ指揮東京フィル、演出はグリシャ・アサガロフです

ドン・ジョバンニを歌うマウリシュ・クヴィエチェンはポーランド生まれのバリトンで、昨年10月に米メトロポリタン歌劇場で同じタイトルロールを歌って絶賛されました。私はMETオペラ・ライブビューイングで観ましたが、歌といい演技といい素晴らしいのひと言でした。それが、生で聴けるということで楽しみにしていました

スペイン生まれのマッツォーラのタクトが振り下ろされ、序曲が始まります 冒頭のフォルテの和音を聴いて、この公演の成功を確信しました。モーツアルトのオペラは序曲を聴くとその全体の善し悪しが判断できます。すごい集中力です 東京フィルが指揮者の意図に忠実に反応しています。これを聴いて、ドイツの名指揮者フルトヴェングラーのデモ―二シュ(悪魔的)な演奏を思い出しました

モーツアルトのオペラで好きなのはどれか?と問われたとき、若いときは断然「フィガロの結婚」が一番で、次が「魔笛」、3番目がやっと「ドン・ジョバンニ」という順番でした 今は「ドン・ジョバンニ」が一番です。とくに序曲から導入部にかけて、つまりレポレッロの不平の歌から、逃げるドン・ジョバンニと彼を追うドンナ・アンナとの激しいやり取り、駈け付けた騎士長とドン・ジョバンニとの決闘に至るまでのノンストップ音楽を聴くと、わくわくどきどきします モーツアルトは何と素晴らしい音楽を書いたのか

クヴィエチェンを初めて生で観て聴いて、さすがは”現代最高のドン・ジョバンニ歌手”と言われているだけあるなと思いました。タイトルロールに求められるパワフルでセクシーですべての女性にやさしい人間像を見事に演じ、歌い上げていました とくに第1幕で一気呵成に歌う「シャンパンの歌」は圧巻でした

レポレッロ役の平野和(やすし)はグラーツ歌劇場とウィーン・フォルクスオーパーの専属歌手契約をしているバスで、その歌唱力は日本人離れしています。「カタログの歌」は見事でした。声量もあるし身のこなしも素晴らしい歌手です

ドンナ・アンナ役のアガ・ミコライはポーランド生まれのソプラノですが、よく通る美しい声で聴衆を魅了しました

ドンナ・エルヴィーラ役の二コル・キャベルはカリフォルニア生まれのソプラノで、第2幕で歌う独唱曲「なんというひどいことを」は揺れる女心を切々と表現していました

ドン・オッタ―ヴィオ役のダニール・シュト―ダはロシア生まれのテノールですが、声の質はこの役に合っていると思うものの、声量に物足りなさを感じました

ツェルりーナ役の九嶋香奈枝は新国立オペラではお馴染みのソプラノですが、コケティッシュな役柄を演じ美しい歌声を聴かせてくれました

騎士長役の妻屋秀和はミスター新国立劇場と言ってもいいほど、お馴染みのバスです。何を歌わせてもソツがありません。今回も重みのある騎士長の大役を十分に果たしました

最後に、素晴らしい歌手陣を支えたマッツォ―ラ指揮東京フィルの演奏は素晴らしかった、と再度強調しておきたいと思います よく歌手を支え、ときに自ら”歌って”モーツアルトの世界を表現していました

 

               

 

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今日4月19日はモーツアルト「弦楽五重奏曲第3番K.515]が完成した日

2012年04月19日 06時50分06秒 | 日記

19日(木)。昨夕は、役員会も終わり一息ついたので、U専務、S監査役、E部長、T君、K君と地下のOで飲みました その後、上の2人を除く4人でRに移って飲みました さんざん飲んだので、今朝は肩が凝って頭が痛いのですね、これが 反省のない日々・・・・・・・・・

 

  閑話休題  

 

昨日の朝日朝刊に「鈴木さんにバッハ・メダル」という小さな記事が載りました 記事によると、ドイツ東部ライプチヒ市は16日、J.S.バッハのすぐれた演奏をたたえる今年の「バッハ・メダル」を、バッハ・コレギウム・ジャパン(B.C.J)の音楽監督・鈴木雅明氏に授与することを決定したとのことです。日本人への授与は初めてとのこと 年に何回かB.C.Jの演奏に接しているわれわれ音楽愛好家にとっては、嬉しい出来事です。B.C.Jは世界に通用する数少ない音楽集団の一つだと思います

 

