人生の目的は音楽だ!toraのブログ

クラシック・コンサートを聴いた感想、映画を観た感想、お薦め本等について毎日、その翌日朝に書き綴っています。

なぜモノクロ・サイレントがアカデミー賞か?~映画「アーティスト」を観る

2012年04月10日 06時41分22秒 | 日記

10日(火)。最近観た映画から。銀座4丁目の「シネスイッチ銀座」で話題の映画「アーティスト」を観ました アカデミー賞を作品賞、監督賞、主演男優賞、衣裳デザイン賞、作曲賞の5部門で受賞した作品です

物語は1927年のハリウッド映画の黄金期。当時のサイレント映画屈指の映画スター、ジョージ・ヴァレンティンは、新人女優ペピーを発掘し、エキストラだった彼女を人気女優へと導きます。強く惹かれあう二人ですが、その時期の映画産業は折しもサイレントからトーキーの時代への転換期にありました サイレント映画に固執するジョージが観客から相手にされずに没落していく一方で、ペピーはスター街道をまっしぐらに進みます そんな中、ジョージは自宅でフィルムに火をつけ火事を起こしますが、犬のアギーの機転で九死に一生を得ます。ペピーは何とかヴァレンティンを復活させるべく一計を案じます。それは、彼とタップダンスを踊り映画に撮ることでした

 

         

 

CGを駆使し3Dで公開されアカデミー賞の有力候補と言われた「ヒューゴの不思議な発明」を退けて、モノクロ・サイレント映画「アーティスト」がアカデミー賞を独占したのはなぜか 試写会を観たタレントが映画のチラシにそれぞれの想いを書いています。その中に「古い物とはとても最新で斬新であり尊敬できることが全部込められている」というのと「モノクロ無声映画のこの作品を時代に逆行した単なる懐古趣味の映画とみる人もいるかもしれませんが、実は最先端で、非常にロマンチックな映画なんだと僕は思いました」というコメントがありました。

はっきり言いますが、この作品は「最新」でも「斬新」でもありません。「時代に逆行した懐古趣味の映画」です 最新とか斬新とか言っている人には、具体的にどこが最新で斬新なのか説明してほしいと思います。それでは、なぜモノクロ・サイレント映画が、最新のハイテク技術を駆使した3D映画に勝ったのか

まず、モノクロについて考えてみます。この映画は「もともとカラーで撮影された」とどこかで読みました。それを、公開にあたってモノクロに変更したようです。もしこの作品がカラーで公開されたらどうだったでしょうか。ペピーのドレスはゴージャスで光り輝いていたことでしょう。観客はそのドレスに目を奪われて”想像力”を働かせることを忘れてしまうでしょう したがって、この映画は必然的にモノクロでなければなりません

次にサイレントについて考えてみます。もし、最初から声や音が伴っていたらどうだったでしょう。最後のシーンはジョージとペピーがタップダンスを踊る場面ですが、ここで初めて靴がステージの床を叩く”音”が聴こえます。この音は印象的です ペピーの後押しを受けてジョージが復活を果たす象徴としてタップの音が使われているのです。それは、サイレントからトーキーへの転換の象徴でもあります ジャン・デュジャルダン(ジョージ)とべレニス・ベジョ(ペピー)の二人は、わずか2分程度のタップダンスのシーンのために4か月もの特訓を重ねたということです。まさに”ザッツ・エンターティンメント”の世界です したがって、最後のシーンでタップの音を生かすためには、それまでのサイレントが有効だったと言えるでしょう

もう一つ、ジョージの愛犬役を務めているジャックラッセル・テリアの”アギー”は、犬のアカデミー賞と言われる”金の首輪賞”で最優秀俳優犬賞を受賞しました もし、この映画にアギーの活躍がなかったら、ノン・アルコール・ビールのような気の抜けた作品になっていたかもしれません

結論めいたことを言えば、アカデミー賞の審査員は、これまで続いてきたハイテク重視の映画界の流れに歯止めをかけ、原点に戻ることを内外に示したかったのではないかと思いますとくに今のハリウッド映画は”リアリティ”がなく、ただ人を驚かせることだけを狙った”作り物”の印象が拭えません 今回の「アーティスト」のような、しみじみと心に残る作品を撮ってくれることを切に望みます

 

          

         

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モーツアルトは本当に天才か?~NHK「ららら クラシック」を観る♪

2012年04月09日 07時05分45秒 | 日記

9日(月)。今日は新聞休刊日。活字中毒にとって新聞がない朝はさびしいものです 毎日早朝から配達してくれている新聞配達の人たちにとっては年に数回しかない休日です。ここは、優良(有料)読者としては我慢のしどころです。配達の皆さんいつもありがとうございます

  閑話休題  

昨夕、NHKで「ららら クラシック」第2回目の放送を観ました この日のテーマは「モーツアルトは本当に天才か?」です。レギュラー司会者は作家・石田衣良と作曲家・加羽沢美濃、ゲストはN響首席オーボエ奏者・茂木大輔です

