レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

アイスランド的人間関係の発掘

2013-08-05 05:00:00 | 日記
前回、こちらでのお葬式のことを書きましたが、今回は少しそれへの補足を加えながら、アイスランド式人間関係?について触れてみたいと思います。

ある人が亡くなった場合、数日して遺族から「死亡広告」という囲み記事(アナウンス)が新聞に送られると前回書きました。実はまだ続きがあります。
お葬式の当日の新聞なのですが、「Minningargrein」という故人の思い出を語ったりする追悼文が掲載されるのが一般的です。そのまま「追悼記事」ですね。

義務ではありませんし、掲載してもらうには一万円弱の掲載料を払わなくてはなりません。これを書くのは故人の家族や友人などです。ひとりの人からだけではなく複数の人が送ります。ですから、この追悼文の数が多いと何か「皆に愛された人だったんだ」的な雰囲気が出てきます。

ですがここでもっとご紹介したいのは、その「追悼記事」の内容に関してです。各個人から寄せられた追悼文の前に、遺族からの情報をもとにして故人の略歴が紹介されます。「略歴」といってもですねえ、まずは故人の両親がどこの誰であったか、両親の職業はなんであったか、から始まります。

次いで故人の兄弟は誰で、誰と結婚していた(いる)か。故人の子供は誰で何人いるか。それぞれ誰と結婚しているか。職業は何か。その子供たちの子供は何人いて名前は何か。

それらが全て紹介された後で、ようやく故人の生まれた環境はどんなであったか、学校はどこで何年に卒業したか、どんな職業についていたか等々が綴られます。

こうして「略歴」というにはあまりにも微に入り細に入った個人情報が新聞に載るのですよ。そして最後に「葬儀はどこで何時から執り行われます」と通知されて結びとなります。

日本の感覚からいったら信じられないような「個人情報開示」だと思うのですが、こちらではこれが毎日毎日続いていっています。




個人情報満載の「追悼記事」の欄 
これが何ページも続くことがあります


ここで確かめられるのがアイスランドはやはり基本島国の田舎なんだ、ということです。同じ島の住民、という信頼関係がなかったらこういう開けっぴろげな公開はできないでしょう。

しかし、それだけではありません。この島の住民は自分が他の住民とどのような「関係」を持っているのかを知ることに異様な喜びと執着を持っているのです。

「追悼記事」が子細なプロフィールを提供するのも、読者がそこから何らかの繋がりを発見することを想定してのことなのです。自分の親と同じ高校に通っていたとか、孫が自分の義理の息子のいとこと血縁があるとか、そのようなことです。

先日の私の友人のお父さんの葬儀の際もそうでした。葬儀後の茶菓の席では、同席していた別の牧師さんの女性が、お隣りに座り合わせた老婦人方と話し始めたのですが、あにはからんや老婦人のひとりの親戚の子供の結婚式をしたとか、もうひと方の老婦人と共通の知人があるとかを探り出して盛り上がっていました。

そして皆さんが私に向かって嬉しそうに頷いて言うには「これがアイスランドの生活よ」だって。

こういう出来上がった宴会に素面で参入(外国人)するのは難しいんですよねえ。いいとか悪いとかの問題ではなくて、難しいのです。トヘッ...


応援します、若い力。Meet Iceland


藤間/Tomaへのコンタクトは:nishimachihitori アット gmail.com


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