  2回目の閑話休題  

 

今日4月19日はモーツアルト「弦楽五重奏曲第3番ハ長調K.515]が完成した日です。1787年4月19日のことで、作曲者は当時31歳でした。この曲は「第4番ト短調K.516」とほぼ同じ時期に作曲されました。よく比較されるのは「交響曲第40番ト短調K.550」と「第41番ハ長調K.551”ジュピター”」の関係です 「モーツアルトの光と影」とでも表現すればいいでしょうか

長調と短調の違いによるところが大きいと思いますが、まったく違った趣の曲をほぼ同じ時期に作曲できる才能には驚きを禁じえません。4曲とも名曲中の名曲です

よく聴いているのはバリリ弦楽四重奏団+ウイリヘルム・ヒューブナー(第2Va)による1953年録音のCDです。ウィーン情緒たっぷりの演奏です

 

        

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ドボルジャーク「アメリカ」、ブラームス「弦楽四重唱曲第2番」を聴く~新日本フィル室内楽シリーズ

2012年04月18日 06時47分47秒 | 日記

18日(水)。昨夕、すみだトリフォニーホール(小)で新日本フィルの室内楽シリーズ「音楽家たちの饗宴2011-2012」の第7回公演を聴きました 曲目は①ドヴォルジャーク「弦楽四重奏曲第12番ヘ長調”アメリカ”」、②ブラームス「弦楽四重奏曲第2番イ短調」の2曲です

実は朝、toraブログに何度かコメントを寄せてくれているペンネーム禿さんが「今晩、トりフォニー小ホールでご一緒しましょう」というコメントを寄せてくれていたので、ロビーや会場で、どの人が禿さんだろう、とキョロキョロしてしまいました かなり前方の席の左端の人かな?違うかな?と頭ばかり見て判断して探しましたが、突き止められませんでした

例によって7時から第2ヴァイオリン奏者・篠原英和氏によるプレトークがあり「ブラームスの愛した人、もの、土地」について解説してくれました。いつも思うのですが、何という博識、何という弁舌さわやかさでしょうか 驚くのは、原稿なしで15分間しゃべり続けることです。この人は本職で失業しても、その道で食っていけるのではないか、と思います。いや、冗談ではなくて

 

       

 

1曲目のドボルジャーク「弦楽四重奏曲第12番ヘ長調”アメリカ”」は、ドヴォルジャークがアメリカに渡ってから、故郷のボヘミアを想って作曲した作品です。ここでお断りしておきますが、これまでドヴォルザークと表記してきましたが、東京交響楽団でも新日本フィルでもドヴォルジャークと表記しているので、そのように表記することにします

演奏者は第1ヴァイオリン=松宮麻希子、第2ヴァイオリン=中矢英視、ヴィオラ=吉鶴洋一、チェロ=矢野晶子というメンバーです。松宮はオレンジ、矢野はレッドの、ノースリーブのドレスで登場します

この4人の演奏を聴いていて、ドヴォルジャークはメロディー・メーカーだなぁと思いました とくに第2楽章「レント」を聴いているときは気持ちが良くて思わず寝てしまいそうになります

2曲目のブラームス「弦楽四重唱曲第2番イ短調」は、あまり聴く機会がないので、この2、3日CDで予習していました CDで聴く限りでは、相当演奏が難しそうな感じがしました。この曲を本当に演奏するのか?と疑問にさえ思いました

 

       

        〔予習のために聴いたブラームス「弦楽四重奏曲第2番のCD。

        アルバン・ベルク・カルテット〕

 

演奏者は第1ヴァイオリン=岸田晶子、第2ヴァイオリン=小池めぐみ、ヴィオラ=矢浪礼子、チェロ=川上徹というメンバーです。若手の岸田を熟年の3人が支えるというスタイルです

4人が登場しスタンバイしますが、岸田は緊張している様子。反面、川上は余裕の趣です。第1楽章「アレグロ・ノン・トロッポ」の冒頭の憂いを帯びた濃厚なメロディーが奏でられます これを聴いた瞬間「ん!これはいける」と思いました。実にいいのです。まさにブラームスの音なのです。これは4つの楽章を通じて保持されましたが、第4楽章ではブラームスの情念を感じ取ることが出来ました 若い岸田が”この道一筋”といった感じで突っ走り、それを小池、矢浪、川上がフォローしていく型が気持ちよく決まっていきます 大変失礼な言い方かもしれませんが、予想外の素晴らしい演奏でした