茂木はゲストに呼ばれるだけあって、モーツアルトについてよく研究しています 彼は指摘します。

「モーツアルトは天才だったのは間違いない。しかし、彼が生きていた当時は、多くの作曲家が活躍していて同じような曲を書いていた。その中で、どの曲がモーツアルトの作曲したものかを(その時代にいて)当てるのは非常に難しいことで、自信がない 料理で言えば、材料もレシピもほとんど同じなのに、モーツアルトの料理だけが他と違ってとびぬけて美味しい。料理の技術が優れていたのだと思う。彼は作曲が上手かったし、技術が優れていた

そして、さらに指摘します。

「彼は時間管理の天才だったのではないか。人の心理をよく読みとって作曲したと思う。全体の曲の流れをよく考えて観客が飽きないように作曲していたと思う

そして「アイネ・クライネ・ナハトムジーク」の第1楽章のライブ演奏を流し、音符ひとつで曲想ががらりと変わる様(しかけ)を解説します

次に悪妻と言われたコンスタンツェについて取り上げ、モーツアルトは彼女の姉のアロイジアのためには多くのアリアを作曲したのに、コンスタンツェのためにはほとんど作曲しなかったことを指摘します。しかし、あの天国的な「アヴェ・ヴェルム・コルプス」はコンスタンツェに捧げたのではないかともコメントします。アシュケナージ指揮N響の演奏が流れましたが、短くも本当に美しい曲です

次に、モーツアルトは映画「アマデウス」で見られるような軽薄でいい加減な男だったというイメージを払しょくすべく「モーツアルトは自筆作品目録を作っていた。それほど彼はまじめで几帳面だった」と指摘します 28歳の時からずっと書き続けていたとのことです。彼の手による最後の自筆譜の次のページから、音符が一つも書かれていない五線譜が続いているのが何ともさびしく悲しい思いがしました

次に茂木氏が指摘したのは「彼は相当ピアノの練習をしていたのではないか」ということですそれは彼の手紙から推測されるとのことです。そして、「モーツアルトの楽譜には書き直しがない。彼は楽譜に書く時はすでに頭の中で曲全体が出来上がっていて、あとはただ頭の中の譜面を書き写すだけだった」と言われる”天才性”について次のように指摘します。

「最後の交響曲第41番”ジュピター”の第2楽章は書き直しがあります。この曲は何の目的で誰のために作曲されたのか分かっていません 彼が書き直しをしなかったのは、当時モーツアルトは注文によって曲を作っていた(オーダーメイド)ので書き直す時間がなかったのだと思います

そしてN響による”ジュピター”の第4楽章の演奏が流されました。茂木氏の指摘の通り、この曲にはオーボエが登場しません。「著名な作曲家はみな晩年になるとオーボエを使わなくなるんです。生々しいからでしょうね」と言っていました。

最後にモーツアルト最晩年の傑作「クラリネット協奏曲K.622」の第2楽章の演奏が流されました。クラリネットのソロはかのカラヤンがベルリンフィルに入団させると主張してオーケストラと対峙する原因となったザビネ・マイヤーです。使用楽器は、彼女がこの曲を演奏するために作らせたという低音がたっぷり出る長いクラリネットです。言いようのない素晴らしい演奏です

この演奏を聴いた石田は「モーツアルトは、自分の生涯の終わりが近いことを知っていて、しかし、にこにこしながら手を振っている。でも心の中では泣いている そんなことを思い浮かべながら聴いていると、切なくなってくる」と語っていました。

私は、この曲を聴くと、小林秀雄が言っていた「青い空を見たときに感じる哀しさ、人間存在根底の哀しみ」を感じます

「ららら クラシック」、次回はいよいよピアニスト萩原麻未がゲストに登場しフランス音楽を演奏します。来週も見逃せません

 

〔追伸〕 下の写真はレオポルト・ウラッハのクラリネット、アルトゥール・ロジンスキ指揮ウィーン国立歌劇場管弦楽団によるモーツアルト「クラリネット協奏曲K.622」のCD(1954年録音)です。ウラッハはウィーンフィルの首席を約30年間務めた名演奏家です

 

        

 

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ブラームス「ドッペル」、ベートーヴェン「第7」~東京文化会館《響きの森》Vol.31のチケットを入手

2012年04月08日 06時49分43秒 | 日記

8日(日)。上野の東京文化会館プレイガイドで東京文化会館《響きの森》Vol.31のチケットを購入しました。7月1日(日)午後2時からのコンサートで、1階17列の通路側席が取れました

プログラムは①ブラームス「悲劇的序曲」、②同「ヴァイオリンとチェロのための二重協奏曲イ短調」、③ベートーヴェン「交響曲第7番イ長調」の3曲。山下一史指揮東京都交響楽団です 二重協奏曲(いわゆる”ドッペルコンチェルト”)のソリストはヴァイオリン=渡辺玲子、チェロ=長谷川陽子の女性コンビです

