さて二週間前に実施されたアイスランドの国会選挙の結果の続きです。今回の選挙結果(各党の議席数)を右から左への順で一覧にしてみたいと思います。というか、上から下へになりますが、上が右派、下が左派です。
進歩党(という名前の保守党) 8
独立党 21
ヴィスレイスン 7
明るい未来党 4
社民党 3
緑の党 10
ピラター(海賊党) 10
進歩党と独立党ですが、これらのどちらがより保守か?というのはそうはっきりとは決められず、問題によって保守の度合いは入れ替わると思ってください。
進歩党は従来から不思議な政党で、移民に対する嫌悪を示すようなうんざりさせるようなところがある一方で、同性結婚の法制化を図るなどびっくりするようないいこともまれにします。何が党の根底にあるのかまったくわからない。
ヴィスレイスンは前回書きましたように新党で、党名は「再建」を意味します。EU加盟に賛成なのでマスコミは中道扱いしていますが、私には保守の仲間と思えます。中核には元独立党の有力議員だった人たちが入っていますし、分野によっては最保守とさえなるのではないかと踏んでいます。
明るい未来党はまあ、言葉通りの意味で中道でしょう。ちなみに党首のオッター·プロッペさんは、本職はパンクロックミュージシャンです。移民難民に対して好意的な人で、よく相談に行ったりすることもあります。党が生き残ってくれてよかった。
社民党、緑の党はそのまんまです。私はもうアクティブではありませんが、いまだに緑の党に入っています。
ピラターは限りなく直接民主主義唱導者に近く、党首も置かず、かわりに「キャプテン」がいます。これまでは弱小政党で議員が三人だけでした。そのくらいですと、かなり過激なことを言っても、良い刺激になることが多かったのですが、十人の議員となるとそうはいかないでしょう。どう変身するか、見ものではあります。
さて選挙後にすぐ見て取れたことは、この議席の配分が見事に分かれたことです。もちろん、一党単独政権はあり得ません。連立になるのですが、過半数に達するには32議席が必要。上からみっつ(右からみっつ)を合わせると36議席で、十分です。しかし、ヴィスレイスンが「進歩党とは組まない」と早々と愛想尽かし宣言。
逆に左から(下から)中道までを全部合わせても、まだ27議席。ヴィスレイスンが必要になります。連立政権ではよくあることですが、要はどちらにも愛想よくできる党がキーパーソンになり得ます。
独立党のビャルトニ氏(左)と緑の党カトリーン氏
Myndin er ur Vísir.is
さて、こちらでは選挙で議席が確定したのを受けて、各党の代表が大統領を訪ね会談します。そしてその後に大統領がUmbod(言葉の意味は「委任」)という組閣のためのを委任をその中のひとりに委ねます。
まあ、形式的な儀式ですが、今回のように連立工作が困難になりそうな時には実際的な意味も現れてきます。選挙結果では独立党が、ひとつだけ20%を超える指示を得ましたので、まずは独立党の党首で、前政権で財務大臣を勤めたビャルトニ·ベネディクトスソン氏がこのumbodを委ねられました。
三年半前の進歩党(という名前の保守党)と独立党の連立の時も随分と日々を費やしのんびりしていましたが、今回ものんびりしています。
これを書いているのは11日の金曜日なのですが、すでに選挙から二週間にもなろうというのに、まだ何も形のあるものが見えてきていません。日本の感覚から言ったら、常識を超えているものがありますね。
前政権の連立の時ののんびりとは違って、今回は連立交渉がうまくいっていないのです。ニュースでは「もし、週末中に組閣が具体化しない場合には、umbodを返還する」旨のことをビャルトニ氏は述べていました。もしかしたら本当にそうなるかもしれません。
そうなると、組閣の中心は左の緑の党の党首カトリーン·ヤコブスドティールという女性になるはずです。カトリーンは可愛いし、頭もいいので人物的には何の問題もありませんが、やはり左からこぞって固めて行かないと、安定した政権を形成することはできません。
「誰がやっても難しい」状況が生まれてしまったので、誰が敢えて火中の栗を拾いに行くか興味のあるところです。
何れにしても、アメリカのあのBlack Wednesdayを体験した後では、それほどひどいことにはならないだろう、なんていう変な達観もあります。アイスランドもついこの間、大ズッコケをしたのですからね。忘れないでいてもらいたいと思います。
もう忘れちゃってる気がしなくもないな。それを考えるとやっぱり心配になるなあ...
