レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

「危ない国」アイスランド 昨今の様子

2020-03-22 00:00:00 | 日記
三月に入り、もう春分の日を迎えましたね。春分の日は、イランやアフガニスタン、それとその周辺のペルシャ語を話す文化圏では新年になるそうで、イランでは一週間だか二週間だかのお祭りシーズンなのだそうです。

私は仕事の関係で周囲にペルシャ語を話す人が多いのですが、アイスランドに在住しているイラン人やアフガン人もこの日にノズルート・モバラクとかサレーノー・モバラクとか(どちらも「新年おめでとう」)と挨拶を交わしています。カナ表記は私の耳による表記ですのでそのつもりで。(*^^*)

一昨年あたりから、このペルシャ語を話す人々が新年祝いのイベントを持つようになっていました。アイスランドに限って言いますと、ペルシャ語を話す人たちの中には、イラン人のコミュニティとアフガン人のコミュニティがあります。

教会の私がお世話をしている集会にもイラン人とアフガン人の双方がやってきます。普段は別に問題なく仲良く過ごしていますが、新年の祝い方とかでは、やはりそれぞれの流儀というものがあり、「さあ、みなさんご一緒に!」とはすんなり治らない部分もあるようなのです。




サレーノー・モバラク!


一昨年あたりからのイベントの主体はアフガン流でしたので、今年はイラン人の人たちが自分たちもイラン流のお祝いをしよう、と企画していました。中心になっている人たちが教会のメンバーなので、私もちょっとお手伝いをしながら準備していたのです。

ところがです。

C19の騒ぎのおかげで、アイスランドでは一週間前より「集会禁止令」が発動。このアフガン、イラン流の新年会もお流れになってしまいました。残念。

このC19を巡る状況は、日毎にかなりのテンポで変化、というか、ここまでのところエスカレートしており、ついていくのが大変なところがあります。

十日くらい前に、トランプ大統領が抜き打ち的にヨーロッパからの「鎖国」宣言をした時にはフザケンナ〜!的な反応が大でした。ところがそれから一週間で、デンマーク、ノルウェー、イタリア、さらにはEU全体が同様の「鎖国」宣言。

今(20日)現在では、スペインで集会禁止の上をいく「外出禁止令」が出ていますし、アメリカのカリフォルニア州でも同様の命令が出されたようです。

(その後さらにNY州、イリノイ州でも同様。イリノイ州知事の会見をニュースで見ましたが、「外出禁止」というよりは「強い自宅待機要請」みたいですね。食品の買い出しやその他生活に必要なことのための外出は可。気分転換や犬の散歩もOK。ガソリンスタンド、テイクアウトのレストラン、警察、病院等で働く人は例外だそうです)

アイスランドでは、「まだ『外出禁止令』は予定に入っていない」と関係者のトップは語っていますが、これまでの事態の進展のテンポを考えると、今週中に「外出禁止」が実施されてもおかしくはない気がします。

今のアイスランドの様子ですが、C19の感染が確認された人の数は330人。程度の差はあっても「隔離」の状態にある人が4000人弱あります。入院している人は意外に少なくて3人。亡くなった方はひとりだけで、この方はオーストラリアからの観光客の方でした。

絶対数はそれほどでもないのですが、やはり元々の人口が少ない国ですから、感染度というか感染可能性度はそれなりに高くなります。

それ故でしょうが、アイスランドは日本から「4段階で上から二番目の危険度3」の国と認定?されてしまいました。「危ない国」になったわけです。私たち在留邦人は以下のような通知を大使館からいただきました。

「1.当地在住アイスランド人または当地滞在中の外国人

アイスランド全域が,入管法に基づき入国拒否を行う対象地域として指定されました。これにより,14日以内にこれらの地域に滞在歴のある外国人は,特段の事情(※)がない限り,入国拒否対象となります(※ 外交・公用査証の保有者,緊急・人道案件)。