このチケットを買った動機は、演奏される機会の少ないブラームスの二重協奏曲を聴きたいからです。まるで交響曲のような重厚なこのコンチェルトを2人のソリストがどう表現するか、期待したいと思います

 

        

 

文化会館の外に出ると、建物のすぐ外でブラス・アンサンブルがジャズの名曲「A列車で行こう」を演奏していました。いま上野地区は「東京・春・音楽祭ー東京オペラの森2012」を開催中で、その一環としてオープン・スペースで演奏しているようです

 

        

 

チケットを買ったついでに、お天気も良く桜が満開なので、久しぶりに上野の山を散策することにしました とはいうものの、もの凄い人出です。どこもかしこも花見客でごった返していて、なかなか前に進めません

 

         

 

しかたなく、途中から不忍池の方に下りていきました。池にはたくさんのボートが浮かんでいて、カップルがのんびりと漕いでいました。どーせ、こっちは一人だよ・・・・・・嵐よ来い ちなみに、下の写真の手前の2人は、アベックを狙って手榴弾を密かに隠し持っている過激派ではありません。念のため

 

         

 

池の周りを散策していると、カモメが人の放る餌を求めて飛んできました。早く来て場所取りをしていたハトはハトメイワクそうです

 

         

 

そのうち、水に浮かんでいるカモとカモメとで餌の取り合いが始まりました 水面下では大きな緋鯉が5月の子供の日のリハーサルをやっていました

 

         

 

勝負は、「カモメ」の方が「カモ」よりメが付いているだけ有利と見えて、カモをカモにして首尾よく餌をくわえて飛んでいきました カモメは「カモメのジョナサン」とかカッコいいイメージがあるけど、カモは「カモネギ」とかあまりいいイメージがないし・・・・・すでに名前で負けてるかな してやられたカモは叫びました「カモめ」。

”カモメが飛んだ”・・・・・誰かの歌にありましたね。”ヒューズが飛んだ”・・・・・誰も歌っていませんでしたね 皆さま、引き続き節電にご協力を

春の晴れた日はこんな休日も心休まるもの。  が咲いているうちが花です

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J.S.バッハ「マタイ受難曲」を聴く~バッハ・コレギウム・ジャパン定期公演

2012年04月07日 07時02分30秒 | 日記

7日(土)。昨夕、初台の東京オペラシティ・コンサートホールでバッハ・コレギウム・ジャパン(BCJ)の2012年度第1回定期公演を聴きました 演奏曲目はバッハ最高の宗教曲「マタイ受難曲」です

キャストは、ソプラノ=ハナ・ブラシコヴァ、藤崎美苗、アルト(男声)=クリント・ファン・デア・リンデ、青木洋也、テノール=ゲルト・テュルク、水越啓、バス=ピーター・ハ―ヴェイ、浦野智行と、男女混合合唱団。指揮はBCJが1990年に創設されて以来の音楽監督・鈴木雅明です

BCJが「マタイ受難曲」を演奏する時は、いわゆる”対向配置”を取ります。管弦楽器もコーラスもすべてが中央を起点に左右に分かれ、向かい合う形を取ります。向かって左側が第Ⅰ群、右側が第Ⅱ群です。BCJのレギュラーメンバーのほとんどが第Ⅰ群に入ります コンサートマスターの若松夏美、フラウト・トラヴェルソの前田りり子、菅きよみ、オーボエの三宮正満、尾崎温子、チェロの鈴木秀美、オルガンの今井奈緒子、ソリストではブラシコヴァといったメンバーです。さらにニューフェースのリンデ、ハーヴェイが加わります 一方第Ⅱ群には、コンサートマスターの高田あずみ、オルガンの鈴木優人、ソプラノの藤崎美苗、バスの浦野智行らのメンバーが入ります。こうした配置を取る理由は、左側にイエスを歌うバスを、右側にユダ、ペテロを歌うバスを置くことによって、イエスとユダとの敵対的な構図を明確にさせるためです イエスの受難の物語を語るエヴァンゲリスト(福音史家)は第Ⅰ群に属しますが、ソロのときは中央前方で歌います 言い忘れましたが、ソリストは第Ⅰ群か第Ⅱ群の合唱に混じっていて、ソロの時にその場で立って、あるいは前方に出てきて歌います

「マタイ受難曲」をBCJで聴くのは今回で何回目か思い出せませんが、ほぼ毎年1回は聴いているような気がします そのたびに思うのは、BCJは”世界に通用するピリオド楽器のプロ集団”だということです。特に第Ⅰ群で演奏した若松、前田、菅、三宮、鈴木といった演奏家はプロ中のプロです

ソリストでは、エヴァンゲリストを歌うテュルクは全曲を通してほぼ歌いっぱなしですが、そのテノールの素晴らしさ もう一人BCJの常連ではブラシコヴァのノン・ヴィブラートの美しさ そして、今回の収穫はアルト(男声)のリンデとバスのハーヴェイ、そしてソプラノの藤崎美苗です リンデは常連のロビン・ブレイズが、ハーヴェイは常連のペーター・コーイが歌った大役を見事に歌い上げました 藤崎美苗は第2の野々下由香里になれるでしょうか

