「妬みに燃えて殺そうとした」 使徒言行録 5章17~42節
サドカイ派と呼ばれている人たちがいました。彼らは、現世的で政治的であり、使徒たちのことを嫉んでいました。使徒たちが、多くの人々から賞賛を受けていたからです。サドカイ派の人たちは、議会を招集し、使徒たちを自らの権威に従わせようとしました。それに対して、使徒たちの筆頭格であるペトロは、彼らに向かって「人間に従うよりも、神に従わなければなりません。」と言わなければなりませんでした。サドカイ派の人たちは、ペトロの言葉を聞いたとき、激しく怒って使徒たちを殺そうと考えました。人間が作った権威に寄り頼み、それを追い求めようとする者は、行き着くところ「人の命をも奪ってかまわない」という考えになるもののようです。世の権力闘争の行き着くところもまた、いつも殺し合いと相場が決まっているものです。
議会の中で、ファリサイ派に属する人がいました。彼らは、およそサドカイ派の人たちとは正反対の考え方をしていました。すなわち、現世や政治から自分たちは「分けられている存在」であると考えている人たちでした。ファリサイ派のガマリエルという人は、「使徒たちのことは、放っておくがよい」と言って、政治的な判断ではなく、信仰的な判断をするようにと議場に提案しました。その理由は、「人間の考えから出たものなら自滅するだろう」し、「神さまの御働きなら、人間が逆らうことなどできない」というものでした。
現世的、政治的な考え方は、人殺しをも肯定する考え方です。それは、人を生かす「愛」とは正反対なものの考え方です。日常生活においては、現世的、政治的な考え方が幅をきかせているものです。けれども、信仰的なものの考え方や愛といったものも忘れないようにしたいと思います。