2曲の演奏を聴いて感じたのは、チェロの実力です。矢野晶子のチェロはもちろん良いのですが、川上徹のチェロと比べると、川上の方が2枚も3枚も上手だと感じました。ピチカートひとつとっても、どちらが音楽性があるかといえば、文句なく川上に軍配が上がります。だてに新日本フィルの首席をやっているわけではありません

ところで、今回もコンサート後の500円で参加できる「ワン・コイン・パーティー」には出席しなかったのですが、禿さんは出席されたのでしょうか

     

       

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福島原発の避難民の記録~試写会「相馬看花 第一部 失われた土地の記憶」を観る

2012年04月17日 06時23分37秒 | 日記

17日(火)。昨夕、10階ホールで記者クラブ主催の試写会「相馬看花 第一部 失われた土地の記憶」を観ました 監督は1979年福岡県生まれの松林要樹(まつばやし・ようじゅ)です。2009年に、戦後タイ、ビルマ国境付近に残った未帰還兵を追ったドキュメンタリー映画「花と兵隊」を発表、第1回田原総一朗ノンフィクション賞を受賞したとのことです この「相馬看花~」も福島県の南相馬市で撮ったドキュメンタリーです

福島第一原発から20キロ圏内にある警戒区域・南相馬市原町区江井(えねい)地区がドキュメンタリーの舞台です。被災の後、2011年4月3日、津波と放射能汚染と強制退去で様変わりしたこの地域へ、松林要樹監督はカメラを携えて乗りこみました 偶然出会った市会議員の田中京子さんとの交流から、取材活動が始まりました。田中夫妻との親密な関係をもとに、時に避難所で寝泊まりしながら、懸命に生きる地域住民の表情や肉声を記録していき、土地の歴史にも迫っていきます

映画を観ていて感じるのは、まるで外国の映画を観ているような違和感です 原因は”相馬弁”にあります。お年寄りが多く出てきますが、何を話しているのか半分も分からないのですこれについて、会場入り口で配られた「監督メッセージ」には次のように書かれています。

「映画を観た後に、疑問や違和感を持たれたかもしれません その違和感や不自然さをそのまま感じてください。その違和感の一つだと思いますが、この土地の言葉についていけなかった所があったかもしれません。相馬弁を標準語の字幕にしなかったのは、電気を湯水のごとく使って、東京に住んでいる私が、土地の言葉に標準語を充てるのが非常に失礼な気分になったからです

監督の意図するところはよく理解できます。彼はさらに続けます。

「福島から送られていた電気に頼って、東京で生きていた構造の中で、被害者と加害者の関係があると思いました 私は東京に住んでいたので加害者の一人だったと気が付きました。つい原発事故の責任を国家や東電だけが悪いと二元論だけで片付けてしまいそうですが、私たち日本の人の無関心が事故を招いたのだと思いました

この言葉は東京に住んで電気を享受している自分自身への問いかけでもあります。実に重い言葉です。自ら危険区域内へ入っていき、真実を知らせるために撮影を続けた一人のドキュメンタリー映画監督の命がけのメッセージと言ってもいいでしょう

この映画を観てもう一つ思うのは、これは”現実”だということ。そして”こんなことが全国各地で同時多発的に起こったら日本はお終いだ”ということです。われわれはいったいどこに避難すればいいのか?考えるだけでもぞっとします。原発による放射能は映像に映りません。目に見えないだけに一層恐ろしいと思いました

 

        

 

この映画は5月26日(土)から渋谷のオーディトリウム渋谷(文化村前交差点左折。電話6809-0538)でロードショー公開され、順次全国で公開される予定です。再度、福島の原発問題を考える一つのツールとしてお薦めします

 

        

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マーラー「子供の不思議な角笛」を聴く~東京交響楽団第599回定期演奏会

2012年04月16日 06時21分31秒 | 日記

16日(月)。昨夕9時からのNHK・Eテレ「ららら クラシック」良かったですね 「パリ」の特集でしたが、パリ音楽院でピアノを学ぶ萩原麻未がゲストでした 2010年のジュネーヴ国際コンクール本選でラヴェルの「ピアノ協奏曲」を弾く彼女の姿がちょっとだけ映しだされました。スタジオでは生誕150年を迎えたドビュッシーの「月の光」を抒情的に弾いてくれました パリ音楽院でジャック・ルヴィエ先生のレッスンを受ける彼女の姿も見られました。驚いたのは、彼女自身が撮ったという夕焼け空に映えるエッフェル塔の写真、そして近所の辻音楽師を撮った写真です プロ並みの腕ではないかと思うほど見事な”作品”でした