20分間の休憩中は60ページもあるプログラムを読みましたが、とても読み終わるものではありません 途中で諦めてトイレに行こうと顔を上げると、見知らぬ紳士(背は低めで白髪)が「大変失礼ですが、今日のような合唱曲は良くお聴きになるのですか?」と訊いてくるのです 一瞬どう答えたものかと悩みましたが、「それほどは聴きません」と答えて軽く会釈をしてその場を去りました。紳士的な感じの良い人でしたが、逆に宗教かシニア合唱団の勧誘かも、と疑ったことも否定できません。失礼かと思いましたが、休憩時間も残り少なく、トイレに行かなくてはならないので、水に流してもらうことにしました

午後6時半に始まった演奏は、途中20分間の休憩をはさんで9時50分に終了、正味3時間の充実したコンサートでした ソリストたちは何度も呼び戻されて拍手とブラボーの声援に応えていました この日はほぼ9割方埋まっていました。新年度の始まりとしては上々といったところです。しかし、例年第2回目から聴衆が減ってしまうのが残念です。いつも素晴らしい公演なので、この日の聴衆がずっと残ってくれればいいと思います

 

        

 

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今日、4月6日は”春の祭典”ストラヴィンスキーの命日です♪

2012年04月06日 06時33分27秒 | 日記

6日(金)。4月6日は「新聞を読む日」で、今日から「春の新聞週間」が始まりますが、もう一つ、ロシア生まれのイーゴル・ストラヴィンスキーの命日でもあります 彼は1882年に生まれ、1971年4月6日にニューヨークで生涯を閉じました

ストラヴィンスキーといえば、ロシア・バレエ団率いるセルゲイ・ディアギレフの依頼により「火の鳥」「ペトルーシュカ」「春の祭典」の3大バレエ曲を作曲し、一世を風靡した作曲家です

2年程前に、「シャネル&ストラヴィンスキー」という映画がありましたが、ココ・シャネルはパリに滞在中のストラヴィンスキー一家を自分の別荘に住まわせるなど、経済的に援助していたことが分かります 別荘はパリの5番街にありました(?)。シャネルの5番、なんちゃって

私のストラヴィンスキーとの出会いはズービン・メータ指揮ロスアンゼルス管弦楽団による「春の祭典」のLPレコードでした 当時は録音技術が優れたレコードとしても話題になったLPで、第1部の序奏に続く”春の兆しと若い娘たちの踊り”のところでは、レコード針が飛びそうな勢いでした。CDでは、シャルル・デュトワ指揮モントリオール交響楽団による演奏が一時期決定版になりました。”色彩感豊かで鋭い切れ味の演奏”とでも表現すればいいでしょうか

 

         

 

最近、ストラヴィンスキーの音楽がらみで良かったと思ったのは映画「Pina」で、ピナ・バウシュの主宰するドイツ、ヴッパタール舞踏団が踊った「春の祭典」です。まさに音楽と舞踏の一体化が図られていました

Pinaといえば、3日付の朝日夕刊に作家の池澤夏樹氏が、映画Pina/ピナ・バウシュ 躍り続ける命」と「Pina・バウシュ 夢の教室」を観て感じたことを書いています。

「舞台と屋外を縦横無尽に踊り回るいくつもの身体を見ていて、ここでいちばん強い原理は重力だと思った」「人間は跳べるけれども飛べないという厳粛な事実に戻って考えれば明らかだ。現代の表現者は安易に人間を飛ばせすぎる 早い話が宮崎俊はあんなに少女たちを飛行させるべきではなかった。あれですべてがバーチャルになり、自然の抵抗感がなくなり、生きることぜんたいが軽くなった」「揺るがない価値が欲しい。これだけは絶対に大丈夫という指標が欲しい。ピナ・バウシュはぼくにとってそういう指標になった」

とくに「重力」についての考えは新鮮に感じました 感性の鋭い作家は”舞踏”をそういう風に捉えているのか、と感心しました そして、なぜか「飛びます、飛びます」と言ってあの世に飛んでいったコント55号の次郎さんを想いました

 

  閑話休題  

 

今日はモーツアルトが「交響曲第29番イ長調K.201」を完成した日です。1774年4月6日のことでした。「交響曲第25番ト短調K.183」とともに、ザルツブルク時代の若きモーツアルトの代表作で、今の時期に相応しい穏やかで気持ちのよい曲です。オットー・クレンペラー指揮ニュー・フィルハーモニア・オーケストラのCDがお薦めです

 

             

 

 

 

 

 

        

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ショーペンハウアー「幸福について 人生論」を読む

2012年04月05日 06時46分53秒 | 日記

5日(木)。昨夕は、仕事でE部長、テナントKの代表ご夫妻とFSビル地下のOで飲みました前日に次いで連チャンです 前日は日本酒がメインでしたが、この日はK氏に合わせて焼酎を飲みました K氏は法曹界のオーソリティですが、ダジャレのオーソリティでもあります 次から次へとダジャレが飛び出します。当方は、ただ口をあんぐりと開けて唖然として聞くしかありません。普段からK氏を陰に日向に支えていらっしゃる奥様の気苦労がよく分かりました

