レイキャビク西街ひとり日誌 (Blog from Iceland)

北の小さな島国アイスランドはレイキャビクの西街からの、男独りブログです。

アイスランドのマリーン硬貨

2013-10-14 05:00:00 | 日記
今回はお金の話しの続編です。前々回は紙幣についてだったので、今日はアイスランドのコインについてご紹介します。紙幣にすぐ続いてアップするつもりだったのですが、ヨーコ・オノさんの名誉市民がブレイキング・ニュース的に入ってきましたので、一回飛んでしまいました。

デンマークの属領であったアイスランドは、1918年12月1日にデンマークを宗主国として持ちながらも自治領となりました。それによりそれまでのデニッシュクローナから独立して、1922年にアイスランドのエイリルという通貨が発行されました。1エイリルは1クローナの百分の一です。

その三年後にはアイスランドクローナが発行されました。最初は一クローナ硬貨と二クローナ硬貨だったそうです。

その後第二次大戦末期にアイスランドは完全な独立国となりますし、紙幣も順次発行されていきました。

このアイスランドの通貨体制に大きな転機が訪れたのが1981年で、相当なインフレの進行に対抗するために大幅なデノミが実施されました。それまでの100クローナが新1クローナとされたのです。

そして新1クローナに満たない通貨、例えばそれまでの五十クローナ硬貨や百クローナ紙幣等は通貨流通からはずされていくことになりました。もちろんエイリルもです。

ただこのエイリル、日本の「銭」と同じで、通貨としてはもはや登場はしませんが銀行などでの決済や計算上の単位としてはいまだに存在しています。

さて、現役の硬貨です。五クローナ、十クローナ、五十クローナそして百クローナがあります。五百クローナ硬貨はありません。

余談ですが「クローナ」を「クローネ」と表記しているのを見かけることがあるかもしれません。これはスェーデン、ノルウェー、デンマークではKroneと表記されるからです。英語のCrown(冠)のことなのですが、アイスランド語では単数形が「クローナ」(Krona)、複数形が「クローヌル」(Kronur)となります。

余談の余談ですが、スェーデン、ノルウェー、デンマークともそれぞれの自前のクローネを持っており、統一された通貨ではありません。すごく大雑把にいってしまうと大体それぞれの1クローネが20アイスランドクローナくらいと思ってください。桁がひとつ違います。




現役アイスランドのマリーン硬貨


話しを現役の硬貨にもどしますが、アイスランドの硬貨は図柄が海産物で統一されています。一クローナ硬貨は大西洋タラがあしらわれています。五クローナはイルカ。十クローナは我らが日本人にはお馴染みのシシャモです。さらに五十クローナはカニ、百クローナはランプフィッシュとなります。

最後のランプフィッシュ(Lumpfish)というのはなじみが薄いかもしれません。これは北大西洋ダンゴウウオの一種ということで、体長約60センチになり卵がキャビアの代用品とされるようです。

そこまで聞くとワタシ自身も「あ、あれか!」と合点がきます。こちらのスーパーでは必ず並んでいるキャビアもどきを運んでくれるお魚のことのようです。このキャビアもどきはまずくはありませんが、別においしいとも思わないですね。ああいうものは「キャビア」と信じ込んで食さないといけないんでしょうね。

何度か書きましたがアイスランドはカード社会です。普段キャッシュを使うことはめったにないのですが、それでも紙幣よりは硬貨の方が身近にあります。駐車場のパーキングメーター。これがなければキャッシュとはとんと縁がなくなりそうです。

そういえばこの夏にこちらへ引っ越してきた邦人の奥様が言っていました:「こちらへ来て三ヶ月経って初めてコインを見ました!」それもすごいなあ、と思いましたが...(^-^;


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ヨーコ・オノさん レイキャビクの名誉市民に

2013-10-10 05:20:00 | 日記
本題に入る前にちょっと。前々回十月はトリッキーな月で突然寒い日が続いたりする、と書きました。今年はその通りになっていて、先の火曜日の朝はレイキャビクは全市で雪に覆われました。レイキャビク周辺では積もった雪としては初雪です。




私の古アパートからの裏庭方面の景色


市内ではスパイクタイアの使用は十一月から、と決められていますので当然ワタシもまだサマータイヤ。雪が残るようならスパイクに替えてもらえますが、それよりも雪が残らないことを願います。

本題です。これは現在進行形のニュースからです。日本の皆さんからは昨日になる10月9日(今、これを書いている私にはまだ今日なのですが)は何の日だったでしょうか?答えはジョン ・レノンの誕生日です。ついで?に息子のショーンの誕生日でもありますね。

毎年この日には未亡人であるヨーコ・オノさんがアイスランドにやってきています。彼女は2007年にレイキャビクにあるヴィゼイという小島に「Imagine Peace Tower」というオブジェを制作設置しました。ヴィゼイは渡し船で十分というすぐそこにある島です。