2.当地在住または滞在中の日本人
14日以内にアイスランドに滞在歴のある日本人に対し,入国時に検疫所長の指定する場所で14日間待機し,国内において公共共通機関を使用しないことが要請されます。」

こちらに住んでいる日本人は、まあこの時期に帰国の準備をしていなければ実害はないでしょう。ですが観光や商用でこちらに立ち寄られた人は災難ですよね。でも「さらなる災難」を防ぐためですから仕方ないでしょうが。

ちなみに同様の措置がアイスランドに帰国するアイスランド人にも適用されます。記憶に間違いがなければ「どこから」は問題ではなく、「帰国者全員」だと思います。 実際、北米かヨーロッパからしかないですからね、帰国路は。




「ヨーロッパ人以外はアイスランド入国禁止」を伝えるFrettablaid紙のネット版(20032020)
Myndin er ur Frettabladid.is


金曜日の新聞によりますと、その時点で6200人くらいのアイスランド人が世界のどこかで帰国するための飛行機を待っているそうです。フライトが次々とキャンセルされているので、席を得るために外務省が「帰国申し込みサイト」を用意したそうです。

そういうような「チョー非日常」的な日常生活になってしまっているのが今現在のアイスランドなわけですが、非常に不思議な感じがします。なんというか、ワクワク感のないクリスマス当日みたいな。

なぜかというと、町が静かなのです。外国人観光客がいない。通りの交通量も少ない。ホテルは軒並み休業していますし、タクシーもお客さんがいないので列を作って待ち状態。

直接の観光客相手ではないビジネスや店舗も、営業時間を短くする方向に向かっているようです。アイスランド人でも、数はわかりませんが、周囲を見渡した範囲では多くの人が外出を恐れて自宅待機しています。




個人的にお祈りくる人たちのためには開いている教会


私自身は毎日教会のオフィスに来ています。教会の日常の集会はすべてサスペンドされています。それでも「こういうような非常時にこそ教会は開いていなくては」とか大義を掲げて、教会を開けておく方針を決めたからです。が、大声でそういうことを言っていた人たちは、皆、自宅組のようです。

こういう時でも冬服のない外国人や、食べものがなくて困っている外国人はいますので、確かに教会は開いていた方がいいのは確かです。

ただ、困っている人が来ても、赤十字とか本来その人たちを援助するはずの機関自体がクローズドになってしまっていることがあります。そうなると、教会自体には古着や食物のストックはありませんので、こちらも困ってしまいます。負の連鎖か?

別に誰も意地悪をしているわけではなく、「人と人との接触をなるべく少なく」せざるを得ない状況にあるわけですから、これも仕方ないといえば仕方ないことでしょう。

「集会禁止令」のかたわらで、「人と会う時は、互いの間に2メートルの距離を保つように」という「2メートルルール」も実施されています。

スーパーとかへ行っても、皆、おとなしくこのルールに従っています。ちょっと意外だったのですが、皆さん、とても良い子なのです。まあ、実際には1メートル半くらいになっているでしょうが、それでもきちんとやっています。

始め聞いた時は「なんと面倒くさいルール」と思ったのですが、実際やってみると自然にできるようです。例外は「握手」で、これは条件反射的に手が出てしまうので、握手を避けるのにはかなり苦労しました。

握手さえ控えることに慣れれば、あとはたいしたことない。そう思って気がつきました。

ふ、ふだんから、誰かが2メートル以内、1メートルとかに接近してくることなんて、ほとんどない日常生活ではないか… ?? 別にC19 の騒ぎがなかったとしても。握手以外に他の人の肌に触れることなど「ないー!!」

C19、アイスランド社会を、そして世界をとてつもない闇の中へ連れ込んでいるだけではなく、ワタシのチョー個人的な「闇」をも引っ張り出したのでした... この「闇」... ウイルスとは別の次元でコワッ!!


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

Home Page: www.toma.is

コメント (2)
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