そのK氏が四字熟語の話になった時に「一石二鳥、二人三脚、三寒四温、五臓六腑、七転八倒までは続くけれど、九と十が続かない」 とおっしゃいました。私は一念発起して思考停止の頭を再起動させて「九十(苦渋)の選択ですね」と言いましたが、四字熟語になっていなかったせいか無視されました ともあれ話し合いが順調に進んだので、9時過ぎに気を良くしてお店を後にしました。Kご夫妻にはお忙しいなかお付き合いいただきありがとうございました

 

  閑話休題  

 

哲学者ショーペンハウアーの「幸福について 人生論」(新潮文庫)を読み終わりました 翻訳をした橋本文夫氏の解説によると、この本は、哲学者ショーペンハウアー(1788年生まれ)が1851年に著した「筆のすさびと落穂拾い」という随想集に載った最大編「処世術箴言」を全訳したもので、「幸福について」という表題は原論文にはないとのことです

私がこの本の存在を知ったのは3月25日付の朝日新聞に載っていた「売れてる本」のコーナーでした 瀧井朝世というライターが、「肩の荷が下りる名言の数々」と題してこの本を紹介していました。それによると、2月29日放送のテレビ東京系報道番組「ワールドビジネスサテライト」内の1コーナー「スミスの本棚」で、ゲストの小説家・劇作家・演出家の本谷有希子が、付箋をたくさん貼った私物の本を手に「幸福にならなきゃと思っている人は、ずいぶん肩の荷が下りると思います」などと語った、とのことです。放送後、アマゾンのランキングでいきなり総合ランキング一位に躍り出たといいます

「これはぜひ読まなきゃ」というわけでさっそく購入して読み始めました。はっきり言って、かなり手ごわい本です。こまかい章立てもなく、文章にはほとんど段落もない、ただ細かい文字がびっしりと何ページも続きます。最近の売れっ子作家のスカスカの推理小説とは違います。何度も途中で挫折しそうになったことを告白しなければなりません

こういう”難しい人”の本を読むときに心がけているのは、「繰り返し主張していることは何か」ということです。 それが理解に繋がります

この本の場合もいくつかキーワードがあります。「苦痛」、「退屈」、「名誉」、それに対する「朗らかさ」、「余暇」、「健康」です。彼の言葉を抜き出してみましょう

「人間の幸福に対する2大敵手は苦痛と退屈である

「種々の財宝のうちで最も直接的にわれわれを幸福にしてくれるのは、心の朗らかさである

「どの時代の精神的に優れた人物を見ても、自由な余暇を何ものにもまして尊いと考えている。誰の場合にも、自由な余暇は、その人自身の価値と等しい価値を持つからである ”幸福は余暇にある”とアリストテレスは言い、ディオゲネ―ス・ラ―エルティオスの報告によれば”ソクラテスは余暇を人間の所有するものの中で最もすばらしいものと讃えた”。アリストテレスが哲学的な生き方が最も幸福な生き方だと説いたのも、この趣旨に合致したことである

「われわれの幸福の基礎をなすものは、われわれの動物的な自然性である。だからわれわれの福祉にとっては健康が一番大事で、健康に次いでは生存を維持する手段が大事である すなわち気苦労のない生活の維持が大事である。名誉とか栄光とか位階とか名声とかは、いかに重きを置く人があるにせよ、こうした本質的に大事な財宝とは比肩しうべくもなし、またそうしたものの補いにもならない むしろ本質的な財宝のために、必要とあれば、惜しげもなく犠牲にされることであろう

要するに、極論すれば、幸福でいる条件は「心身ともに苦痛がない健康な状態で、地位や名誉などを気にせずに、退屈しないように余暇を楽しみながら、朗らかに生きることである」ということになるでしょうか。心がけたいと思います

 

     

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ポゴレリッチのショパン「ピアノ協奏曲第1番、第2番」を聴きに行くぞ!

2012年04月04日 06時40分06秒 | 日記

4日(水)。昨日は午後から台風並みの”春の嵐”で大変でしたね 当ビルでは土曜日の強風で1階入り口の厚いガラス扉のガラスが粉々に割れたため、ベニヤ板で応急措置をしましたが、昨日に至ってシャッターを閉めました 職員の半数は帰りの電車が動くうちにと、早退しました。

当方は午後6時から10階ホールでテナントさんの社名変更記念パーティーがあり、U専務、E部長と出席しました ”パーティーには挨拶がつきもの”ですが、立ちっぱなしで1時間以上も4人の挨拶を拝聴するのは初めてです。滅多にない貴重な経験でした 挨拶が終わって、さあこれから食事、というときには疲れ果てていたので、料理には手を付けず地下のRへ行って飲み直すことにしました 地下の飲食店は”春の嵐”が過ぎ去るまで帰宅時間を調整する人たちでにぎわっていました。”台風特需”みたいなものですね