このピースタワーは15ヶのサーチライトを組み合わせて光のビームを天空へ発するものでアイスランド人は「平和の柱」Fridasulanと呼んでいます。夏は二十四時間明るくなるアイスランドですので夏期は消灯し、冬になりつつあるこのジョンの誕生日に点火式を行うのです。

(*と、思っていたら、ジョンの命日である十二月八日まで点灯し、その後は大晦日と復活祭に点火するのだそうです。謹んで加筆訂正させていただきます。m(_ _)m)




Imagine Peace Tower
-Myndin er úr en/wikipedia.org-


というわけで、ヨーコ・オノさんは今現在レイキャビクに滞在しています。
ヨーコ・オノさんは昨年はレディ・ガガと共にレイキャビク市から「人権アワード」を贈られたのですが、今年も嬉しいサプライズがありました。

レイキャビク市がヨーコさんを「名誉市民」として迎えたのです。これはこれまでの市政の歴史の中でも五人目ですので、そうそうやたらに連発しているものではありません。外国人としては初めて。

それで昼間のうちに名誉市民を証する楯の授与式があったのですが、ヨーコ・オノさんは結構嬉しそうで、記者会見でもにこやかに応対していました。


ヨーコ・オノさんの会見のニュースをご覧になりたい方はこちら


その会見の中でヨーコさん「レイキャビクに家を買って引っ越すことは度々考えている」とのたまわったとか。まあ、あのくらいのコスモポリタンになると(かつお金持ち)になると、世界中に家をいくつも持っていらっしゃるのかもしれませんから、不思議なことではないのでしょう。しかしここのちいちゃな日本人コミュニティとしては、そんなことになれば大騒ぎになるでしょうね。

私自身はそれほどファンとかでもないのですが、頻繁に来ていらっしゃるのでお店とかで見かけたり応対したりしたことのある邦人の方も何人もいらっしゃいます。皆さんが言うには「感じのいい人だった」とのこと。

確かにニュースなどで見ていても偉そうな顔をしないで、素直に嬉しそうな顔をしていますし、いい印象を与えてくれますね。

もう八十歳とのことですが、まだまだお元気そうですし、引っ越してはこなくとも別荘くらい持たれて滞在していただきたいものです。


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十八年ぶり 新札登場!

2013-10-07 05:00:00 | 日記
今月の24日に新たに一万クローナ紙幣が発行されることになり、先日中央銀行がその一万クローナ紙幣をメデイアにお披露目しました。現在流通している紙幣は500、1000、2000、5000クローナなのですが、紙幣を実際に使う感覚はほとんど日本でお金を使う感覚と同じです。

つまりアイスランドでの1000クローナの使いでは、日本での1000円の使いでとほぼ同じです。(ちなみにここのところはアベノミックスのおかげで、1000円は約1200クローナと1:1に近づいてきました)

それで考えていただければ分かると思うのですが、一万クローナ紙幣がないのは相当不便なことだと私自身感じていました。ですから今回の報には「ようやく来るか」という歓迎の気持ちを持っています。

「お札の顔は誰なの?」というのは日本もアイスランドも共通の関心事のような気がしますが、一万クローナ札に登場するのはヨナス・ハットルグリムスソンという人で、十八世紀の自然学者にして詩人だった人です。




フリェッタブラーズ紙の新札紹介記事


特に彼の詩はデンマーク属領時代にあって、アイスランド語を維持し誇りを持つことを強くアイスランド人に鼓舞したものと受け取られており、ある意味での英雄です。彼の誕生日11月9日は「アイスランド言語の日」と定められています。祝日ではありませんが。

余談ですがこのヨナスさん、ものすごくお酒が好きだったようで、それがもとで身体をこわし37歳という若さで亡くなってしまったそうです。

新札の発行は18年ぶりのことで1995年の二千クローナ札以来のことです。私が移ってきた1992年くらいにはまだ百クローナ紙幣もたまに見かけることがあったのですが、今はコレクターの収集品になっています。

ついでですので現役の紙幣のことについてもご紹介しておきます。

まずは五百クローナ札ですが、これは現役最古参で1981年に発行されました。
お札の顔は十九世紀の独立運動の父であったヨウン・シグルズスソン。

次に出てきたのは千クローナ札で、これは1984年のことでした。お札の顔はブリンヨウルブル・スベインスソンという人で、十七世紀にスカウルホルト教会でビショップであった人です。

その二年後の1986年に五千クローナ札が登場しました。お札の顔は女性で十七世紀から十八世紀にかけて生きた人なのですが、この人は北のホーラル教会のビショップの夫人でした。(アイスランドには北と南にひとりずつビショップがいました) 名前はラグンへイズル・ヨウンストホティル。

そして二千クローナ札が1995年に発行され、今のところまだこれが最も最近発行された紙幣です。お札の顔はヨハネス・キャルバルで十九世紀末から二十世紀前半に存命した著名な画家です。レイキャビクには彼の名を被せた美術館があります。




モルグンブラーズ紙の現行及び新札紹介記事


さてこの二千クローナ札で面白いことがあります。ほとんど見かけることがありません。そしてたまに手元に回ってくると「珍しい」ということでお蔵入りになってしまうか、いの一番に使われてしまいます。そうです。日本の二千円札とまったく同じ運命なのです。私自身、最後に二千クローナ札を見たのはいつだろうか?思い出せません。

日本の場合は多くの自販機で使えないとか(今はどうなんだろうか?)実際的な理由があったのでしょうが、アイスランドではどのみち紙幣を使う自販機はありません。どういう理由かは分かりませんが「使いにくい」というイメージを持たれているのでしょうか?

