レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

寒い国から来たマグロ

2014-09-21 05:00:00 | 日記
最近、新聞でマグロ漁についての記事をよく目にします。どうも秋がマグロ漁のシーズンであるためのようなのですが、加えてお寿司人気に付随してマグロという魚を獲ることが注目を浴びるものになっているようです。

こちらに長いこと在住している邦人の方々にとっては、以前からマグロ漁は関係のあるものでした。遠洋漁業でスペインから出発した日本のマグロ漁船が、大西洋を北上してアイスランドで補給をするからです。

この時、漁師の皆さんは病院とか歯医者に行く必要があることもあります。その際に通訳をしてあげたりするのが常だったのです。私も渡氷(アイスランドに来ること)して間もない頃、何度も病院への付き添いをしたことがあります。今も日本の漁船が来ているのかどうかはわかりませんが、私自身はここ数年は関係していません。

マグロ漁船はここからカナダへ向かい、確かメキシコ辺りまで南下していくと聞いた覚えがあります。「自宅にいるのは年に二ヶ月」「家を新築したけど、まだほとんど寝たことがない」などという話しを漁師の方から聞きました。私の常識からは信じられない世界。

ところが最近はアイスランドの漁師の皆さんの活躍がよく報じられます。今月の六日のモルグンブラーズ紙に、ちょっと面白い地図入りの記事が載り、マグロ漁の様子を伝えています。

それによると九月三日水曜日の夜にヨハンナ・ギースラドティール号という漁船が21匹のマグロを捕らえました。このヨハンナ号は(「ヨハンナ丸」というべきなのかしら?)延縄(はえなわ)漁でマグロを捕らえます。延縄漁というのは長―いワイアのような線に仕掛けがいっぱいついていて、それを海の中に放っておいてから引き上げて行く、という漁ですね。

ヨハンナ号は四本の延縄を使うらしいのですが、漁場がクジラ漁の場所と交錯して苦労したと書いてあります。で、明るいうちに延縄をしかけて海に沈める。夕方の六時くらいから引き上げ始めるのだそうですが、引き上げ終わるまでに八九時間かかるとのこと。




ヨハンナ号のマグロ漁の軌跡 ここの海から30時間で築地へ
Myndin er ur Morgunnbladid 6.sep.2014


今回の漁場はウェストマン諸島の南沖40マイル(約64キロ)だそうです。最後の一匹が船にあげられたのが水曜の夜22時10分。そこからヨハンナ号はウェストマン諸島の港へ直行します。待っていた別の船が21匹のマグロを受け継ぐと、一路国際空港のあるケフラヴィクへ。

木曜の午後には空港にマグロは着きました。そして木曜夕18時頃の飛行機で東京へ。今回はどうもチャーター便でお客さんを乗せてきた日本航空の帰りの便だったらしいです。

そして無事に築地着がおおよそ12時間後。Visirという漁の元締めのような会社の社長ピエトゥル・パウルソン氏の話しでは、これだけスムースにアイスランドで獲れたマグロが日本へ送られたのは「新記録」だそうです。

こうして築地に陸揚げされた「アイスランド産マグロ」は平均でキロ5.600クローネで取引されたと誇らしげに書いてあります。日本円だと5.000くらいですね。150キロあるとして75万円ですか?マグロにしては安いんではないかと思うのですが... 専門外です、スミマセン。

専門外といえば、大体アイスランドの漁業についてそのものが専門外です。で、こちらの漁業には「クヴォータ」という獲っていい量の割り当てがあります。先ほどのVisirのような元締めがクヴォータを持っています。

ここで余談です。クヴォータを持っている人、つまり有力な漁民のところにはお金が流れ込みます。家を買う時に普通の人はある額を現金や小切手で用意し、はるかに大きな割合をローンで賄うのが普通です。

でもクヴォータを持った人は「二千万?はい、これ」と言ってポケットから札束を出して払った、とか。真偽のほどは不明ですが、あちこちで聞きますので、それに近いものはあるようです。

もとに戻ってアイスランド人のマグロ漁自体のクヴォータは30トンだそうです。これはノルウェーなど周辺の国々との取り決めです。先ほどのVisirはこのうち25トンのクヴォータを持っているそうです。ヨハンナ号などがすぐれた延縄船であることが理由のようですが、配下には全部で七艘くらいの漁船があるようです。ヨハンナ号だけで今年は100匹を穫っていると書かれています。

全部を合わせて九月十日の時点で30トン中14トンを水揚げしているとのこと。まだ半分ですね。

割り当て30トンのうち、Visirが持っている25トン以外のあとの5トンは一本釣り用の割り当てだと新聞には書かれています。ほとんど何の成果もない、とも書いてあります。




ハルパへ送られたマグロ みんな嬉しそう
Myndin er ur Morgunnbladid 9.sep.2014


穫れたマグロが全部日本へ行くわけではありません。先日「ハルパ」という新名所のようになったコンサート会場にあるレストランで穫れたてマグロが解体されて食されたとか。

それでもワタシが目撃するマグロは、スーパーの「Sushiパック」の中にたまにお見かけする赤いものぐらいです。庶民の運命かなあ?美味しい部分はいったいどこのどいつのお腹に納まっているのでしょうか?

最後になりますが、火山情報です。ここ一週間は勢いが大分衰えてきています。しかしまだまだ終息にはほど遠いようです。二酸化硫黄(亜硫酸ガス)に対する注意報も繰り返し場所を変えて(風向きによって)出されています。昨日の土曜日からはレイキャビクまでガスがやって来ています。幸い濃度は低いですが。

これからアイスランドへ旅行を予定されている方は、英語情報で火山関係の状況を掴んでおかれることを強くお勧めします。

国営放送RUVの英語版火山情報



*都合によりしばらくの間、週に一回のブログ更新になります。m(_ _)m


応援します、若い力。Meet Iceland


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
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