 

  閑話休題  

 

新日本フィルの定期会員(トりフォニーシリーズS席)の継続手続きをしました 現在は1階16列11番で、通路から1つ入った席なのですが、どうしても通路側にこだわりたいので、かなり後ろの席になりますが、23列の通路側席を予約しました。すぐ後ろはA席です

 

         

 

   閑話休題  

 

イーヴォ・ポゴレリッチのピアノ独奏によるショパン「ピアノ協奏曲第1番、第2番」のコンサート・チケットを買いました 5月7日(月)午後7時からサントリーホールです。指揮は山下一史、弦楽合奏はシンフォニア・ヴァソヴィアのメンバーです 7日(水)には彼のリサイタルがあるのですが、すでに別のコンサートの予定が入っているので諦めました

 

        

 

ポゴレリッチは1958年べログラード生まれ、12歳からモスクワの中央音楽院で、その5年後からはチャイコフスキー音楽院で学びました 彼の名が世界に轟いたのは、1980年のショパン国際コンクールで、本選を前に、審査員団が当時22歳の彼を落としたことに対して、審査員の一人マルタ・アルゲリッチが「だって、彼は天才よ!」と抗議して帰国してしまった事件がきっかけでした

実は、私は彼が騒がれた当初はそれほど関心を寄せていませんでした 「ただの目立ちたがり屋だろう」くらいにしか思っていませんでした。ところが、一昨年5月の「ラ・フォル・ジュルネ・オ・ジャポン」音楽祭で彼が弾くショパン「ピアノ協奏曲第2番」の演奏を聴いて、衝撃を受けました ポゴレリッチは”これ以上遅いテンポはあり得ない”ほどのゆったりとしたテンポで悠然と弾いていました。しかし、それは音楽が弛緩しているということでは全くなくて、一音一音が説得力を持って聴く側に迫ってくるのです 意外かもしれませんが、コンサートを聴いて感動することなんて、50回に1回位、あるいは100回に1回位しかありません。そういう意味ではポゴレリッチの演奏は心の底から感動したコンサートでした

その演奏を聴いてから、彼に対する評価が一変しました。次の日にはタワーレコードに行って、ドイツ・グラモフォン・レーベルから出ているCD10枚を集中的に買い求めました。ショパン、リスト、チャイコフスキー、ベートーヴェン、バッハ・・・・・・・どれも素晴らしい演奏ですが、やはりショパンが一番いいかもしれませんね

 

           

             ショパン「ピアノ協奏曲第2番」「ポロネーズ」

             アバド指揮シカゴ交響楽団。1983年の録音

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NHK「ららら クラシック」始まる~15日の番組に萩原麻未が出演♪

2012年04月03日 06時17分11秒 | 日記

3日(火)。1日からNHK「ららら クラシック」が始まりましたね N響アワーに代わる新しい番組の司会者は作家・石田衣良と作曲家・加羽沢美濃のコンビ 加羽沢美濃はしばらく見ないうちに随分年をとり・・・・、もとい、貫録が出てきましたねぇ 初回はベルリン・フィルのコンマス・樫本大進がゲストでした。佐渡裕がベルリンフィルを振ってショスタコーヴィチの第5交響曲の第4楽章を演奏するシーンが流されましたが、それはそれとして、私としては樫本がピアノのリフシッツと弾いたベートーヴェンの「ヴァイオリン・ソナタ第6番」の”ヴァリエーション”の演奏が音楽性が溢れたいい演奏だったと思います

番組はもちろんスタジオ収録なのですが、随分広いスペースのスタジオを使って贅沢に番組を作っているんだなぁ、と思いました

来週8日は「モーツアルトは本当に天才か?」がテーマ、15日は「芸術の都パリ」をヒューチャーし、ピアニスト・萩原麻未がゲスト、22日はN響スペシャル、29日は「バレエ事始め」がテーマになっています

個人的には8日の「モーツアルト」と15日の「萩原麻未」の回は見逃さないようにしたいと思います。萩原麻未が何を弾くのかが楽しみです

 

         

 

  閑話休題  

 

片岡弘樹著「傍聞き(かたえぎき)」(双葉文庫)を読み終わりました 今、話題の本で、多くの書店で平積みになっています。文庫の帯に、ある書店員の推薦文が載っています。曰く「一切のムダを排して滋味に富み、研ぎ澄まされた短編ミステリの凄味が存分に味わえる、これぞ本屋の店員が”百万部売っても売り足りない!”と叫びたくなるほどの珠玉の一冊だ!」・・その言葉に嘘はないと思います

著者の片岡弘樹は1969年山形県生まれで、筑波大学を卒業後、2003年に「真夏の車輪」で第25回小説推理新人賞を受賞、2008年に「傍聞き」で第61回日本推理作家協会賞を短編部門で受賞しています