それにしてもここはカード社会で、現金そのものが使われる率は日本に比べると画然に低いので、そもそも「使いにくい」ということはないはずなのですが...

唯一思い当たる実際的な理由は -個人的な見解です- 千クローナ札と見分けがつきにくく、時々間違えてしまうことです。流通量は圧倒的に千クローナ札が多いので、千クローナ札を二千クローナ札と間違えることはないです。二千を千と間違えるだけ。

そもそも「二千」という単位の紙幣が本当に必要なのだろうか?

この存在の意義を問われるような二千クローナ札が十八年前にも出てきていて、待ちこがれられていた(少なくともワタシに)一万クローナ札がようやく出てくるとは、紙幣の世界も不条理ですねえ。

一万クローナ札。楽しみです。いっぱい手元に流れてきてくれれば嬉しいのですが...それはないか?


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ブルー ・オクトーバーの鬼門

2013-10-03 05:00:00 | 日記
十月になりました。まったく早いもので広告の中にはすでにクリスマスに関するものが交じっていたりします。

アイスランドも着実にクリスマスというか冬に向かって歩を進めているわけですが、この十月というのがなかなか曲者です。まず日が短くなっていくのですが、これが面白いことに夕方はまだまだ七時くらいでも明るいのですが、朝がどんどん暗くなっていきます。

例えば十月一日の記録をみると、日の入りは18:57なのに日の出は7:37です。日本と比べてどうでしょうか?

これに加えてどんどん寒くなっていきます。というよりか私の個人的な印象では十月には突然寒ーい日が飛び込んでくることが多い気がします。例えばいきなりマイナス気温の日が一週間続くとか、大雪が降るとか。

去年はそういうことはなかったと記憶していますが、実際に何回かそのような十月を体験しました。その印象が強烈で多少誇張された思いこみになっているのかもしれませんが、十月は私には鬼門です。

いきなり寒くなると、身体がその寒さに慣れていないので余計寒く感じるのです。加えて暗ーい朝が一日のやる気をくじいてくれます。

というわけで、私はこの十月の時期に毎年軽いウツ体験をしてしまいます。

実は以前に本当のウツを体験したことがあるのですが、その時は秋ではなくて明るくなってきた三月。自分でもおかしいと思いましたので病院に駆け込んで薬を処方してもらったり、心理学セラピーを受けたりしました。

余談ですが、そのセラピーをしてくれた方がとてもきれいで素敵な女性だったので週一回のセッションを心待ちにしました。これだけで半分ウツは治っていたのかも。

とはいえ二ヶ月間はまともな仕事はできなかったですし、投薬も一年間続きました。それでも幸いだったのは「理由のあるウツ」だったことです。うつ病で手ごわいのは「理由のないウツ」で、これは本当に大変な病いだと人から聞いています。

アイスランドは割とウツ病が多い国で、五人にひとりが「ウツ体験」をしていると言われます。全国でウツを体験している人が常時12.000人いると「ゲーズヒャルプ」という精神病患者の支援団体のサイトに出ていました。

アイスランドで良いと思われることのひとつなのですが、ウツ病持ちであることを人は別に隠そうとはせずに、あっけらかんと公表できることです。昔からそうだったわけではなく、以前はやはりウツ持ちの人は「怠け者」「メンタルが弱い」などと誤解されたとのことです。

隠さずに話すことで周囲の理解も増してきた、ということなのでしょう。現在は同じように、精神的疾患のある人が恐れずに堂々と話しをするようになってきています。

精神的疾患のある人々に対してはまだまだひどい誤解と偏見、差別があるようですが、これも話しをしてくれる人がいて初めてそう言う問題を考え始めることができるようです。個人的にそういうことについて話すのは勇気のいることでしょうし、恐れずに立ち上がってくれる人には拍手を送りたいと思います。

ワタシも「ちいちゃな秋」ならぬ「ちいちゃなウツ」に引き込まれないように頑張らねば。でも最近物忘れがひどくなってきてるし、敵はウツよりもボケと老化か?そういえばメタボもあるな。対策として試みた野菜スープ作戦は1キロも体重を落とせないままうやむやになってしまったし...

そう考えると心配の種がゴロゴロ。ウーン...あまり勝機が見えない?って、そいうことからウツ的になってくんだ...

考えない方がいいかもですね! (^_-)☆


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