さて、10月末の選挙からずーーーーーーっと政権作りを続けてきたアイスランドの国会議員さんたちですが、年を越してようやく先の水曜日に新政権、そして新内閣が誕生しました。
独立党、ヴィスレイスン(「再生」「再建」の意味)、そして明るい未来党の三党の連立政権で、全議席63のうち32議席という、一議席差による多数派政権です。首相は前政権で財務大臣を務めていた独立党のビャルトニ·ベネディクトゥスソン氏。
大臣たちの顔ぶれを党別にみると、独立党が五人、ヴィスレイスンが三人、明るい未来党がふたりとなります。これまで大臣経験があるのは、独立党の中のふたりと、ヴィスレイスンの中のひとりだけです。
ということですが、それ以上に面白い話しもとりわけないので、これはこれでおしまい。ただ、新政権が誕生した、というニュースでした。
さて、クリスマスやお正月という「楽しく平和に過ごしたい」と多かたが願う時期でも、事故や悲しい出来事が起きてしまうのは認めざるを得ない現実です。大晦日明けのトルコの銃乱射テロなど、わざわざそのタイミングを狙ってなされる事件もあったりしてしまいます。
私が居候しているヒャットラ教会の主任牧師の人が、クリスマス中ミサ以外で忙しかったらしいので尋ねてみると(私はガッツリ休みました)、若い女性がひとり自殺、別の若者が急に病気で亡くなったとのこと。
牧師さんにとっても大変ですが、亡くなられた方々の家族にとってはさぞ重い出来事だったと想像します。
エメラルド·グリーンの燈台の灯り
で、自殺についてなのですが、昨年アイスランドでは44人の方々が自殺で自らの生を絶ってしまいました。これは12月21日の時点だったので、上記の方を含めると、少なくとも45人になってしまいますね。男性33人、女性12人だということです。
専門のサイトによると、毎年30人から50人の人が自殺をしてしまうとのこと。「自殺未遂」はなんと年間500〜600件あるのだそうです。
実を言うと、自殺および自殺未遂に関しては私も時折関係することがあります。私がするわけではないのですが、難民申請者の人が極端なウツ状態や捨て鉢な態度からから自殺を試みることはあります。未遂で倒れていた青年の第一発見者になったこともありました。幸い生命は取り止めましたし、今は申請が認められて普通の生活を始めています。
これまでアイスランドの社会は自殺に関して公に語ることを嫌がってきました。なんでもオープンに話す気風がありますし、性生活やセックスオリエンテーションなどこちらが決まり悪くなるくらい語られることがある社会なのですが、やはり顔を背けるトピックもあるのです。
それらの中で、精神病やウツ病に関しては、ここ数年で飛躍的にオープン度が増してきています。いまだにクローズドだったのが自殺と麻薬問題でした。
自殺や麻薬の過剰摂取で人が亡くなった場合、それらの死因が語られることはまずありませんでした。
自殺に関していえば、別に認識が甘かったわけではなく、赤十字などは「生命の電話」活動をずっとしてきましたし、他にも自殺防止のための団体も常にいくつかあったようです。
ただ社会全体に対して、家族を自殺でなくした方などがあけすけにその顛末を語るようなことは非常に稀なことだったと思います。
冬至の真夜中 前方のライトはヨーコ·オノさんのピース·タワー
ですが、ここにきて新たに「Pieta Island」(ピエタ·イスランドと読みます。アイランドではありません)という団体が設立されました。家族を自殺で亡くなった方々等が中心になっています。
この団体はアイルランドの Pieta Houseという自殺と戦う団体をモデルにしているとのことで、生命の電話や面談で自殺を考えてしまう人たちをサポートすることを目的としています。その点では従来の団体と同じです。
ですが、Pieta Islandが特に強く主張していることが「自殺についての議論をタブー視することをやめよう。もっと普通に話し合おう」ということです。実際に自殺で家族をなくした方や、自殺未遂の経験がある人がそのことを公に話すことは決して容易なことではないようです。
「家族を守れなかった」という思いからくる罪責感や、自殺未遂を「敗者の刻印」のように考えてしまう人もあるようです。ですが、一般の人たちがこの問題を認識し、考えるためにはそのような人たちから直接話しを聞くことが、とても重要なことだと思われます。
(と、言っているそばから、今横目で見ている国営テレビのニュースで、ウツ病から自殺願望が出てきてしまった若いお母さんが自分の体験を語っています)
雪を冠った大きな黒い岩とキャンドル、磯の香りと波の音 綺麗な夜でした
私がこの団体に関心があるのは、先ほど書きましたように仕事の上で自殺についてもう少しよく理解する必要を感じていたのと、団体のボードに知り合いの牧師さんや、難民の人たちとの祈りの会を手伝ってくれている人が入っているからです。
既に去年になってってしまいましたが、12月21日冬至の日の真夜中に、市中のある灯台のもとへ三百人ほどがトーチを掲げて出向き、キャンドルを灯し、亡くなった方々の名前を灯台の壁面に書き込むという催し/集まりがありました。(もちろん許可済み)
トーチやキャンドル、燈台の明かりは生命と希望を表すのだそうです。特に燈台の灯りはポジティブなGoを表す緑(写真ではエメラルド·グリーンに見えますが)にセットされていました。そして冬至のこの日から、一日一日とまた明るくなっていくわけです。
近しい人を亡くされたのでしょう、涙を流している人もかなりいました。それでも静かな綺麗な夜で、私はその集まりの「誠実さ」に心打たれるものがありました。
Pieta Islandの働きが実り豊かなものになり、自殺を考えている人々が別の生き方の希望を見出す助けとなることを願い祈ります。
応援します、若い力。Meet Iceland
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