番組では、ニジンスキーの振付でドビュッシーの「牧神の午後への前奏曲」に乗せて踊るバレエ「牧神の午後」が放映されましたが、感動的でしたね ニンフを踊った上野水香は最高でした このバレエは是非ナマで観たいと思います ヤルヴィ指揮パリ管弦楽団によるストラヴィンスキーの「ペトルーシュカ」はカラフルな音づくりで素晴らしかったですね そして、ルーブル宮音楽隊によるラモーの音楽も優雅で、生き生きしていました それにしても、ラモーは指揮棒(ステッキ状)を自分の足に突き刺して死んでしまったのですから、「あラモーいやだ!」なんて言ってられませんね 

「ららら クラシック」これまで3回放映されましたが、かなりいい路線を突っ走っているのではないかと思います これからもこの調子で魅力的な番組作りを進めてほしいと思います

 

   閑話休題  

 

昨日、サントリーホールで東京交響楽団の第599回定期演奏会を聴きました 今回から「マーラー・リーダー・プロジェクト」による新しい年度のスタートです。プログラムは①ラフマニノフ「ヴォカリーズ」(オーケストラ版)、②マーラー「子どもの不思議な角笛」、③スクリャービン「交響曲第2番ハ短調」。指揮は大友直人、コンサートマスターは大谷康子です

座席は前年度と同じ1階18列の中央通路側です。会場を見渡すと、とくにP列(舞台の後ろ側)と1階前列両サイドの空席が目立ちます。ひょっとすると定期会員が減ったのかもしれませんせっかくマーラーの歌曲を全曲聴けるのに残念なことです

1曲目のラフマニノフ「ヴォカリーズ」は、1912年に作曲された「14の歌曲集」の最後の曲ですが、この曲だけ歌詞がありません。「ヴォカリーズ」とはフランス語で「母音だけで歌うこと」を意味します ラフマニノフは人間の声を楽器として捉えて作曲したのではないかと言われています。通常は女声でメロディーを歌いますが、今回はヴァイオリンが”歌い”ます。穏やかな美しい曲です

第1ヴァイオリンが後ろに1つずつずれて、ソリストのスペースを空け、管楽器が追加されて2曲目のマーラー「子供の不思議な角笛」が始まります。指揮者・大友直人とともにバリトンのトーマス・バウアーが登場します。バウアーは1970年生まれのドイツ人ですが、遠目に見てハリソン・フォードのような雰囲気のガッチリした体つきです

「子供の不思議な角笛」は、ドイツ・ロマン派の詩人アルニムとブレンターノが19世紀初頭に収集・編纂したドイツ民謡詩集に触発されて作曲した歌曲集です 今回はこの中から「無駄な骨折り」「不幸な折の慰め」「天上の生活」「魚に説教するパドヴァの聖アントニウス」「塔の囚われびとの歌」「死せる鼓手」「少年鼓手」の7曲が歌われました

マーラーの歌曲は交響曲と密接な関係を持っていて、「天上の生活」は交響曲第4番第4楽章になっています。また、「魚に説教するパドヴァの聖アントニウス」は交響曲第2番の第3楽章にも同じメロディーが現れます

バウアーは深みのあるバリトンで聴衆を魅了しました 歌の合間にブラボーがかかったほど彼の声はよく通り美しく響きました

それにしても、「子どもの不思議な角笛」はおもしろい曲が集められています 「無駄な骨折り」は男と女のやりとりですが、こんな感じです。

女「ねえ、いっしょに私たちの仔羊を見にいこうよ。ねえ、ねえ、お願いだから!」

男「しつこい女だな、いやなこった」

女「それじゃあさ、おいしいものでも、どう?」

男「食いたくねえよ、いらねえよ」

・・・・・・笑っちゃいますね。こういう雰囲気をバウアーはよく出していました

最後のスクリャービン「交響曲第2番ハ短調」は、1901年の作といいますから、マーラーの「子供の不思議な角笛」と同じ年に書かれた曲です。歌曲と交響曲という違いもありますが、曲想はまったく違います。この曲はスクリャービンがモスクワ音楽院のピアノ教授を務めていた時期に作曲されました。初演時はあまり評判が良くなかったようですが、今では「世紀転換期の傑作」と呼ばれているとのことです 5楽章から成りますが、第1第2楽章、第4第5楽章がそれぞれ続けて演奏されるため3楽章から成るシンフォニーのようにも捉えられます

