KOfyの「倍行く」人生

バイクで人生を“2倍”楽しみたい。勝手気ままな日記代わりの備忘録。

クレッシーの法則「不正のトライアングル」

2013年08月07日 | お仕事あれこれ
米国の組織犯罪研究者ドナルド・クレッシーが体系化した不正を行う要素で
犯罪学の基礎中の基礎として、「不正のトライアングル」、「不正の3要素」、
「クレッシーの法則」と呼ばれる考えがあります。
この中で1つでも欠けていれば不正は発生しないようです。

■不正のトライアングル
1.動機(強いプレッシャー)
2.機会の認識
3.正当化

1.動機・プレッシャー
正当、妥当、適切、適法では解決できない課題や欲求が存在し、
強い金銭欲や業績向上へのプレッシャーが高まり、ついに悪に手を染めてしまう。
今後ますます増大する要因で、この要素を6つのカテゴリーに分けられる。

1).割り当てられた責務への違反
2).個人的な失敗による問題
3).経済情勢の悪化
4).孤立
5).地位向上への欲望
6).雇用者と被雇用者の関係


2.機会の認識
対策の不備で不正行為が可能な状態にあること。
例えば、現金の管理が甘い場合は横領を行なう機会を与えることになる。
決裁時に内容を確認することなく、「ニコポン」で決済をする上司の存在や
ある管理者に権限が集中してしまっている場合も、
結果として不正が発生する可能性を高めることになる。
次のような例が挙げられる。

1).伝票の起票者とチェックする者が同じ
2).現金を直接取り扱うにもかかわらず、チェック機能がなく、野放しの状態
3).内部統制機能が形式化している
4).内部検査者が親族である
5).業務フロー上にチェック機能が存在しない。例えば、単純に製造したものを出荷し、
 製造個数と出荷個数が乖離してもその事実を知る体制になっていない。

3.正当化
倫理観・誠実性を喪失し、秘密裏に問題を解決するため、
不正行為に自らを納得させる理由付けをする。
行為後に正当化するのではなく、行為前から正当化(理由づけ)して不正行為を犯す。
自己中心の姿勢や自己の正当化を排除することが大事になる。

1).先輩も周りの人も悪いことをしているから大丈夫だ
2).なぜわたしは昇格できないのか? 会社は正当に評価していないからだ
3).女性ということだけで男性より年収が3割も低いのは違法行為だと思う
4).こんないじめを受けるなんて会社全体が狂っている
5).わたしの考えは正しい。逆に周りの人間がおかしいのだ。なぜ理解してくれないのか

4.不正のトライアングルを破る方法
3要素のうちの最低1つだけでも潰してしまえばいいが、現実はそんな簡単ではない。

(1)動機・プレッシャーの消去
これは3要素の中では一番難しい課題になる。
個人では、不正の動機・プレッシャーは外的要因がその多くを占める。
企業としては、「動機」の要素を排除するのが最も難しく、メンタルな部分で
きめ細やかな対応を行うことができれば、間接的な効果は期待できる。

(2)機会の認識の消去
セキュリティ関連の作業と密着した事象なので着手しやすく、対策は以下の通り。

1).伝票の起票者とチェックする者を分ける
運用で1人にすることを認めない。業務フローを改善し、
物理的に複数人でチェックし、そのチェックがなければペナルティを科す。

2).現金の直接取り扱いにチェック機能を設ける
現金を受け取る、現金を支払う時の運用ルールを決め、複数人によるチェック行う。
一時的でも、個人の金銭と混在した場合には厳罰に処すルールにする。

3).内部統制を機能させる
実効を伴う運用ルールの策定・運用とフォローアップができる体制にし、
担当者には検査ルールの厳守を徹底させる。

4).内部検査者に親族などを入れない
業務監査、システム監査を第三者の眼で強制的に実施する。
たとえ親族でも温情的な検査にならないよう啓蒙活動と社則の改訂を行う。
何よりも縁故採用を廃止するなど、思い切った対応を検討する。

5).業務フロー上にチェック機能を設け、数値上の乖離など調べる
少しずつでも、会社として正しい業務をできるように一歩一歩近づけていく。
目標を明確にし、周囲の状況に流されない工夫をしておくことが肝要となる。

(3)正当化の要素を排除
全体的には、「内部通報制度」の設立と従業員側に立った柔軟な運用が重要。
既に制度が存在していれば、運営状況、従業員の制度理解状況を確認する。

1)“先輩も周りの人も、悪いことをしているから大丈夫だ”
「不正の考えに至るまでのプロセス」、「不正の状況が経営側に届く仕組み」をチェックする。 
法律で規定されている内部通報制度以外にも、従業員の告発がスムーズに行われるように、
経営全般の「見える化」を推進することが不可欠になる。
 
2)“なぜ自分が昇格できないのか?会社は正当に評価していないからだ”
「下の者が上を評価するシステム」、「評価終了時の面談の形式化」をチェックする。
従業員に疑惑を生じさせない工夫が必要で、苦情を訴えられる仕組みがあると、
このようなマイナスの感情は表れにくくなる。最も重要なことは直属の上司のフォロー。

3)“女性ということだけで、男性より年収が低いのは違法行為だと思う”
4)“こんないじめを受けるなんて会社全体が狂っている”
5)“わたしの考えは正しい。逆に周りの人間がおかしい。なぜ理解してくれないのか”
 ・3~5の共通点には、昇給、昇格、賞与など従業員にとって直接的に金銭に関係する部分の
  「見える化」がされているかをチェックする。
 ・「公開しない情報と公開すべき情報」、「人事評価の公開内容」などが管理者による違いや、
  そのガイドライン自体があいまいであったりすると、従業員に不信感が広がるだけ。
 ・「セクハラ」「パワハラ」といった主観的になりがちな、機微情報を含む問題について、
  コミュニケーションの確立ができているか、きめ細やかな対応が求められる。
 ・一方的に本人の「錯覚」「思い込み」「被害妄想」とも言えるが、それは間違いで、
  双方に改善点が存在し、著しい改善を期待できるのが「メンタルケア」になる。
 ・信頼関係さえ崩壊していなければ、上司であってもメンタルケアを実施できる。
  通常は既に信頼関係が崩壊している場合が圧倒的に多いので、第三者の関与が好ましい。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする