「週刊文春」編集部 2020/10/10
source : 週刊文春 2020年10月15日号
「起訴状の通り、間違いありません」
証言台でボサボサの黒髪を背中に垂らし、堂々と声を張った男。17年8月から10月にかけて、神奈川県座間市のアパートで男女9人を殺害したとして強盗・強制性交殺人罪などに問われた白石隆浩被告(29)に対する裁判員裁判の初公判が9月30日、東京地裁立川支部で開かれた。
初公判が開かれた東京地裁立川支部101号法廷 ©共同通信社
初公判が開かれた東京地裁立川支部101号法廷 ©共同通信社
「しわしわの作業着と後頭部に張りついた髪は、寝起きで出廷したかのようでした。罪状認否を終えた後は目を伏せ、時折伸びをしていた。『被害者は殺されることに同意していた』という弁護人の主張が退けられれば死刑はほぼ避けられない状況ですが、裁判の進行には既に関心がなさそうでした」(社会部記者)
取り調べに対しては「カネと性欲目的で9人を殺害した」と自白していた白石。法廷で説明されるその行為はおぞましいものだった。
風俗スカウトマン時代の経験から「自殺願望のある女性は言いなりになりやすい」と考えた白石は、ツイッターで「首吊り士」と名乗り、自殺願望を持つ女性に接触を始めたという。金づるにならなそうなら首を絞めて失神させ、女性8人については姦淫。その後、首を吊って殺害し、証拠隠滅のために遺体をバラバラに解体していった。
解体のために白石はノコギリやミキサー、鍋を購入している。内臓などは一般ごみとして廃棄し、大きな部位は鍋で煮て、頭部と一緒に自宅のクーラーボックスに保存。発覚しないよう後日、捨てに行く予定だったようだ。だが、このボックスから被害者の頭部が発見され、逮捕につながった。
白石被告が拘置所で行っている“面会ビジネス”
また、一連の犯行に先立ってはユーチューブで「殺し方」などと検索。牛の解体動画や「人を食べるときの注意事項」といった猟奇的なサイトをあさっていた形跡もあった。一方で、日本で死刑を適用する際の判断基準である「永山基準」や、事件が発覚しないよう被害者の捜索を防ぐ方法なども検索していたことも判明。これら証拠の説明を裁判員らは厳しい表情で聞いていたという。
閉廷まで気怠そうな表情だった白石。生きることに関心を失ったのだろうか。
「カネには興味があるようです。警察署や拘置所に面会に行くと、事件について答える条件として現金を要求してくる。一部メディアが差し入れをしたことに味を占め、今では悪びれもせず、一度に差し入れできる上限の3万円や食料などを求めてきます。外の食事が恋しいんだとか。9人もの命を奪っておきながら、拘置所でやっていることは反省ではなく“面会ビジネス”です」(司法記者)
「死刑の覚悟はできている」と漏らしている白石。絞首台を前にした時、「首吊り士」は何を思うのか。
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