初めて聴く曲ですが、だれの曲にも似ていない独特な音楽です。前半は第2楽章の終結部に向けて盛り上げて終わり、後半は第5楽章の終結部に向けて盛り上げて終わるという感じです。「法悦の詩」とは一味違った魅力でした。東京交響楽団は特に管楽器が大活躍し、色彩感豊かな演奏を展開しました

 

               

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ヴォロングのドヴォルザーク「ヴァイオリン協奏曲」を聴く~新日本フィル定期演奏会

2012年04月15日 07時44分20秒 | 日記

15日(日)。昨日の朝、ブログを見てびっくりしました。「最新コメント」欄に篠原英和という名前があったからです。2月に書いた新日本フィルの室内楽シリーズのブログに、同フィルの第2ヴァイオリン奏者・篠原英和さんがコメントを寄せてくれていたのです 篠原さんは毎回、室内楽コンサートでプレトークを担当しており、そのあまりの博識ぶり、名調子に感服して、賞賛の言葉を書かせてもらったのですが、それに対する返信でした。このブログは昨年2月15日に開始してから昨日で483回を迎えましたが、プロの演奏家からコメントをいただいたのは初めてのことです。本当に感激しました

偶然かどうか分かりませんが、昨日、すみだトリフォニーホールで新日本フィル・トりフォニーシリーズ第492回定期演奏会を聴きました プログラムは①スーク「組曲:おとぎ話」、②ドヴォルザーク「ヴァイオリン協奏曲イ短調」、③ヤナーチェク「イエヌーファ組曲」。指揮はクリスチャン・アルミンク、コンサートマスターは崔文珠です。舞台には昨日コメントをくださった篠原英和さんも第2ヴァイオリンの席に座っていました

スークはプラハ音楽院でドヴォルザークに師事しました。「組曲:おとぎ話」は1901年に初演された初期の作品です。「ラドゥースとマフレナの誠と愛の受難」「白鳥と孔雀の戯れ」「葬送の音楽」「ルナ王妃の呪いと愛の勝利」から成ります。曲は「おとぎ話」というよりは「チェコの抒情詩」のような感じで、やはり恩師ドヴォルザークのようなメロディーが随所に表れています アルミンクと新日本フィルはメリハリを効かせて物語を紡いでいきます。崔のヴァイオリン・ソロは美しく響きました

2曲目のドヴォルザーク「ヴァイオリン協奏曲イ短調」は、1879年から作曲が始まりましたが、当時の名ヴァイオリニスト、ヨアヒムの意見を求めて改作したりしたため、初演は1883年のことでした ヴァイオリンの独奏は1968年ベルリン生まれのマティアス・ヴォロングです。彼は1999年以来、シュターツカペレ・ドレスデンの第1コンサートマスターを務め、2001年からはバイロイト音楽祭祝祭管弦楽団の第1コンサートマスターも務めている実力者です

恵まれた体格のヴォロングは、第1楽章冒頭から力強い演奏で集中力を見せ、ドヴォルザークの”ボヘミアの魅力”を表出しました 独奏部分は本当に美しい音で奏でていましたが、それもそのはず、使用楽器は1676年製アンドレア・グァルネリとのこと こういう人が名器を弾いてオケを引っ張っているからシュターツカペレ・ドレスデンは、つややかないぶし銀のようなアンサンブルを響かせるんだな、と思いました

圧倒的な拍手に応えて、ヴォロングはバッハの無伴奏ヴァイオリン・パルティータ第3番の「ガヴォット」を、表情豊かに輝かしい音で演奏しました

休憩後のヤナーチェク作曲、ブレイナ―編曲「イエヌーファ組曲」は、オペラ「イエヌーファ」を1957年生まれのピーター・ブレイナ―が6曲の組曲に編曲したものです プライソヴァーの戯曲「彼女の継娘」に基づく自身の台本によるこのオペラは、19世紀末モラヴィアの寒村を舞台に展開する物語です。シュテヴァの子を密かに身籠ったイエヌーファに心を寄せる異父兄弟ラツァの恋のもつれに、継母コステル二チカによる赤子殺しが加わる愛憎劇で、最後にはイエヌーファとラツァが真実の愛に目覚めるというものです

