レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

We need you - あなた方が必要だ

2020-03-29 00:00:00 | 日記
始めにちっちゃなお知らせです。今回からブログの文字の色をグレーから藍色に変えました。以前、ある方から言われたことがあるのですが「グレーは背景色の白に溶け込んでしまって読みづらい」とのこと。

書いている本人の私は卓上マックを使っていますので、「気のせいだろう」とたかをくくっていました。ですが、先日スマフォで読んだ際に「おお、確かに見にくい」ということになり藍色にチェンジとなりました。黒の方が素直なんでしょうが、まずは藍色。

さて、前回のブログを読み直してみて、たった一週間のうちに全世界がこうも変わってしまったか、という感じがします。「外出禁止令」は「あそこでもここでも」になっていますし、東京オリンピックは遠のいてしまうし。

アイスランド社会を見てみても、もうCxxxx19しかニュースはない、というのが実際です。ウイルスを伏せ字にしたのは、単に感情的で無駄な抵抗のためです。すみません。




自宅待機の人々へのライブ演奏も2メートルの距離を保ちつつ
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本来なら -というか暦に変化はないのですが- あと二週間で復活祭(パウスカ)という時期です。そう気がついてびっくりします。いつの間にか、頭の中からパウスカさえ消えてしまっていたのです。

この時期は、教会の暦では「受難節」と呼ばれる期間で、慎んでキリストの十字架への道を偲ぶ時です。

ですから、あんまり飛んだり跳ねたりというはしゃぐ時期ではなく、どちらかというと暗く沈痛な期間ではあるのですが -少なくとも教会の側としては- 今年は敢えて勧めなくとも、みんなすでに沈痛な気分になってしまっています。

受難節の沈痛さと違うところは、受難節の場合は4月12日の復活祭でおしまい!とゴールがはっきりとしているのですが、このC19のヤツらの方は、いったいいつまで居座るのかわからないことです。

スーパーへ行けば、パウスカ用のチョコレートのタマゴが並んでいます。ですからいやでもパウスカのことを思い起こさせるはずなのです。しかし「集会禁止令」が先週からグレードアップして、スーパー等でも一時(いっとき)にお客さんが入れるのは二十人まで、とされました。

加えてもともと「外出はなるべく控えるように」とお触れが出ていますので、お店へ出向く人はめっきり減少しました。ホームデリバリーの方はチョー大忙しです。そういえばAmazonも大幅に人を雇った、とかラジオで言っていましたね。

そういうわけで、お店へ行く人は激減、行く人でもその回数は激減しています。で、パウスカのチョコレート・タマゴも目に入る機会が少ない。よってパウスカも意識から遠のいていく。という見事な理屈なのでした。

今書きましたように、先週の火曜日から「集会禁止令」が強化されたのですが、同時に「他者と非常に接近するサービス業」も営業を禁止されました。例えば床屋さんや美容院、あるいはマッサージ、いやエステか?等々のお仕事です。

私は十日くらい前に散髪に行きました。もう二十年も通っている「床屋さん」です。あの白、赤、青のポールがくるくる回っているようなところで、ヘアサロンではありません。

「こういう仕事の人は感染が怖くないのかなあ」とその時内心思っていました。でも、マスター(二代目。お父さんである初代は十年くらい前に引退していたのですが、その時たまたま店に寄ってくれ久々に顔を見ました)は、硬派っぽいしそんなこと気にしないのだろうな。

「理髪店等の営業禁止」のニュースの際に、その床屋さんがテレビのニュースに出ました。感想を聞かれて「いやあ、ここしばらく自主休業することを考えていたんだ。俺も六十三歳だし、敢えて危ない橋は渡りたくないし」

なんだ、やっぱり怖かったんだ。

この「他者と非常に接近するサービス業」の営業禁止令ですが、もちろん例外はあります。歯医者さんを含む、医療関係者。当然といえば当然でしょうが、でも歯医者さんだって怖いだろうと思いますよ。

ちなみの私の歯医者さんは、若くてきれいで素敵な女性です。彼女には絶対に感染してもらいたくないな。いや、別に他の歯医者なら感染して構わない、とかいう意味ではないですよ。「一般論プラス個人的感情」ということです。




大きなスーパーでは入り口に客数確認のためのスタッフを配置
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この「他者と非常に接近するサービス業」に加えて、映画館や一部の飲食や娯楽関係のお店も営業禁止となりました。

もちろん営業を休止する側にとっては死活問題です。収入源がなくなるのですから。政府としては、資金繰りを容易くするための税金の控除や、ローンを供給する政策を既に決めています。

また、予想される大量の失業者に関しても給与の75%を政府が補償することをすでに国会で可決しています。ワタシはこういう問題はチョー苦手なのですが、とんでもない額の支出になるのは間違いありません。

先日のモルグンブラウズィズ紙の記事でも「アイスランド国民の多くが、病気そのものよりも、経済の落ち込みの方を心配している」と報じていました。本人か家族が感染しない限りは、そうでしょうね、確かに。私もその組です。

私自身は教会のスタッフですので、日々の売り上げに生活を賭けているビジネスと違いますので、そういう意味でも不安はずっと軽いものです。幸いなことに。営業そのものがクローズドになることはありませんが、代わりに働き方を変えなくてはならなくなっています。

なにしろ、「集まるのはダメ」「2メートル以内に接近することもダメ」なので、伝統的に教会の活動の中心であったメサ(礼拝)や祈りの会、カウンセリングらがそのままの仕方では「不可」になってしまったのですから。

私の仕事に限って言いますと、難民関係の仕事がようやく「教会として本腰を入れる」ところまで来ていたので、この頓挫はやはりショックです。「なんでこのタイミングでこうなるかねー?」という思いから抜けられず、気力が失せてしまいました。




会見するプリツキー・イリノイ州知事
Myndin er ur NBC News


ですが、この間イリノイ州のプリツキー知事が「外出禁止令」発令の際の記者会見で、自宅外での勤務を許される例外職を紹介していた際に「それから、医療関係の従事者の人たち。あなた方は職場へ行ってください。あなた方が必要だ」と言っているのを見て気がつきました。 まあ、正確には「(これこれの人たちは)自宅に留まっていられない」という表現でしたが。

そうなんです。国の、世界の窮地にあって、凹んでいる場合ではないのです、教会関係者も。「あなた方が必要だ」と世間から乞われるようでないと。

ただ誤解を招かないように断っておきますが、職場へ行くのが良い、ということではありませんよ。自宅待機要請は、きちんとした理由があってなされているのですから、なるべく自宅にいるべきなのです。問題はそれでもなおかつ、何がしかの貢献をする方法があるだろう、ということです。

「あなたがたは世の光である」とキリストは言われます。(マタイ福音書5:14) 年中教会学校とかでこの言葉を子供たちに教えているのに、嵐の中で真っ先に暗くなっていたのでは「口先だけ」の見本なのでした。

そういえば「悲しい現実をなげくより 今何ができるかを考えよう  今日が変わる」と坂井泉さんも歌っていたではないか。フーッ!

たまにはこういうリンクも。 懐かしのチョー素敵さん、Zard




Zard 坂井泉さん
Myndin er ur Wikipedia.com



というわけで、一週間ほど「沈没」しましたが、今、再浮上中です。ワタシのような単細胞は、切り替えが早いのです。

でも日本の皆さん、このC19、大流行する前に塞ぎ込まないと後で大変ですよ。気をつけて!!


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

Home Page: www.toma.is
コメント (2)
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