雨曇子日記

エイティライフの数々です

運動会

2013-10-16 09:33:02 | うまいちゃん
うまいちゃんの小学校では、赤、白、緑に分かれて得点を競います。
うまいちゃんは赤組です。

1年生は、ダンスが終わって“アイデア走”が始まりました。
少し走ってカードを拾い、その指示に従うのです。
うまいちゃんのカードには「おそうじ」と書いてありました。「机を雑巾で10回ふく」のです。
すばやくふいてゴールすると、1着でした。

50M走は3着でした。
でも、力いっぱい走りました。

6年男子の7段のピラミッドは見事なできばえで大拍手でした。

そして、最後のリレー。
うまいちゃんが声をからして応援した赤組が勝ち、総合得点がトップになって赤組優勝です。
バンザーイ! バンザーイ!
うまいちゃんはとびはねて喜びました。

その日の夕飯の時、お兄ちゃんが言いました。
「50M走は、力が入り過ぎたんだよ。もっと肩の力を抜かなくっちゃあ」
お兄ちゃんは、自分が陸上の朝練習で注意されたことを思い出したのです。

でも、うまいちゃんは、いつになく素直にうなづきました。
お兄ちゃんが本気になって応援してくれていると分かったからです。

「お兄ちゃん、来年ピラミッドがんばってね」
うまいちゃんは、早くも来年の運動会を思っていました。


作文の発表

2013-08-13 13:47:07 | うまいちゃん
             

1がっきがもうすぐ終わろうとする7月のある日、おいしい(大石)先生が、うれしそうに言いました。
「うまいちゃんが、全校集会で作文をはっぴょうすることになりました」

うまいちゃんは、びっくりして目をパチクリさせました。

“1年生になって友だちがたくさんできたよ。2年生や3年生の人ともなかよしになれたよ。きゅうしょくの時てつだいにきてくれた6年生のおねえさんはとてもやさしかった。私も6年生になったら1年生にしんせつにするよ”

というような作文でしたが、みんなの前で発表するとは思ってもみなかったのです。

発表の日、みんなが体育館に集まりました。授業参観日だったので、おかあさんがたもいます。
うまいちゃんが名まえをよばれてステージに上がりました。
みんなの顔がいっせいにうまいちゃんに向けられました。

「お兄ちゃん、私のことしんぱいしてるかな」うまいちゃんは思いました。

先生に教わったように、おじぎをしてからマイクに向かいました。そして、ふつうの声で作文を読みました。
読み終わって、またおじぎをしてステージのそでにもどると、おいしい先生が待っていました。
「うまいちゃん、じょうずに読めたわよ」
先生は、今にも泣き出しそうでした。

プール

2013-07-09 14:40:01 | うまいちゃん
「これから、プールの長い方を使います」
一年生の自由遊びタイムが終わった後、先生が大きな声で言いました。
「歩いてもいいのよ。でも、水が飛んできても目を閉じないこと」

ピーとふえが鳴って、8人がいきおいよく進みました。
水がはねあがり、キラキラ光りました。

また、ふえが鳴り、つぎ、つぎと進んで、
うまいちゃんたちの番になりました。

うまいちゃんは、思いっきり壁をけってバタ足で進みました。
「うまいちゃん泳げるじゃん」
だれか男の子が言いました。

うまいちゃんは腕を大きく振って水をかきました。
そして、ガブリと水を飲んでしまいました。
あわてて立ち止まろうとしたら、
「もうちょっとがんばって!」
と、おいしい(大石)先生が言いました。

「もうちょっと、もうちょっと」
プールサイドの友だちが声をそろえて叫びました。

うまいちゃんは、力をふりしぼって進んでいきました。
何度もしずみそうになりましたが、
そのたびに、「もうちょっと」の大合唱が起きるのです。

でも本当にもうちょっとだったんです。
まもなく、指先がコツント壁に当たりました。

うまいちゃんは、やっとプールの底に足をつけて
お魚のように水をぷーっとはきだしました。

「ワーイ!」
みんなが、自分のことのように喜びました。
「えらかったわ、うまいちゃん」
おいしい(大石)先生がうまいちゃんをプールサイドに引っ張りあげてくれました。

母の日

2013-05-13 13:40:17 | うまいちゃん
    

5月の第2日曜日。
うまいちゃんが言いました。

「お母さん、せんたくをしてくれてありがとう」

「どういたしまして」
おかあさんは、せんたくものを干しながら言いました。

うまいちゃんが、つづけて言いました。
「お母さん、ごはんを作ってくれてありがとう」

「はいはい」
お母さんは、にこにこして言いました。

「それから・・・おこづかいをくれてありがとう」

「どうしたの、そんなにありがとうを言って?」
お母さんは、ちょっとびっくりしたように言いました。

「だって、・・・母の日でしょう」
うまいちゃんは、はずかっそうにお母さんの絵をわたしました。

まだ歯が出ないよ

2013-05-08 10:39:04 | うまいちゃん
            

「たけのこ一本おくれ~♪」
「まだ芽が出~ないよ♪」

ではなく、うまいちゃんの前歯です。
いちばん目だつのに、
保育園のときからぬけたままです。

「早く出てこないかな」
一年生のうまいちゃんは気になっています。

「じょうぶな歯がゆっくり生えてくるんだよ」
おじいちゃんがなぐさめるように言いました。
おじいちゃんの歯は、2本しかありません。
「こんどの歯は、ぬけたらもう生えてこないよ」