救急隊員が主人公の「迷走」、女性刑事とその娘が主人公の「傍聞き」、消防士が主人公の「899」、更生保護施設長が主人公の「迷い箱」の4編が収録されています。どれもが「なるほど」と思わされる傑作ぞろい ミステリなので中味を詳細に紹介できないのがつらいところです 長編小説を書くのも大変な労力でしょうが、短編を書くのは、ある意味もっと大変な労力ではないかと思います。多くの言葉であることを表現するよりも、少ない言葉で同じことを表現する方が難しいと思うからです。その意味では、この作者は相当の執筆力があると思います

 

                 

 

 

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フラッカーロ、ババジャ二アン、ボルシでヴェルディ「オテロ」を聴く~新国立オペラ

2012年04月02日 06時56分32秒 | 日記

2日(月)。昨日、新国立劇場でヴェルディのオペラ「オテロ」を観ました キャストはオテロ=ヴァルテル・フラッカーロ(テノール)、デズデーモナ=マリア・ルイジア・ボルシ(ソプラノ)、イアーゴ=ミカエル・ババジャ二アン(バリトン)、ロドヴィーコ=松位浩(バス)、カッシオ=小原啓楼(テノール)、エミーリア=清水佳澄(メッゾ・ソプラノ)ほか。バックを務めるのはジャン・レイサム・ケーニック指揮東京フィルです。演出はマリオ・マルトーネで、2009年9月新国立プレミエ公演の再演です オテロの妻デズデーモナ役のボルシは、体調不良のため来日不能となったポプラフスカヤの代役です

シェイクスピアの名作「オセロ」に、晩年のヴェルディが7年の歳月をかけて作曲した悲劇の物語のあらすじは次のとおりです。

15世紀末、ヴェネチアの将軍オテロはトルコ艦隊に勝利し、嵐の中キプロス島に帰還します。オテロはカッシオを副官に昇進させ、それを妬んだ旗手のイアーゴは、オテロを破滅させるべく謀略を企てます 最初にカッシオを陰謀によって失脚させた上で、オテロへ取り成すように妻デズデーモナに頼むようカッシオに入れ知恵します。さらに、デズデーモナの落としたハンカチを手に入れ、カッシオに持たせます。妻とカッシオの不貞を信じ込んだオテロは嫉妬に狂い、デズデーモナを絞殺しますが、真実を知って自害します

演出のマルトーネは舞台をキプロスからヴェネチアに移して、ステージ上に運河を再現、50トンもの水が張られます この舞台を見た隣席のおじさんが「市ヶ谷の釣り堀みたいだな」とほざいていました。イマージネーションの行方がおかしくね?

ケーニックのタクトで第1幕が始まります ケーニックはロンドン生まれ、ロイヤル・カレッジ・オブ・ミュージックで学びました。88年にウィーン国立歌劇場に初登場し、その後、世界各地の歌劇場で指揮をしているとのことです。冒頭、嵐のシーンの音楽で、ケーニックは聴衆の心を鷲づかみしました すごい迫力です。東京フィルの演奏も狂気迫るものがあります

主人公オテロを歌うフラッカーロは、世界各地の歌劇場で歌っている実力者で、この日も最初から絶好調のドラマチック・テノールを聴かせてくれました ヴェルディのこのオペラは心理劇といってよいと思いますが、主人公オテロの迷い、悩みを歌に載せて語っていました

このオペラの”影の主役”と言ってもいいのがイアーゴです。ババジャ二アンは、オテロを謀略で陥れる悪魔の役をしっかりと演じ、歌い上げました いい歌手です。最後のカーテンコールに出てきたとき、足を引きづっていましたが、演技中にどこかにぶつけたのかもしれません この日がプレミエ公演なので、まだ何度か歌い演じなければなりません。大したことがなければいいのですが

デズデーモナ役のボルシは後半にいくにしたがって、どんどん調子を上げていき、最後の第4幕の「柳の歌」は本当に美しいソプラノ・ソロを聴かせてくれました 彼女は立派にポプラフスカヤの代役をこなしました

この公演が成功したのは、フラッカーロ、ババジャ二アン、ボルシの3人の歌手陣の活躍とともに、新国立劇場合唱団の圧倒的な歌唱力、そして、ケーニック指揮東京フィルの素晴らしいバックによるところが大きいと、あらためて思いました

 

   

     

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4大コンマスによるヴィヴァルディ「四季」~「オーケストラの日2012」を聴く

2012年04月01日 08時42分32秒 | 日記

4月1日(日)。ついに新年度に突入しました 昨日、法事で藤沢に行ってきました。朝、家を出るときはすごい強風で、藤沢に着くと雨が混じっていました。幸いにもわずかながら遊行寺(ゆぎょうじ)境内の桜が咲いていました

 

        

 

法事が済んだあとは、巣鴨まで戻らず上野で降りて東京文化会館に向かいました。「オーケストラの日2012」コンサートを聴きました なぜ3月31日が「オーケストラの日」なのかというと「331=耳に一番、耳にいいひ」だそうです。ひどいこじつけ、もとい、素晴らしいアイディアですね

