さて、前々回、前回とご紹介してきました「アイスランドツアーの七戒」の最後、第一戒です。これはGuide to Icelandという観光業界が皆手をつないで作った情報団体が、アイスランドへ観光ツアーにやってくる皆さんに向けて、アイスランドを正しく鑑賞し、満喫してもらおうと喚起を促したものです。
今日、ご紹介用に残っているのは第一戒のみなのですが、それが多岐に渡っています。その第一戒はこれです。
「汝、アイスランドの自然を傷つけるなかれ」
「何だ、当たり前じゃないか」と思われる方が多いでしょうが、残念ながら人間というのは「自分の都合」によってはその当たり前度が小さくなったり、消えてしまったりするもののようです。
この第一戒、原文ではVandalism「破壊行為」というかなり強い言葉を使っています。そのはしりともいうべきVandalismは二年ほど前に起こりました。アイスランド北部のクレーターにCRATERと塗料で巨大な「タイトル」が書かれたり、洞窟の壁はCAVE、溶岩壁にはLAVA、苔の原野にはMOSSなどと次々と出現したのです。
これは後にドイツのユリウス•フォン•ビスマルクという芸術家が限りなく黒に近い容疑者として浮かび上がってきました。他の国でも同じような「作品」を残しているからです。
今年に入り、同じ芸術家のマルコ・エヴァリスティという人が、ストロックルという有名なゲイシルの兄弟分にあたる間欠泉にピンクの染料を投げ込み、ピンク色の間欠泉の噴水を演出しました。
染料そのものは植物性のもので、何の悪影響も与えず、今ではきれいになくなってしまっていますが、この芸術的演出はアイスランド人の目にはVandalismとしか映らなかったようです。私もそうですが。
芸術家の皆さんにはそれぞれのモチーフがあり、言い分があるのでしょうが、何の論議も許可もなしにやったら、やはりダメだよね、と言いたい。イスラム過激派が仏跡像を破壊したり、シリアの遺跡を破壊するのにも一応の言い分はあるのと同じで、言い分だけでは正当化され得ません。
その他の例でVandalismと糾弾されたのは、シンクヴェットリル国立公園内にキャンプした連中が、テントの隙間を埋めるために、貴重な苔を辺りからむしり取ってきて詰めた、という事件がありました。
これも相当のひんしゅくを買いましたし、ショックを受けたアイスランド人は多かったと思います。私もショックを受けました。苔はとても繊細で、かつ大切な自然です。愛でることはしても、むしり取るのはダメです。ちなみに「お土産用にちょっと」も犯罪行為ですので、観光に来られる方は気をつけてくださいね。
苔をむしり取られた後の無残な光景...
-Myndin er ur Facebook Thingvellir National Park-
その他、悪気はないのだろうな、と思われるけども、やはりしてはいけないのが、原野で適当に石を積み上げて石塚を作ることです。前からある石塚も多数あるのですが、これらは古から旅のルートなどを示すために残されてきたもの。意味なく石を積み上げて、土地が痛んだり、石塚ラッシュになった地域もあったようで、これは景観も損ないます。
もうひとつ楽しいからやるのだろうと思われるのが、オフロードでの車のめちゃくちゃな走行やスピン遊びです。「周りに誰もいないんだから」と思っているのでしょうが、やはり地面が破損され、砂地などもめちゃめちゃにされてしまいます。加えて原野や草地には、アイスランドに土着する「フルダフォルク」という妖精のような目に見えない人たちもいますから、危険です。
さらにもうひとつ、無邪気な行為なんだけども、と思わさせられるのが、温泉や滝のほとりにコインを投げ入れる行為です。トレビの泉の真似っこは相当しつこくはびこってきていますね。シンクヴェットリ国立公園内には、もうこれは公認されてしまいっているコイン投げ入れの「ほとり」があります。
水がとってもきれいなので、何メートルも下の底に並ぶコインが見られます。でも、そこだけにしてくれ、とGTIは呼びかけています。「コインを投げ入れると、思いがけない出費をせまられる運命に取り憑かれるぞ」とか、勝手に都市伝説を作って流布させれば止まるんじゃないかと思うのですが...ダメかな?(^-^;
というわけで、自然を破壊したり傷つける行為は、芸術的動機であっても、寒いからであっても、憂さ晴らしのためであっても、ロマンチックムードのためであっても、ダメです。
自然を壊してもいいのは、ダムやアルミ工場を作ってお金を儲ける時だけで、その際は政府公認で認められます。それ以外は、ダメ!
追記:
もとネタを提供してくれていたGuide to Icelandに、なんと日本の方が働いていることが発覚‼ もちろん知り合いなんですが、そこで就労されているとは存じませんでした。m(_ _)m
で、ご紹介した「七戒」の原文も日本語に訳されています。リンクをご紹介しますので、ぜひ私がいじくりまわす前のテキストも読んでみてください。英語が得意な方は原テキストもどうぞ!