おじいちゃんのようになってはこまります。

うまいちゃんは、
いつもよりうんとていねいに歯をみがきました。

さかあがり

2013-04-17 13:21:09 | うまいちゃん
休み時間、一年生のうまいちゃんは、
てつぼうにとりついています。

すずき元気くんが、くるりとさかあがりをしました。
うまいちゃんがうんうんうなっているところに、先生が来ました。

「もう少しよ、うまいちゃん」
先生が言いました。
「あっ。おいしい先生!」
うまいちゃんは、はずかしそうに言いました。

「おいしい先生じゃあないよ、おおいし先生」
すずき元気くんが元気よく言いました。

「いいのよ、うまいちゃん。“おいしい”って気に入ったわ」
大石先生がとびきりの笑顔で言いました。

「できたっ!」
そのとき、うまいちゃんのさかあがりができたのです。

1年生になった

2013-04-09 12:35:26 | うまいちゃん
            
              (柏市立土小学校百年桜)

キティちゃんフェアリーの台紙に決めて、
おばあちゃんは、電文を考えていました。

「かわいい かわいい うまいちゃん」

「えっ!そう書き出すの?」
おじいちゃんが口をはさみました。

「いいじゃない。かわいいんだから」
おばあちゃんは、すまして答えました。

そこで、
電文はこうなりました。

かわいい かわいい うまいちゃん
げんきな げんきな 一年生
たのしい たのしい 入学式

うまいちゃんからメールがきました

おばあちゃん ありがとう
はじめてメールよ

おかあさんが、キティちゃんを抱いた、
うまいちゃんの写メールを添えてくれました。

チューリップ

2013-04-04 12:22:10 | うまいちゃん
    

    


「うまいちゃん、きてごらん」
お母さんがガラス戸の向こうで手招きしています。

「ほら、去年の10月だったかしら、うまいちゃんと植えたでしょう。覚えてる?」
お母さんが、うれしそうに言いました。

「おしべが6本、めしべを取り囲んでいるよ」
お兄ちゃんが言いました。
こんど5年生になるお兄ちゃんは、サッカーの朝練から帰ったばかりのようです。

  さいた さいた チューリップの花が
  ならんだ ならんだ 赤 白 黄色
  どの花見ても きれいだな

「ほんとうだ。どの花もみんなきれいだわ」
うまいちゃんは思いました。

そして、部屋にもどって、赤いチューリップの絵をかきました。
めしべもおしべも書きましたよ。

そつえんしき

2013-03-20 15:51:50 | うまいちゃん
「ツピィ ツピィ ツピィ ツピィ」
シジュウカラが、ピーナッツ保育園のスモモの木の上で鳴いています。

今日は卒園式。
うまいちゃんも、園長先生から卒園証書をいただきました。

「うまいちゃん、おめでとう」
園長先生が言いました。

「ありがとうございます」
うまいちゃんが大きな声で言いました。

「えらいわ、うまいちゃん。きっとりっぱな一年生になるわ」
園長先生が言いました。

「ツピィ ツピィ ツピィ ツピィ ツピィ」
シジュウカラがまた鳴きました。
「小鳥さんも、“うまいちゃんえらい”と言っているわ」
園長先生が言いました。


「うまいちゃん。園長先生と何をお話していたの」
帰り道、お母さんが聞きました。

「何でもない」
うまいちゃんは走り出しました。
なんだか急に少しえらくなったような気がしたのです。

「ツピィ ツピィ ツピィ ツピィ ツピィ ツピィ」
今日はシジュウカラがよく鳴く日です。

おかあさん がんばって!

2013-02-02 12:50:48 | うまいちゃん
            
            (我孫子高校生の校外授業)


町のマラソン大会の中で一番短い2キロのコースですが、1年生にならないと出られません。
それで、うまいちゃんは応援にまわりました。

スーパーの前で待ちかまえていると、道いっぱいに選手が走ってきました。

おじさん、おばさん、中学生、小学生、おじいさん、おばあさん、
入り混じって走っています。

おもしろい帽子をかぶった人も、ピーナッツのぬいぐるみの人もいました。

そんな一団の中に、4年生のお兄ちゃんがいました。

「がんばって!」
うまいちゃんが言いました。
お兄ちゃんは小さく手を振りました。

それから、お母さんが来ました。
真っ赤な顔で、息をはあはあさせています。

「おかあさん、がんばって!」
「おかあさん、がんばって!」

うまいちゃんは、2度もさけびました。

「えらいわね。お母さんきっと元気が出たわよ」

どこかのおばさんが、笑いながら言いました。

「そうよ。うまいちゃんのお陰でがんばれたわよ」
夕ご飯のとき、お母さんが言いました。
「もう少しで、お母さんに抜かされそうだった」
お兄ちゃんが言いました。

「うまいちゃんの応援が効いたのよ」
お母さんは、そう言ってうまいちゃんに笑いかけました。