硫化水素(りゅうかすいそ、英: hydrogen sulfide)は、化学式 H2S で表される硫黄と水素の無機化合物で、カルコゲン化水素の一つ。別名スルファン(sulfane)。無色の気体で、腐卵臭を持つ。空気に対する比重は1.1905である。
生ごなどが下水道管に流れると腐蝕が起こり、下水道管は崩壊する。
道路の陥没との因果関係になる。
道路インフラ維持管理
地盤沈下や地下水などの影響で発生するアスファルト舗装道路下の「空洞」。
テラテック工法は陥没などの要因となる、危険な路面下の空洞に硬質発泡ウレタン樹脂を充填し、短時間で施工する特許工法です。
全面規制の必要がなく、最小限の交通規制で道路機能を健全な状態に回復させることが可能です。
特徴
硫化水素は、空気より重く(比重1.1905)、無色、水によく溶け、弱い酸性を示す。
可燃性ガスであり、引火性がある。爆発限界は4.3 – 46 %。燃焼した場合には硫黄酸化物となる。
硫化水素は好気性生物の多くにとっては有毒であるが、酸素非発生型光合成、すなわち水素源として水ではなく硫化水素を用いる事で酸素の代わりに硫黄を放出する緑色硫黄細菌・紅色硫黄細菌などの光合成細菌も存在する一方、硫黄酸化細菌と称される化学合成細菌は硫化水素の酸化に伴い発生するエネルギーで炭酸同化を行う。後者は硫化水素の豊富な海底火山の熱水噴出孔付近で生産者の役割を担い、独自の生態系を形成している。
天然には火山中から火山ガスとして放出されるほか、温泉(硫化水素泉)中に含まれる。人為的な発生源には石油化学工業などがあり、下水処理場、ごみ処理場などにおいても、硫黄が嫌気性細菌によって還元され硫化水素が発生する。飲食店などの厨房排水で設置される分離槽や溜め枡内で、閉店後水が動かなくなると非常によく発生する。糞や屁にも若干含まれる。硫酸塩還元細菌による働きで、口臭にも含まれる[1]。
腐卵臭
硫化水素は、腐った卵の臭いの原因で[2]、その時の特徴的な強い刺激臭は「腐卵臭」と表現される。目、皮膚、粘膜を刺激する有毒な気体である。悪臭防止法に基づく特定悪臭物質のひとつ[3]。
噴火口から出る火山ガスや硫黄泉などの臭いが「硫黄の臭い」と形容される場合があるが、硫黄の単体(S)は無臭であり、これは硫化水素(H2S)の臭いをさしている[4]。空気よりも重いため火山地帯、温泉の吹き出し口などの窪地にたまりやすい。
化学的性質
硫化水素は共有結合性の水素化合物で、硫黄と酸素とが周期表において同じ元素の族(第16族)であるため水と分子構造がよく似ている。密度は、空気を1とすると1.190であり空気よりも重い。
水溶液(硫化水素酸)では、硫化水素イオン (HS−) と水素イオン (H+) に電離して弱い酸性を示す。
H2S↽−−⇀HS−+H+
Ka=1.3×10−7mol/L;pKa=6.89.
その水溶液はゆっくりと酸素と反応して単体硫黄を生じる。硫化物イオンは固体の状態では知られているが、水溶液の状態では確認されていない(c.f.:酸化物)。pH 滴定により硫化水素の2番目の酸解離定数は10-13付近であるとされてきたが、これはアルカリ溶液における硫黄の酸化が原因の誤認であることが現在、明確に分かっている。現在、pKa2 は19 ± 2と見積もられている。
HS−↽−−⇀S2−+H+
硫化水素は金属イオンを含む水溶液と反応して、金属硫化物の沈殿を生じる。この硫化物の沈殿生成は硫化水素が弱酸であるため水溶液のpHおよび硫化物の溶解度積に著しく依存する。沈殿の色は、金属イオンの分解・検出の重要なポイントとなる。温泉街など硫化水素が発生しやすい場所では、銀、銅は接触によってサビ・腐食が発生するため持ち込まないようにと注意書きも見受けられる。
燃えると水と二酸化硫黄ができる。
2H2S+3O2⟶2SO2+2H2O
硫化水素と二酸化硫黄との反応から、単体の硫黄と水が生じる。本反応は硫黄回収装置に応用されている。
2H2S+SO2⟶3S+2H2O
物理学的性質
およそ90GPaの高圧下で超伝導物質として現時点で最高の転移温度である203 K (−70 °C)で超伝導状態になる。ただしこの高温超伝導は圧力により分解し生成したH3Sであると予測されている。[5]
製法
実験室的製法
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多くの場合金属硫化物に酸性水溶液を加えると硫化水素ガスが発生する。
MS+2H+⟶H2S+M2+
このことを利用して、中等教育における理科教育では、試験管を用いて微量の硫化鉄(II)と希塩酸から硫化水素を製造する実験がしばしば行われている[6]。
実験室規模での発生では硫化鉄と希硫酸からキップの装置を使って合成する方法もあるが、今日では実験用途では工業的に生産されたガスボンベを利用することが通常である。
毒性の高さから、実験室規模の製法の実施にあたっても、安全性を確保するために十分な換気の確保と理科教員や資格者による監視・管理のもと実施される必要がある。
工業的製法
工業的な硫化水素の製造法としては,
石油精製の過程において水素化脱硫装置によって生じた硫化水素を含む酸性ガスをアミン水溶液(エタノールアミンが典型的だが限定されない)で吸収したのち、再加熱によって高濃度の硫化水素を含むガスを得る方法(大部分は硫黄回収装置による単体硫黄の製造に使われる)
HOCH2CH2NH2+H2S⟷HOCH2CH2NH3+ +HS−
触媒下でメタンと硫黄を反応させて、二硫化炭素と硫化水素を生成したのち分離精製する方法
CH4+4S⟶CS2+2H2S
単体硫黄に水素を添加する熱反応、触媒反応の2段階反応プロセスによって高純度の硫化水素を製造する方法[1][2]
H2+S⟶H2S
がある。
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