アイスランド人も怒り心頭!観光客の迷惑行動7つ
7 things Icelanders hate about tourism in Iceland
応援します、若い力。Meet Iceland
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is
今日、ご紹介用に残っているのは第一戒のみなのですが、それが多岐に渡っています。その第一戒はこれです。
「汝、アイスランドの自然を傷つけるなかれ」
「何だ、当たり前じゃないか」と思われる方が多いでしょうが、残念ながら人間というのは「自分の都合」によってはその当たり前度が小さくなったり、消えてしまったりするもののようです。
この第一戒、原文ではVandalism「破壊行為」というかなり強い言葉を使っています。そのはしりともいうべきVandalismは二年ほど前に起こりました。アイスランド北部のクレーターにCRATERと塗料で巨大な「タイトル」が書かれたり、洞窟の壁はCAVE、溶岩壁にはLAVA、苔の原野にはMOSSなどと次々と出現したのです。
これは後にドイツのユリウス•フォン•ビスマルクという芸術家が限りなく黒に近い容疑者として浮かび上がってきました。他の国でも同じような「作品」を残しているからです。
今年に入り、同じ芸術家のマルコ・エヴァリスティという人が、ストロックルという有名なゲイシルの兄弟分にあたる間欠泉にピンクの染料を投げ込み、ピンク色の間欠泉の噴水を演出しました。
染料そのものは植物性のもので、何の悪影響も与えず、今ではきれいになくなってしまっていますが、この芸術的演出はアイスランド人の目にはVandalismとしか映らなかったようです。私もそうですが。
芸術家の皆さんにはそれぞれのモチーフがあり、言い分があるのでしょうが、何の論議も許可もなしにやったら、やはりダメだよね、と言いたい。イスラム過激派が仏跡像を破壊したり、シリアの遺跡を破壊するのにも一応の言い分はあるのと同じで、言い分だけでは正当化され得ません。
その他の例でVandalismと糾弾されたのは、シンクヴェットリル国立公園内にキャンプした連中が、テントの隙間を埋めるために、貴重な苔を辺りからむしり取ってきて詰めた、という事件がありました。
これも相当のひんしゅくを買いましたし、ショックを受けたアイスランド人は多かったと思います。私もショックを受けました。苔はとても繊細で、かつ大切な自然です。愛でることはしても、むしり取るのはダメです。ちなみに「お土産用にちょっと」も犯罪行為ですので、観光に来られる方は気をつけてくださいね。
苔をむしり取られた後の無残な光景...
-Myndin er ur Facebook Thingvellir National Park-
その他、悪気はないのだろうな、と思われるけども、やはりしてはいけないのが、原野で適当に石を積み上げて石塚を作ることです。前からある石塚も多数あるのですが、これらは古から旅のルートなどを示すために残されてきたもの。意味なく石を積み上げて、土地が痛んだり、石塚ラッシュになった地域もあったようで、これは景観も損ないます。
もうひとつ楽しいからやるのだろうと思われるのが、オフロードでの車のめちゃくちゃな走行やスピン遊びです。「周りに誰もいないんだから」と思っているのでしょうが、やはり地面が破損され、砂地などもめちゃめちゃにされてしまいます。加えて原野や草地には、アイスランドに土着する「フルダフォルク」という妖精のような目に見えない人たちもいますから、危険です。
さらにもうひとつ、無邪気な行為なんだけども、と思わさせられるのが、温泉や滝のほとりにコインを投げ入れる行為です。トレビの泉の真似っこは相当しつこくはびこってきていますね。シンクヴェットリ国立公園内には、もうこれは公認されてしまいっているコイン投げ入れの「ほとり」があります。
水がとってもきれいなので、何メートルも下の底に並ぶコインが見られます。でも、そこだけにしてくれ、とGTIは呼びかけています。「コインを投げ入れると、思いがけない出費をせまられる運命に取り憑かれるぞ」とか、勝手に都市伝説を作って流布させれば止まるんじゃないかと思うのですが...ダメかな?(^-^;
というわけで、自然を破壊したり傷つける行為は、芸術的動機であっても、寒いからであっても、憂さ晴らしのためであっても、ロマンチックムードのためであっても、ダメです。
自然を壊してもいいのは、ダムやアルミ工場を作ってお金を儲ける時だけで、その際は政府公認で認められます。それ以外は、ダメ!
追記:
もとネタを提供してくれていたGuide to Icelandに、なんと日本の方が働いていることが発覚‼ もちろん知り合いなんですが、そこで就労されているとは存じませんでした。m(_ _)m
で、ご紹介した「七戒」の原文も日本語に訳されています。リンクをご紹介しますので、ぜひ私がいじくりまわす前のテキストも読んでみてください。英語が得意な方は原テキストもどうぞ!
アイスランド人も怒り心頭!観光客の迷惑行動7つ
7 things Icelanders hate about tourism in Iceland
応援します、若い力。Meet Iceland
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is