この日のプログラムは2部構成で、第1部が4つのオーケストラによるヴィヴァルディ「四季」のリレーコンサート、第2部が首都圏13オーケストラの選抜メンバーによる名曲の演奏となっています 会場はほぼ9割方埋まっている感じで、子供連れが多いように思います。自席はL3-7番で、3階の左上方から舞台を見下ろす形です

最初に、4人のトランペット奏者が登場、メンバーの一人、津守祥三作曲によるファンファーレが高らかに奏でられ、コンサートの始まりを告げます

第1部ヴィヴァルディ「四季」は4つのオーケストラがリレーしてそれぞれの季節を演奏します基本形はヴァイオリン・ソロが中央に陣取り、舞台左から第1ヴァイオリン3、第2ヴァイオリン3、チェンバロ1、チェロ2、ヴィオラ2、後ろにコントラバス1という13名による編成を取ります。

「春」は東京交響楽団の担当。コンマスの大谷康子が濃いピンクのドレスで登場 司会の江原陽子に「春をどのように演奏しますか?」と聞かれ「今ちょうど春爛漫、上野の桜も咲いたようで、私も春に相応しい色の衣裳を着てきました。春らしく楽しく演奏したい」と応えていました大谷は中央のチェンバロの前に立ち、客席の方に向かって演奏します。いつもはコンマスの隣で縁の下の力持ち的な役割を担っているフォアシュピーラーの田尻順がコンマスの席に座って演奏しているのを見て、頼もしく嬉しく思いました

「夏」は神奈川フィルの担当です。コンマスはあの(キザな)石田泰尚。「夏をどのように演奏しますか」の問いに「夏らしく」としか答えられません 2度聞かれて2度とも同じ答えでした。どうも語彙が乏しい人のようです。単なる照れ隠しではないようです。結局、4人のコンマスの中で楽譜を見ながら演奏したのはこの人だけでした。こんなところに他のコンマスとの実力の差が出てしまいました

「秋」は東京都交響楽団の担当。コンマスは山本友重です。第2ヴァイオリンにはエンカナ(遠藤香奈子)さんも健在です 都響の弦楽セクションには定評があります

「冬」は日本フィルの担当。コンマスは木野雅之です。恰幅のいい木野はヴァイオリン・ソロを頼もしく聴かせてくれました

こういう試みは世界的にも珍しいのではないかと思います。ところで、隣に座っている年齢不詳の男性の拍手がとてつもなく大きく音程が高いのです すぐ前の席の女の子が後ろを振り返って「だーれ?大きな音を立てている人は?」という顔をしています 「おいこら、公共の福祉のために、もう少し穏やかに拍手せんかい」と言いたいのをグッと我慢して飲み込みました。演奏する側から見れば、こういう熱狂的な拍手の方が歓迎でしょうから

第2部はジョン・ウィリアムズの「スター・ウォーズ」のメインタイトルで幕開けです。首都圏13楽団の選抜メンバーから成る「オーケストラの日祝祭管弦楽団」を梅田俊明が指揮します。4人のコンマスもヴァイオリン・セクションに加わります。新日本フィルのソロ・コンマス豊嶋泰嗣が112名のオケをリードし、勇壮な音楽が大管弦楽によって演奏されます。初めて映画「スター・ウォーズ」を観たときの興奮を思い出しました

次はNHKの連続大河ドラマ「平清盛」のテーマ音楽(吉松隆作曲)で、ピアノ独奏は脳溢血の後遺症で右手が不自由になり左手のみで弾く舘野泉です テレビは見ないのでどういう番組なのかさっぱり分かりませんが、勇壮な音楽です。演奏後、舘野がインタビューに応えて「いい音楽ですね。でも短すぎますね」と言って会場を沸かせていました

次はフルートとハープのコンビネーションが素晴らしいビゼー「アルルの女」の「メヌエット」です。何度聴いても美しい曲です そして勇壮な「ファランドール」が続きます。この音楽を聴いていると心が高揚してきます

次はヨハン・シュトラウス「ポルカ”狩り”」です。ウィーンフィルのニューイヤー・コンサートでよく演奏される楽しい音楽です 司会の江原が「この曲は、獲物を撃つ鉄砲の音がしますが、驚かないでくださいね。弾は誰にも当たっていませんから」と言って笑いを誘っていました とにかく最高に楽しい曲です。

そしてマスカー二「カヴァレリア・ルスティカーナ」の間奏曲です。こんなに美しい曲があるのか、と言いたくなるほど素晴らしい曲です

フィナーレは、ホルスト「惑星」から”木星”(ジュピター)です。平原綾香がこの曲に歌を付けて歌っていますね 112名による大管弦楽が東京文化会館を揺るがします 

最後にオーケストラの伴奏により会場の聴衆全員で、1年前の大震災の被災者を想いながら「ふるさと」を合唱しました

今回のコンサートは選曲も構成も良かったと思います きっとこの企画の実行委員会に優れたアイディアマンがいるに違いありません。楽しいコンサートでした。また来年が楽しみです

   

       

 

 

 

 

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