レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

アイスランド、新政権誕生します

2024-12-21 19:21:15 | 日記
こんにちは/こんばんは。

あっという間にクリスマス目前の頃になっています。「十二月はマメにブログを更新しよう」と思っていたのですが、月前半の体調不良等がありまた元の木阿弥となってしまいました。




ちょっとクリスマス前気分の一枚
Myndin er eftir Astra_Liu@unsplash_com


さて、十一月の末日にアイスランド国会Althingi(アルシンキ)の議員の選挙があったことはお伝えしました。その後政権交代は確定したもの、新たな政権の組閣等の討議がのんびりと続けられたまま、組閣の青写真の未発表が続いていました。

こちらでは、組閣とかはあまり急いでしないのが普通で、平気で一ヶ月くらいはかかります。特に単独ではない連立政権となる場合には、事前にstjornarsattmaliストョウルンナアサウットマウリという政権合意書をかなり念入りに作成し発表します。

単なる形式ではなく、それなりの拘束力を持つ合意なので、作成には十分な時間を費やすことになるわけです。新政権が発足するまでの期間は、これまでの政権が職務を代行します。当然のことながら「代行」の範囲内での職務ということになります。

で、ようやく新政権の合意がなったようで、実は今日(12月21日土曜日)の夕方から新政権がアイスランドの舵取りに就くこととなりました。今は午前8時半くらいですが、記者会見が午後1時に予定されています。

ざっと選挙の結果をご紹介しておきます。

獲得議席数、及び得票率順に:
サムフィルキング(社会民主連合) 15(+9) 20,8%
独立党 14(–2) 19,4%
ヴィズレイセン(再生党) 11(+6) 15,8%
人々の党 10(+4) 13,8%
中道党 8(+5) 12,1%
進歩党 5(–8) 7,8%
社会主義党 0 (±0) 4,0%
ピラター(海賊党) 0(–6) 3,0%
緑の党 0(–8) 2,3%
民主主義党 0(前歴なし) 1,0%




選挙結果一覧
Myndin er ur RUV.is


これまで七年間政権を担当してきたのは、独立党、進歩党(という名前の保守党)そして緑の党の三党。いずれも議席、得票率ともマイナスとなりました。特に私がいまだに形式的には属している緑の党は大惨敗。国会から姿を消しました。

七年間の政権のあり方への国民の厳しい裁きが下ったということになりましよう。Covid、火山の噴火、ウクライナの問題等、難しい状況ではあったと思うのですが、国民はこれまでの政権に「疲れた」のだと思います。

ついでですが、ピラターも国会から姿を消しました。ピラターは「海賊」を意味しますが、その名称から想像されるように、なんというか伝統的民主主義の「はねっかえり」的な性格を持つウルトララジカルな党でした。

当然、国民教会とかにもネガティブな考えを持っていたので、私は支持はしませんでしたが、逆に難民問題とかでは歯切れ良く政権の後ろ向きな政策を批判してくれましたので、実は結構付き合いのある党でした。

ピラターが消えてしまったのは、想定外でしたしちょっと痛いですね、ワタシ的には。

あと、選挙前のリサーチでは「今回は行くだろう」と思われていた社会主義党(正確には『社会主義者党』か)が、やはり議席を持てなかったことも意外。こちらでは「5%条項」というものがあり、5%に満たない得票率の党(比例代表リスト)は、議席を持てない仕組みです。

総じていうならば、今回の選挙結果では、第一にこれまでの政権/党に対する厳しい判断がなされ、かつ左派陣営に対しての冷たい判断というか、おそらくは全体としての右傾化がなされた、ということでしょうか。




新政権の要となる女性三人 左からインガ、クリストルン、ソルゲルズル各氏
Myndin er ur Visir.is/Vilhelm


このような右傾化は、必ずしも軍国主義化と結びつくものではありません。ただ、反移民・反難民、移民を除いた「自国民」ファースト、というような西ヨーロッパ全体で共通するトレンドに結び付いています。

ということは、私のような者(アジア系移民で、移民や難民のための仕事をしている)にとってはちっとも歓迎できるものではありません。お寒い時代の到来です。

サムフィルキングが社会民主連合ですので、まあ左派に勘定できないこともないのですが、私はサムフィルキングを左派とはみなしません。中道でしょうね、良く言って。悪く言えば「理念を失くした左派集団」つまり将来、どうにでもなり得る。私は期待しません。

それで、今日明らかになるはずの新政権ですが、これはサムフィルキング、ヴィズレイセン、人々の党の三党連立となります。今のところはっきりしているのは、サムフィルキングのクリストロン・フロスタドティール党首が新首相となることだけ。

クリストロンさんは女性で、もともと銀行かなんかの経済アナリストかなんかをしていて、政治の世界に入ったのはわずか二年くらい前のことです。いきなりサムフィルキングの党首に選ばれたのですが、国会に議席を持つのは実は今回が初めて。

まったく政治歴がない人がいきなり国政のトップに立つことになるのですが、八年前のトランプと同じようなケースですね。あそこまで悪くならないように望みますが、たいして期待もしていません。

まあ、ワタシは銀行屋を諸悪の根源とみなしていますので、かなりの偏見を持っていることは認めますが...




口直し用ピック お気に入りの「青い樹」
Pic by me


それでも他の当選組のメンツを見ると、サムフィルキングには良い人材がいるということも言えます。Covid期に国民的ヒーローとなって活躍した、医師のアルマ・ムラーさんや、警察官のヴィージル・レイニスソンさんらが新人議員となっています。

ヴィズレイセンはもともと独立党と根っこが同じ保守勢力で、EU加盟を積極的に推す立場から独立した党となったように記憶しています。他にももっとあったのかもしれませんが、私の知識外。

ヴィズレイセンには、何も新しいものはないように私には思えます。ちなみに党首のソルゲルズル・カトリーン・Gさんは以前独立党の議員で、教育大臣か何かを務めていました。

人々の党の党首のインガ・サイランドさんも女性。この党は良くわかりません。社会の低下層にある人々の不平不満を汲み取っていることは評価できるのですが、そのような不平を作っている諸問題の原因を移民・難民に帰するようなところがありますので、私は信用していません。

というわけで、今日の夕方から、アイスランドでは大統領は女性。首相も女性。
ついでに教会のビショップも女性、という女権国家に戻ります。ワタシ、実体験から、女性の力を賞賛している立場なのですが、今回はあまり期待できないなあ... このメンツでは...

私の単なる偏見であることを願います。


*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com

Church home page: Breidholtskirkja/ International Congregation
Facebook: Toma Toshiki
コメント (2)
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