オペラ「イエヌーファ」は題名こそ知ってはいたものの、組曲とはいえ聴くのは今回が初めてのことです もっと難しいオペラかと身構えていましたが、そういうことはなく、親しみやすい曲でした。イングリッシュホルンのソロによるメロディーが懐かしく、心に沁みました

新日本フィルは、室内楽シリーズの定期会員でもあるので、オーケストラを見渡すとお馴染みの顔があちこちに見えるので、すごく身近に感じます。そうした意味では、少人数の演奏活動は大切だと思います

 

             

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今日4月14日はモーツアルト「ヴァイオリン協奏曲第1番K.207」が完成した日です♪

2012年04月14日 07時30分53秒 | 日記

14日(土)。昨夕は、E部長、同業者のTさんと仕事で地下のRで飲みました 店が混んできたので1時間もいないで、HCビル地下のKに移って腰を落ち着けて飲みました この日はこれで終わらず、再びわれらのビル地下に戻ってOで店長を交えて飲みました 心の底から疲れました

 

  閑話休題  

 

今日4月14日はモーツアルトがヴァイオリン協奏曲第1番変ロ長調K.207が完成した日です 1775年4月14日のことでした。モーツアルトはヴァイオリン協奏曲を全部で5曲書いていますが、すべて彼が19歳だった1775年にザルツブルクで集中的に作曲されました 第3番から第5番までが比較的よくコンサートで取り上げられる陰で、第1番と第2番はほとんど演奏される機会がありません 10代最後の”青春のいぶき”を感じさせる爽やかな曲です

お薦めCDはパメラ・フランクのヴァイオリン、デヴィッド・ジンマン指揮チューリッヒ・トーンハレ・オーケストラの演奏です 2枚組CDで、ヴァイオリン協奏曲全5曲と、「ハフナーセレナーデ」から3つの楽章が収録されています

 

        

 

今日はモーツアルトの「ピアノ協奏曲第26番”戴冠式”K.537」がドレスデンの宮廷音楽界において初演された日でもあります 1789年のこの日のことでした。因みにこの曲が完成したのは前年の1788年2月です。初演の翌年、レオポルドⅡ世の戴冠式の祝典期間中の10月15日に催されたモーツアルトの音楽会でも演奏されたことから、”戴冠式”と呼ばれています

曲は全体的に明るく祝祭的な気分に溢れています 誰にでも覚え易いメロディーで、浮き浮きする気分になります

お薦めCDは内田光子のピアノ、ジェフリー・テイト指揮イギリス室内管弦楽団による演奏。少数オーケストラをバックに、すっきりと、心弾むように演奏しています。最後のピアノ協奏曲第27番K.595とのカップリングです

 

        

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誉田哲也「春を嫌いになった理由」を読む

2012年04月13日 06時26分32秒 | 日記

13日(金)。誉田哲也著「春を嫌いになった理由」(光文社文庫)を読み終わりました ”ほんだてつや”は推理小説、警察小説が好きな方はよくご存じのとおり、警部補・姫川玲子が活躍する「ストロベリーナイト」、門倉美咲と伊崎基子の2人の女性警察官が活躍する「ジウ」3部作などの著者です 1969年東京生まれで、2003年に第4回ホラーサスペンス大賞特別賞を受賞しています 物語は・・・・

フリーターの秋川瑞希はテレビプロデューサーの叔母・名倉織江から、霊能力者エステラの通訳兼世話役を強引に頼まれます。エステラ、テレビスタッフらとロケ現場に行くと、エステラの透視どおり、廃墟となったビルから男性のミイラ死体が発見されます 瑞希は、これはテレビ局とエステらが組んだ”ヤラセ”か、と勘繰ります。一方、中国からの密入国者、リン・ソウチンと妹のウージェンを巡る物語が展開します

エステラは生放送中のスタジオに殺人犯がやってくるという透視をします はたしてその殺人犯とは誰なのか。読んでいる読者としては、瑞希とエステラのコンビと密入国者の行動とがどこでどう結びついていくのか気にかかります 最終的には、テレビ局の前で事件は一件落着するわけですが、まったく予想と違う展開が用意されています。さすがはホラーサスペンス大賞特別賞受賞者です あっという間に読み終わってしまいました。なぜ瑞希が春を嫌いになったのか、の思いは最後の一行に書かれています

 

        

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今日4月12日はモーツアルト「弦楽五重奏曲第6番ホ長調K.614」が完成した日♪

