私がオフィスを置いているレイキャビクの教会では、...っていう前に一度きちんと記した方がいいかもしれませんね。私はアイスランド福音ルーテル教会というキリスト教会の牧師で、その中のネス教会というところに現在は巣食っています。
で、そのネス教会では復活祭(パウスカー)前のこの時期の毎週金曜日に、サルトフィスクルという塩漬けの魚の料理を提供してくれます。教会にカフェテリアが付いていて,普段の昼食はスープにパンなのですが、この時期には金曜日に限って塩漬け魚料理が出るのです。
先週の金曜日も15人くらいの外部の人が、それを食べる目的でいらしていました。この塩漬けの魚を主体としたレシピを全部まとめて「サルト(塩)フィスクル(魚)」と呼んでいます。ですから、いろいろな料理の仕方があります。
基本的には煮て食すか、オーブンで焼いて食すかの二通りのようですが。
なぜこの時期にサルトフィスクルを食べるのかというと、この復活祭前のファスタという約一月半は肉を断つ、という風習があり、これはカトリック圏では特に強い伝統のようです。(アイスランドの教会も16世紀後半まではカトリックでしたが、それ以降はルター派という新教の教会になりました)
そういう中で、何世紀も前に誰かが塩漬けの魚料理は肉料理の替わりに食べるには十分においしい、ということを発見したようです。ものの本によりますとイタリアではある時期、塩漬け魚の値は牛肉に匹敵したそうです。
ここアイスランドでは絶肉の習慣も強くは残っていないのですが、この機会を利用してサルトフィスクルとそのアイスランドでの地位?を見直そう、というのがネス教会の主旨のようです。
さて、サルトフィスクルの主流はなんといってもタラです。昔はオヒョウもかなりあったらしいのですが、それでもタラが主役。そしてタラは北の海の産物で、南の海では取れないらしいのです。
と、いうわけでアイスランドでは17世紀の頃より、せっせ、せっせとタラの塩漬けを作り、ヨーロッパへ輸出してきたのです。これは1930~40年頃にピークに達しましたが、戦後は冷蔵、冷凍技術の発達、あるいは運輸時間の短縮などのために保存食としての必要性が薄れ、衰退してしまいました。
ここで面白いのは、アイスランド人自身はごく最近になるまで、そんなにサルトフィククルを食べることはなかったらしい点です。作り過ぎてウンザリだったのでしょうか?
最近、逆輸入レシピで人気上昇中のサルトフィスクル
Myndin er úr Gunnar.is
以前「秘密のケンミンSHOW」で長野の人が大好きな「イカ刺し」という名称を持つ塩漬けイカを紹介していました。海のない長野では貴重な海の幸ということなのですが、これを製造しているのは確か富山県。で、富山産の「実は塩漬けイカのイカ刺し」は100%長野へ出荷されているということでした。
私は長いこと、サルトフィスクルはアイスランドの伝統保存料理なのだろうと思っていたのですが、それはもっぱら売るためのものであり、食べるためではなかったという訳です。
それを最近では食べるようになってきているらしく、これも流行?の逆輸入のようです。ただ、これまでも全く食べなかったわけではないらしいのですが、伝統的レシピは「煮て、これも煮たジャガイモと一緒にバターで食べる」という超シンプル。それはそれで美味しそうでもあります。(刺身類だってレシピとしては限りなく単純ですものね)
ノーベル文学賞を受けた作家ラクスネスの小説「サルカ・ヴァスカ」で主人公のサルカ(女性)に「たとえ全てが落ち着くところに落ち着いても、生活の中では塩漬けタラが一番(大切)なのであって、夢見事ではない」とう台詞があります。
サルカは漁の町の女性で、この言葉の裏には貧しい時代のアイスランドで、漁業に関わる人たちがそれこそ仕事漬けで暮らしていたという背景があるのだということです。
「人生は塩漬けのタラだ」かなりしょっぱいですね。
で、そのネス教会では復活祭(パウスカー)前のこの時期の毎週金曜日に、サルトフィスクルという塩漬けの魚の料理を提供してくれます。教会にカフェテリアが付いていて,普段の昼食はスープにパンなのですが、この時期には金曜日に限って塩漬け魚料理が出るのです。
先週の金曜日も15人くらいの外部の人が、それを食べる目的でいらしていました。この塩漬けの魚を主体としたレシピを全部まとめて「サルト(塩)フィスクル(魚)」と呼んでいます。ですから、いろいろな料理の仕方があります。
基本的には煮て食すか、オーブンで焼いて食すかの二通りのようですが。
なぜこの時期にサルトフィスクルを食べるのかというと、この復活祭前のファスタという約一月半は肉を断つ、という風習があり、これはカトリック圏では特に強い伝統のようです。(アイスランドの教会も16世紀後半まではカトリックでしたが、それ以降はルター派という新教の教会になりました)
そういう中で、何世紀も前に誰かが塩漬けの魚料理は肉料理の替わりに食べるには十分においしい、ということを発見したようです。ものの本によりますとイタリアではある時期、塩漬け魚の値は牛肉に匹敵したそうです。
ここアイスランドでは絶肉の習慣も強くは残っていないのですが、この機会を利用してサルトフィスクルとそのアイスランドでの地位?を見直そう、というのがネス教会の主旨のようです。
さて、サルトフィスクルの主流はなんといってもタラです。昔はオヒョウもかなりあったらしいのですが、それでもタラが主役。そしてタラは北の海の産物で、南の海では取れないらしいのです。
と、いうわけでアイスランドでは17世紀の頃より、せっせ、せっせとタラの塩漬けを作り、ヨーロッパへ輸出してきたのです。これは1930~40年頃にピークに達しましたが、戦後は冷蔵、冷凍技術の発達、あるいは運輸時間の短縮などのために保存食としての必要性が薄れ、衰退してしまいました。
ここで面白いのは、アイスランド人自身はごく最近になるまで、そんなにサルトフィククルを食べることはなかったらしい点です。作り過ぎてウンザリだったのでしょうか?
最近、逆輸入レシピで人気上昇中のサルトフィスクル
Myndin er úr Gunnar.is
以前「秘密のケンミンSHOW」で長野の人が大好きな「イカ刺し」という名称を持つ塩漬けイカを紹介していました。海のない長野では貴重な海の幸ということなのですが、これを製造しているのは確か富山県。で、富山産の「実は塩漬けイカのイカ刺し」は100%長野へ出荷されているということでした。
私は長いこと、サルトフィスクルはアイスランドの伝統保存料理なのだろうと思っていたのですが、それはもっぱら売るためのものであり、食べるためではなかったという訳です。
それを最近では食べるようになってきているらしく、これも流行?の逆輸入のようです。ただ、これまでも全く食べなかったわけではないらしいのですが、伝統的レシピは「煮て、これも煮たジャガイモと一緒にバターで食べる」という超シンプル。それはそれで美味しそうでもあります。(刺身類だってレシピとしては限りなく単純ですものね)
ノーベル文学賞を受けた作家ラクスネスの小説「サルカ・ヴァスカ」で主人公のサルカ(女性)に「たとえ全てが落ち着くところに落ち着いても、生活の中では塩漬けタラが一番(大切)なのであって、夢見事ではない」とう台詞があります。
サルカは漁の町の女性で、この言葉の裏には貧しい時代のアイスランドで、漁業に関わる人たちがそれこそ仕事漬けで暮らしていたという背景があるのだということです。
「人生は塩漬けのタラだ」かなりしょっぱいですね。
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