スベらない政権を作って欲しいものです。
応援します、若い力。Meet Iceland
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is
進歩党(という名前の保守党) 8
独立党 21
ヴィスレイスン 7
明るい未来党 4
社民党 3
緑の党 10
ピラター(海賊党) 10
進歩党と独立党ですが、これらのどちらがより保守か?というのはそうはっきりとは決められず、問題によって保守の度合いは入れ替わると思ってください。
進歩党は従来から不思議な政党で、移民に対する嫌悪を示すようなうんざりさせるようなところがある一方で、同性結婚の法制化を図るなどびっくりするようないいこともまれにします。何が党の根底にあるのかまったくわからない。
ヴィスレイスンは前回書きましたように新党で、党名は「再建」を意味します。EU加盟に賛成なのでマスコミは中道扱いしていますが、私には保守の仲間と思えます。中核には元独立党の有力議員だった人たちが入っていますし、分野によっては最保守とさえなるのではないかと踏んでいます。
明るい未来党はまあ、言葉通りの意味で中道でしょう。ちなみに党首のオッター·プロッペさんは、本職はパンクロックミュージシャンです。移民難民に対して好意的な人で、よく相談に行ったりすることもあります。党が生き残ってくれてよかった。
社民党、緑の党はそのまんまです。私はもうアクティブではありませんが、いまだに緑の党に入っています。
ピラターは限りなく直接民主主義唱導者に近く、党首も置かず、かわりに「キャプテン」がいます。これまでは弱小政党で議員が三人だけでした。そのくらいですと、かなり過激なことを言っても、良い刺激になることが多かったのですが、十人の議員となるとそうはいかないでしょう。どう変身するか、見ものではあります。
さて選挙後にすぐ見て取れたことは、この議席の配分が見事に分かれたことです。もちろん、一党単独政権はあり得ません。連立になるのですが、過半数に達するには32議席が必要。上からみっつ(右からみっつ)を合わせると36議席で、十分です。しかし、ヴィスレイスンが「進歩党とは組まない」と早々と愛想尽かし宣言。
逆に左から(下から)中道までを全部合わせても、まだ27議席。ヴィスレイスンが必要になります。連立政権ではよくあることですが、要はどちらにも愛想よくできる党がキーパーソンになり得ます。
独立党のビャルトニ氏(左)と緑の党カトリーン氏
Myndin er ur Vísir.is
さて、こちらでは選挙で議席が確定したのを受けて、各党の代表が大統領を訪ね会談します。そしてその後に大統領がUmbod(言葉の意味は「委任」)という組閣のためのを委任をその中のひとりに委ねます。
まあ、形式的な儀式ですが、今回のように連立工作が困難になりそうな時には実際的な意味も現れてきます。選挙結果では独立党が、ひとつだけ20%を超える指示を得ましたので、まずは独立党の党首で、前政権で財務大臣を勤めたビャルトニ·ベネディクトスソン氏がこのumbodを委ねられました。
三年半前の進歩党(という名前の保守党)と独立党の連立の時も随分と日々を費やしのんびりしていましたが、今回ものんびりしています。
これを書いているのは11日の金曜日なのですが、すでに選挙から二週間にもなろうというのに、まだ何も形のあるものが見えてきていません。日本の感覚から言ったら、常識を超えているものがありますね。
前政権の連立の時ののんびりとは違って、今回は連立交渉がうまくいっていないのです。ニュースでは「もし、週末中に組閣が具体化しない場合には、umbodを返還する」旨のことをビャルトニ氏は述べていました。もしかしたら本当にそうなるかもしれません。
そうなると、組閣の中心は左の緑の党の党首カトリーン·ヤコブスドティールという女性になるはずです。カトリーンは可愛いし、頭もいいので人物的には何の問題もありませんが、やはり左からこぞって固めて行かないと、安定した政権を形成することはできません。
「誰がやっても難しい」状況が生まれてしまったので、誰が敢えて火中の栗を拾いに行くか興味のあるところです。
何れにしても、アメリカのあのBlack Wednesdayを体験した後では、それほどひどいことにはならないだろう、なんていう変な達観もあります。アイスランドもついこの間、大ズッコケをしたのですからね。忘れないでいてもらいたいと思います。
もう忘れちゃってる気がしなくもないな。それを考えるとやっぱり心配になるなあ...
スベらない政権を作って欲しいものです。
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