2012年04月12日 06時29分51秒 | 日記

12日(木)。昨夕、K君と、途中からE部長が加わって地下のRで飲みました。店長が試飲の日本酒を持ってきたので、何種類か飲みました。おもに岩手県のお酒でしたが、どれも美味しくいただきました 相当飲んだような気がします。朝から頭痛が・・・・・

 

  閑話休題  

 

11日の日経朝刊・文化欄に蓄音機研究家・林静雄という人が「蓄音機の響き いつまでも」と題するエッセーを書いています 45年前に蓄音機に出会ってからその魅力に取りつかれ、収集を始めて200台以上を所有しているとのことです

林氏の言葉を借りて蓄音機の基本知識を紹介すると「19世紀後半に登場し、第2次世界大戦以前に全盛期を迎え、電気技術が未発達の時代に、主にぜんまいを動力源として、針で拾った振動をラッパ状のホーンで拡大し、SP盤を再生する機械」です (このブログをパソコンでご覧になっている方はおわかりの通り、ブログのテンプレートが蓄音機です)。

かなりのスペースを割いて書かれているのに、「レコード針」についてまったく触れていないのは片手落ちではないか、と思いました LPレコードの再生には”ダイヤモンド針”を使いましたが、SP盤の再生には”竹針”、あるいは”鉄針”を使いました

かつて、中野の「クラシック」や渋谷の「ライオン」(いずれもクラシック音楽喫茶)に行くと、何台か蓄音機が置かれていて、そばに竹や鉄のレコード針が入った箱がありました 実際にその音を聴いた記憶はないのですが、竹針で聴いたことのある人の話では”軟らかい”音だったとのことです。それにしても、摩耗しやすい竹をいちいち削ってかけなくてはならないのは大変な労力だったと思います。ゼンマイを巻くのはもっと大変だったでしょうが・・・・・

 

   2回目の閑話休題  

 

今日4月12日はモーツアルトの「弦楽五重奏曲第6番ホ長調K.614」が完成した日です モーツアルトの死の年、1791年4月12日のことでした。前年の1790年12月に完成した「同第5番ニ長調K.593」と同様に、ハンガリー人のヴァイオリン奏者ヨハン・トストからの依頼によって作曲したと考えられています 楽器構成はヴァイオリン2、ヴィオラ2、チェロ1です。

この2曲の弦楽五重奏曲を書いていた1790年から1791年にかけて、モーツアルトは経済的に困窮していたばかりか、健康面でも思わしくない日々を送っていました にもかかわらず、なんと明るい音楽を書いていることでしょう あらためてこのK.614の弦楽五重奏曲を聴いてみましたが、その曲想はまるでモーツアルトの先生ハイドンの音楽のようです 死を前にして原点帰りしたのでしょうか。同じ時期には、死を達観したようなクラリネット協奏曲K.622も書いています

お薦めCDはウィーンコンツェルトハウス弦楽四重奏団に第2ヴィオラとしてフェルディナント・スタングラーが加わった演奏(1949年録音)です。古き良きウィーン情緒を聴くことができます

 

        

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アレクサンダー・ルビャンツェフのピアノを聴く~日経ミューズサロン

2012年04月11日 06時30分32秒 | 日記

11日(水)。昨夕、大手町の日経ホール「第399回日経ミューズサロン」でロシアのピアニスト、アレクサンダー・ルビャンツェフのピアノ・リサイタルを聴きました 彼は第13回チャイコフスキー国際コンクールで3位に入賞し、昨年の第14回同コンクールで、優勝候補とされながら決勝進出を逃した際に、モスクワの聴衆と音楽批評家から抗議が殺到して、緊急記者会見が開かれ、同コンクール史上初めて「批評家賞」を受賞したとのことです

プログラムは①ベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第31番」、②ラフマニノフ「エチュード”音の絵”作品39-7」、③ショパン「ノクターン第13番ハ短調」、④リスト「メフィスト・ワルツ第1番」、⑤スクリャービン「ピアノ・ソナタ第5番」、⑥ショパン「ピアノ・ソナタ第3番」で、このうちベートーヴェンとショパンのノクターンを除く各曲はチャイコフスキーコンクールでの演奏曲です

日経ホールに着いて、まずトイレをチェックしました。男子トイレが極端に狭いようです このホールのトイレは男女間の壁が可動式になっていて、女性用のスペースを拡大したためです。たしかに女性の観客の比率が高かったようですから仕方ないですね。女性の方にはこのホールを水洗、もとい、推薦します

