清涼感アップ用ピック
Myndin er eftir Neil_Mark_Thomas@unsplash_com
こんにちは/こんばんは。
ちょうど一週間前の土曜日(6月2日)はアイスランド大統領選挙の投票日でした。その結果は前回ご紹介したとおりです。長らく住んではいても単に「外国人」に過ぎない私は投票権もなく、当然投票にも行かず、その意味ではフツーの土曜日でした。
ですが、この日には個人的に関わりのあるイベントが他にふたつあり、決してヒマではありませんでした。そのひとつは教会での洗礼式で、もうひとつは母国語教育に関係する団体の三十周年記念会です。
まず洗礼式ですが、これは日本人のお父さんとアイスランド人のお母さんとの間に生まれた男の子のためのもの。このご夫婦の結婚式も私が牧師をさせていただいたのですが、これが早十年前のこと。
その後十年、あまり往き来はなかったのですが、今回第一子となる男の子(六ヶ月)の洗礼を頼まれていたのです。
キリスト教国のアイスランドでは、赤ちゃんの大多数がごく自然に洗礼に与りますので、牧師さんにとっては洗礼式はごく日常的な職務のひとつです。また、当然のことながら洗礼の対象は赤ちゃんであるのが普通です。
ですが、移民や難民の人たちへのサービスをメインとする私にとっては事情が異なります。今年に入って私が洗礼式を担当したのは十回。すべて大人の人たちのためです。さらに言うとすべて難民の人たち。
そういう事情から、私が担当する洗礼式はこじんまりと関係者のみで行われるのが常なのですが、今回は久しぶりにアイスランド人の親戚、友人が参集する「フツー」の洗礼式となりました。場所も教会。
洗礼式スナップ
Pic by Unknown?
洗礼式は、教会で行われる場合と、自宅で行われる場合が半々くらいの割合になるでしょうか?赤ちゃんが生まれてすぐの場合は、やはり自宅の方が都合がいいのですが、参列する人の数なども鑑みて教会を選択する方も多くあります。
で、今回は私が常駐しているブレイズホルトゥス教会での洗礼式となりました。ついでにお祝いのパーティーも教会のホールで。
結婚式には日本からご主人(「夫」のことをなんと呼ぶのが一番良いのでしょうか、今どき?)のご両親が日本からお見えになったのですが、今回はいらっしゃれませんでした。そのことで、事前に「だったらライブで送ってあげたら?」とか言ったのですが、式直前に赤ちゃんのお父さんがスマホをセット。本当にライブしてました。私も十年ぶりにご主人のお母様と一言ご挨拶できました。
それはいいんですねどね、洗礼式が終わり、皆が階下のお祝い会へ行ってしまった後、ふと見るとスマホがまだ教会に。ライブがまだ継続中で、お母様がまだスタンバイ中。慌てて「今、皆のところへ行きますから、切らないでください」と言いながら、スマホをホールへとお連れいたしました。こらっ、お母さんを忘れるな!
この洗礼式が午後二時からだったのですが、その前に正午からModurmalモウズルマウルという母国語教育を推進する団体の三十周年記念行事が、教会のすぐ隣りのMjoddミョッドというショッピングアーケイドで開催されました。
祝辞に駆けつけてくれたグビューズニ大統領
Pic by me
ここで「母国語」というのはアイスランドに住む外国人の人たちにとっての「母国語」です。例えば私が自分の子供たちに日本語を教える、とう意味での「母国語教育」を意味します。
実は同名の団体がもうひとつあるのですが、これは海外に在住するアイスランド人の子供たちのアイスランド語教育を支援する団体です。ところ変われば立場が入れ替わるわけですが、していることは同じですね。
このModurmalはいわゆるアンブレラ団体で、この傘下に日本語教室だの英語グループだのと、個別の母国語教育グループが属しているわけです。上意下達ではなく、Modurmalはあくまでサポート組織です。
母国語教育は、1993年くらいからレイキャビク市が試験的にボランティアを支援するという形で始まりました。私はちょうどアイスランドに移った直後のことで、そのことを知ってはいましたが、詳しい経緯は理解していませんでした。
確か、英語、タイ語、ロシア語?が当初よりあったような... ここに日本語がソロソロと加わっていくのですが、こういう活動は始めはひとつふたつの家庭ベースで形成されます。だから「いつ始まった」と断言するのは難し意のですが、日本語教室みたいになったのは1996年くらいからだと思います。
日本語グループに関しては、私は始めよりドップリ浸かっています。
これらの母国語グループ、ボランティアベースでしたが、レイキャビク市の青少年局の支援を受けており、会場の提供や多少の資金援助がありました。その当時は「移民」はまだ新しい事象で、移民のきちんとした受け皿は生成途上に過ぎませんでした。
よりしっかりした「移民の受け皿」として、レイキャビクとその周辺の四市町が合同投資して「インターカルチュラル・センター」が2000年に設立されました。ですが、このセンターは母国語教育にはあまり理解がなく、これまでの母国語グループへの支援は中止される向きに。
「それは困った」と日本語グループの私や、英語やベトナム語のグループのリーダーの人たちとかが相談して、Modurmalという団体を正式に登録しました。正式に登録すると、独自に支援金の申請とかをすることが可能になるからでした。
三十周年記念会の様子
Pic by me
ですから、正確に言うならばModurmalという団体の発足は2001年となり、その通り十周年記念は2011年の12月に開かれています。
今回の三十周年は、母国語グループが活動を始めた頃を基点として勘定しているようです。まあ、事柄の本質としてはそれで問題ないですよね。同じグループが土台になっていますから。
2001年の正式発足当時でも、グループ数は六つか七つくらいだったのですが、現在はなんと21のグループがModurmalに属しています。
行ってみてびっくりしたのですが、記念式会場のアーケイドは人でいっぱい。グビューズニ現大統領も祝辞に駆けつけてくれており、まあ大賑わいの大繁盛でした。
発足当時は、とにかく公的な機関からの資金集めや、アイスランド社会の中での母国語教育の重要性の認知が主要な目的でした。聞いたとことでは、今は「子供と教育省」から1500万クローネの資金援助がなされているとか。これらの発展は、最近十年間くらいの指導者の皆さんの努力の賜物です。拍手。
ちなみに、日本語教室。私は2016年に引退しましたが、教室はその後も続き、あのコロナの難しい時期も乗り越えて、今でも元気に続いています。控え目に計算しても、再来年で三十周年。その間、休止なし。これもすごいことだと思います。今の引率者の皆さんにも拍手。
二月に開かれた、邦人の方々の新年会に行った時も、その人数の多さ –とりわけ第二世代第三世代– に驚かされたことを書きましたが、日本語教室やそれに並行するModurmal等々、アイスランド移民社会の少なくとも一部は着実の発展しているようです。アイスランドで頑張ってる移民、みんなに拍手。
レアキャラのいる二月の「新年会」
*これは個人のプライベート・ブログであり、公的なアイスランド社会の広報、観光案内、あるいはアイスランド国民教会のサイトではありません。記載内容に誤りや不十分な情報が含まれることもありますし、述べられている意見はあくまで個人のものですので、ご承知おきください。
藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori @gmail.com
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また日頃よりの日本在住の外国人の方に対する支援と思いやりに敬意を表します。
サポートする側の意識が良い方向へ変わるのは大切なことですね。
昨今のヨーロッパは、かつてはまともだったのに、だんだんと変な方向へ変わって行こうとしています。困ったことという以上に、危機感を持ち始めています。