Home Page: www.toma.is
独立党、ヴィスレイスン(「再生」「再建」の意味)、そして明るい未来党の三党の連立政権で、全議席63のうち32議席という、一議席差による多数派政権です。首相は前政権で財務大臣を務めていた独立党のビャルトニ·ベネディクトゥスソン氏。
大臣たちの顔ぶれを党別にみると、独立党が五人、ヴィスレイスンが三人、明るい未来党がふたりとなります。これまで大臣経験があるのは、独立党の中のふたりと、ヴィスレイスンの中のひとりだけです。
ということですが、それ以上に面白い話しもとりわけないので、これはこれでおしまい。ただ、新政権が誕生した、というニュースでした。
さて、クリスマスやお正月という「楽しく平和に過ごしたい」と多かたが願う時期でも、事故や悲しい出来事が起きてしまうのは認めざるを得ない現実です。大晦日明けのトルコの銃乱射テロなど、わざわざそのタイミングを狙ってなされる事件もあったりしてしまいます。
私が居候しているヒャットラ教会の主任牧師の人が、クリスマス中ミサ以外で忙しかったらしいので尋ねてみると(私はガッツリ休みました)、若い女性がひとり自殺、別の若者が急に病気で亡くなったとのこと。
牧師さんにとっても大変ですが、亡くなられた方々の家族にとってはさぞ重い出来事だったと想像します。
エメラルド·グリーンの燈台の灯り
で、自殺についてなのですが、昨年アイスランドでは44人の方々が自殺で自らの生を絶ってしまいました。これは12月21日の時点だったので、上記の方を含めると、少なくとも45人になってしまいますね。男性33人、女性12人だということです。
専門のサイトによると、毎年30人から50人の人が自殺をしてしまうとのこと。「自殺未遂」はなんと年間500〜600件あるのだそうです。
実を言うと、自殺および自殺未遂に関しては私も時折関係することがあります。私がするわけではないのですが、難民申請者の人が極端なウツ状態や捨て鉢な態度からから自殺を試みることはあります。未遂で倒れていた青年の第一発見者になったこともありました。幸い生命は取り止めましたし、今は申請が認められて普通の生活を始めています。
これまでアイスランドの社会は自殺に関して公に語ることを嫌がってきました。なんでもオープンに話す気風がありますし、性生活やセックスオリエンテーションなどこちらが決まり悪くなるくらい語られることがある社会なのですが、やはり顔を背けるトピックもあるのです。
それらの中で、精神病やウツ病に関しては、ここ数年で飛躍的にオープン度が増してきています。いまだにクローズドだったのが自殺と麻薬問題でした。
自殺や麻薬の過剰摂取で人が亡くなった場合、それらの死因が語られることはまずありませんでした。
自殺に関していえば、別に認識が甘かったわけではなく、赤十字などは「生命の電話」活動をずっとしてきましたし、他にも自殺防止のための団体も常にいくつかあったようです。
ただ社会全体に対して、家族を自殺でなくした方などがあけすけにその顛末を語るようなことは非常に稀なことだったと思います。
冬至の真夜中 前方のライトはヨーコ·オノさんのピース·タワー
ですが、ここにきて新たに「Pieta Island」(ピエタ·イスランドと読みます。アイランドではありません)という団体が設立されました。家族を自殺で亡くなった方々等が中心になっています。
この団体はアイルランドの Pieta Houseという自殺と戦う団体をモデルにしているとのことで、生命の電話や面談で自殺を考えてしまう人たちをサポートすることを目的としています。その点では従来の団体と同じです。
ですが、Pieta Islandが特に強く主張していることが「自殺についての議論をタブー視することをやめよう。もっと普通に話し合おう」ということです。実際に自殺で家族をなくした方や、自殺未遂の経験がある人がそのことを公に話すことは決して容易なことではないようです。
「家族を守れなかった」という思いからくる罪責感や、自殺未遂を「敗者の刻印」のように考えてしまう人もあるようです。ですが、一般の人たちがこの問題を認識し、考えるためにはそのような人たちから直接話しを聞くことが、とても重要なことだと思われます。
(と、言っているそばから、今横目で見ている国営テレビのニュースで、ウツ病から自殺願望が出てきてしまった若いお母さんが自分の体験を語っています)
雪を冠った大きな黒い岩とキャンドル、磯の香りと波の音 綺麗な夜でした
私がこの団体に関心があるのは、先ほど書きましたように仕事の上で自殺についてもう少しよく理解する必要を感じていたのと、団体のボードに知り合いの牧師さんや、難民の人たちとの祈りの会を手伝ってくれている人が入っているからです。
既に去年になってってしまいましたが、12月21日冬至の日の真夜中に、市中のある灯台のもとへ三百人ほどがトーチを掲げて出向き、キャンドルを灯し、亡くなった方々の名前を灯台の壁面に書き込むという催し/集まりがありました。(もちろん許可済み)
トーチやキャンドル、燈台の明かりは生命と希望を表すのだそうです。特に燈台の灯りはポジティブなGoを表す緑(写真ではエメラルド·グリーンに見えますが)にセットされていました。そして冬至のこの日から、一日一日とまた明るくなっていくわけです。
近しい人を亡くされたのでしょう、涙を流している人もかなりいました。それでも静かな綺麗な夜で、私はその集まりの「誠実さ」に心打たれるものがありました。
Pieta Islandの働きが実り豊かなものになり、自殺を考えている人々が別の生き方の希望を見出す助けとなることを願い祈ります。
応援します、若い力。Meet Iceland
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
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