自席は1階L列8番で中央近くの通路側。会場は9割方埋まっている感じです。照明が落とされて長身のルビャンツェフが登場します。彼は下のプログラムの写真のような厳めしい顔ではありません。むしろイケメンの好青年といった印象です ステージマナーもいいです

1曲目のベートーヴェン「ピアノ・ソナタ第31番」は1819年から1821年にかけて作曲されました。2曲目のラフマニノフ「エチュード”音の絵”」は1916年から翌年にかけて作曲されました。この2曲を弾くルビャンツェフは、小さなピースを積み重ねて、最後には大伽藍を築き上げるといった感じでスケールの大きな演奏を展開します

3曲目のショパン「ノクターン第13番」は、円熟期の1841年に作曲されました。私は21曲あるノクターンの中でもこの13番が一番好きです。ルビャンツェフはあくまでも男性的に”男のロマン”を奏でます。こういう演奏、すごくいいと思います

この曲を聴いているとき、なぜか同じメロディーのハミングが左の方から聞こえてきます。最初は演奏家が口ずさんでいるのかと思いましたが、女性の声なのです。空耳かなと思って演奏を聴いていると、またハミングが聞こえてきます どうやら左隣の中年カップルの女性の方が口ずさんでいるようなのです。2つ向こうの席の女性です。同行の男性が彼女の方を向いて”やめろ”という合図をしているのをちらっと見ました。こういう人は困るのです お金を払ってプロの演奏を聴きに来ているのに、見知らぬ素人のハミングなんか聞かされて大きな迷惑です春になるとこういう人が必ず出てきます。ハナ歌はハナ見をしながらにしてほしい。ハナはだ迷惑です

プログラムにはここまでで前半が終了の手筈ですが、次のリスト「メフィスト・ワルツ第1番」の演奏終了後に休憩に入るとアナウンスされました。前半の最後に超絶技巧曲を演奏して盛り上げて終わろうと意図したのでしょう

ルビャンツェフは完ぺきなテクニックの裏付けによって「メフィスト・ワルツ」の悪魔的な曲想を見事に弾き切りました チャイコフスキー国際コンクールで「批評家賞」を受賞したのは、この曲の演奏が審査員に訴えるところが大きかったのではないかと思います

次のスクリャービン「ピアノ・ソナタ第5番」は彼の代表作「交響曲第4番”法悦の詩”」と同じ1907年に、わずか1週間で作曲されたとのことです。神秘的な曲想と力強い曲想が交錯する単一楽章の曲ですが、ルビャンツェフは詩情ゆたかに、また、力強く演奏しました

最後のショパン「ピアノ・ソナタ第3番」は1844年に作曲されましたが、この作曲中の3月に父の死の報せを受け取り、ショックで一時病床につきますが、ポーランドから見舞いに来た姉のルドヴィカに励まされながら作曲を続け、その年の秋に完成しました ルビャンツェフは、物語を語るように、スケール大きく、また抒情豊かに、楽章間の間を空けずに弾き切りました

鳴り止まない拍手に応えてアンコールを演奏しましたが、1曲目はシューマンのような、でも微妙に違うような、2曲目はリストのような、でも微妙に違うような、3曲目はショパンのような、でも微妙に違うような、4曲目はラフマニノフのような、でも・・・・ここで、はたと気が付きましたたしかプログラムのプロフィールに「自身の楽曲制作にも精力的に取り組んでいる」という記述があったはず。ひょっとしてアンコール曲はすべて彼の自作ではないのか、と。ブラボーと拍手の嵐の中、彼は結局5曲演奏しました

帰り際に会場出口の掲示を見ると、英語でこう書かれていました。

「アンコール曲=ルビャンツェフ作曲 ぺシミック・ソング、リング・ダンス、タランテラ、サンディ」

・・・・・・もう一曲あったはず。書きそこなったか?

この日のコンサートは想定外の収穫でした これほど素晴らしい演奏が3,500円で聴けるのは日経ホール主催の「日経ミューズサロン」くらいのものでしょう。休憩時間には協賛のファンケルから無料のドリンクサービスもあるし、ホールも新しくて音響もいいし、申し分ありません。次にミューズサロンを聴くのは6月26日の韓国のソン・ヨルムのピアノ・リサイタルです。これも楽しみです

 

        

 

コメント (2)
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